劇場公開日 2015年9月11日

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「隠しきろうとする表面が美しい」キングスマン たけたけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5隠しきろうとする表面が美しい

2015年10月10日
iPhoneアプリから投稿

ようやく見られた。
私はお裁縫や編み物が好きで好きで堪らないのだが、大雑把な性格と体型が災いして普段は見るだけに留まっている。
コリン・ファースのスーツ姿が美しいのは当然なのだが、ほんのちょっぴりだけある右と左の肩甲骨周りの形の違いを本当に美しく魅せるこの映画。
試着して更に調整して本人ぴったりに装うスーツの美しさは、鍛えたものの元ニートのあんちゃんさえ際立つものにしてしまう。
スーツ映画として個人的に崇めている『アンタッチャブル』とは全くラインが異なり、まさにブリティッシュスタイル。
憧れる。
ものすごく良質なウール。
軽くていつの季節にも合いそうな。
貴族階級の時代は終わったと言いながら、洗練された佇まいや仕草や言葉選びを忘れない。
基本的に相手を強烈に批判的に表現しながらも、笑いとばすことでこの場の深刻さを和らげて無闇と緊張しないで済むようにしてしまう。
暴力の表現と言ったらもう酷いものだったが、あまりの酷さに笑ってしまう。
選ばれて修練した人々だけに許されるユートピアめいたディストピア。
憧れる。

サミュエル・L・ジャクソンの帽子とスワローテイルが無茶苦茶カッコいいのもまた。

あぁ、いい映画の旅ができた。

たけたけ