「マシュー・ヴォーンの悪趣味ワンダーランド」キングスマン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
マシュー・ヴォーンの悪趣味ワンダーランド
えー、見事にやられました。
ハイそうですね。そうでした。マシュー・ヴォーンですね、監督。マシュー・ヴォーンでした。
いやね、忘れてた訳じゃないんですよ。あの『キック・アス』の監督だってことはしっかり認識しておりましたし。ただね、ほら、割りと『スターダスト』みたいなまろやかな作風も出来たりする人じゃないですか。振り幅が広いというか。
今回はもろに『キック・アス』寄りだったのね、という。はっちゃけたね、と。更にそれを数倍スケールアップさせたんじゃね?てくらいに人体破壊描写のオンパレードで。これ自己ベストを更新したかったんじゃないの?と。そういう類のはっちゃけ感で(『キック・アス』『スターダスト』をまだご覧になってない方は抱き合わせで鑑賞してみてください。この人の振り幅が分かりますから)。
んー、で。今回の映画、簡単に表現するならば「エレガントなスパイ映画の皮をかぶった露骨に悪趣味なエクスターミネートムービー」といったトコロでしょうかね。簡単な表現でもないかな。
えーっとね。うん。まずあの予告です。まるで「紳士なスパイが世界を救う!厨二心を激しくくすぐるエンタメアクションムービー!」なツクリだったでしょ?だったんですよ。あのノリを信頼したらダメですから。「コリン・ファースが出てるから!マイケル・ケインが出てるから!」も通用しませんから。悪趣味全開の人体破壊アワーが待っていますから。そういう映画です。スパイには生き死にが常に付き纏うものだ、と言われればそうなんでしょうけども。
なんだかさっきから「マシュー・ヴォーンが!」「悪趣味な!」「人体破壊が!」みたいなこと繰り返し書いてる気がしますけど。まあ兎にも角にも“唖然”としてしまったんですね、自分。完全に大衆娯楽というか、ポップコーンムービーなノリを想定していたので、まあそういう意味での“唖然”。この内容だとハナから分かっていればねえ、ニュートラルに鑑賞ができてたんでしょうけど(だって、もうコリン・ファースがさあ。○○○しちゃって○○○されちゃうってさあ……ねえ?)
これを面白い!と取るのか、気持ち悪い!と取るのかで全く評価が別れるんだろうなあ、と。人を確実に選ぶ映画だとは思います。