「力強い絵に魅せられる」ルック・オブ・サイレンス SHさんの映画レビュー(感想・評価)
力強い絵に魅せられる
色彩豊かの絵が展開される中、悲惨な話が告白されゆく。こうやって殺した、ああして殺したと実演を込めて話される内容は、事実なのだろうと思うのだが、映画の中の絵があまりにも美しすぎるために、何か御伽噺のように見えてしまう。恐らく、それは告白する側に罪悪感というものが皆無だからなのだろう。世間話と同様に虐殺の話をするその姿を見ていると、思わず吹き出したくなる瞬間がある。政治という衣を着た人殺しのやるせなさ…被害者家族にとっては、話のどの部分も笑えるものではない、映画の中でその主張を強く感じさせられる。
起こってしまった悲惨な過去をどうしたらよいものかと、ただただ途方に暮れる思い…。
惨禍を引き起こした当事者そしてその加害者すべてが地に帰ろうとも、禍根は永久に残ってしまうのではなかろうか。
そんなやるせない気持ちが湧いてくる。
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