「【1965年。インドネシア、スカルノ大統領がスハルト少将のクーデターにより失脚した際に、共産主義者を大量虐殺した右派勢力(ならず者)達への強烈な復讐インタビュー。】」ルック・オブ・サイレンス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1965年。インドネシア、スカルノ大統領がスハルト少将のクーデターにより失脚した際に、共産主義者を大量虐殺した右派勢力(ならず者)達への強烈な復讐インタビュー。】
ー 右派勢力(ならず者)に兄を殺されたアディ青年が、監督ジョシュアと共に、虐殺者たちに当時の状況をインタビューする。
前半に出て来る爺さんたちは、嬉しそうに時に自慢げに、当時の虐殺の仕方をアディ青年に詳細に喋る、喋る。
その後に涙を浮かべつつ、氷の様な目をしたアディ青年は告げるのである。
”貴方達が殺した人の中には、私の兄もいました・・。”
すると、
1.こんな話は聞いていない!と怒り出す老人
すると、ご丁寧に老人に眼鏡を作ってあげるアディ青年。
無茶苦茶シニカルなシーンである。
2.昔の事だ、 と開き直る老人
3.そんなことを言ってどうする、仲よくしよう と懐柔しようとする老人
4.軍に言われた事だ、と自分が主導でやったわけではないと言い訳をする老人
5.殺人者が死んでいる場合には
親族(妻、息子・・)に彼らの夫、父が行った事を話すアディ青年
⇒大体の人は怒りだすか、昔の事・・と懐柔しようとする
が、夫々の顔は引きつる。(1.の老人はチックが出る)
彼らのトラウマになる事は間違いがないであろう。
今作は、アディ青年が監督ジョシュアと共に仕掛けた彼らに”昔お前らが行った事は忘れさせないぞ”という強烈な復讐なのか、それとも彼らに改心を求める所業なのかは、観る側に判断は委ねられる。
それにしても、アディ青年とその母親が殺人者たちと隣り合わせで住んでいるインドネシアという国も、相当にイカレテ居た国だったのだな。
今では、どうなのだろうか。
何にしろ、今作の様なドキュメンタリーはもう撮れないだろう。
人間の闇を暴き出した恐ろしいドキュメンタリーである。ー