「●インドネシアの闇。」ルック・オブ・サイレンス うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●インドネシアの闇。
「アクト・オブ・キリング」続編。1960年代にインドネシアで起きた100万人ともいわれる共産主義者の大虐殺。今回は、被害者の弟が加害者たちにインタビューする。決死のインタビューを見て思い出した。「ゆきゆきて神軍」を。
この国の闇は、巧妙に仕組まれていた。軍は手を下さず、あくまで民間人が共産主義者狩りを行なった。世界はそれを黙認した。今でもインドネシアでは、共産主義者の子孫は公職につけないという。
そして、僕らもこの歴史をあまり知らない。加害者の民間人たちは、いまでも街の英雄だ。そのすぐそばで、被害者の家族たちは暮らしている。
歴史は勝者によって作られる。被害者の心情はおかまいなしに。
想像力の欠如。軍の徹底したプロパガンダ。
被害者の母親は、加害者の不幸をいまも願う。父親は、苦しみから逃れるようにボケてしまったのか。闇はすぐそこにある。
エンドロールには「ANONYMOUS=(匿名)』の文字が並ぶ。インドネシアで本作公開後、アディ氏は移住したとか。
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