「被害者からみた悪と加害者からみた悪」ルック・オブ・サイレンス riorioさんの映画レビュー(感想・評価)
被害者からみた悪と加害者からみた悪
歴史上の真実を暴くドキュメンタリーでありながら、カメラワークや色彩表現など芸術性も備えた稀有な映画だった。
この作品を観て、「常識とは何か?」という問いが私の心に痼りのように残された。
殺人が時代の常識なら、私たちも躊躇なく加害者になりうるという危うさが描かれていた。
そして、倫理上は等価値であるはずの一つの命の重みが、ひとたび論理が異なるとで、ここまで軽く扱われてしまうのだとういう事実に衝撃を受け、そして憤りを覚えた。
死から距離をおいた生活を送っている私にとって、この作品に描かれている命の軽さには、只々圧倒されるばかりだった。
また、被害者と加害者の罪の意識の決定的な違いについても再認識させられた。
(加害者側の「罪の正当化」とは、人が生まれ持つ自己防衛本能の一つとして精神安定剤の役割を果たしているのではと感じた。この回路がショートしてしまうと(特に正義感の強い人などは)精神的に破綻してしまうのではないだろうか。)
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