「.」モンスター 変身する美女 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。原題"Spring"。イタリアを舞台とし、作風からもヨーロッパ臭がするが、れっきとしたアメリカ映画。謂わば“アダルト版『ぼくのエリ 200歳の少女('08)』”。ドローンを駆使したと云う画面は終始、色味を抑えた色調で、アングルやカメラワークも個性的。妖しく謎めいたヒロイン“ルイーズ”のN.ヒルカーも魅力的に映えていた。予定調和とは云え、彼女の選択が夜明けで判明するオチは、内容的にも画的にもラストに相応しい。ただ判った様な判らない設定(説明)は微妙で、後半ゴリ押し気味なのが残念。70/100点。
・本作の特色の一つとして、鳥瞰を多用したアングルや独特の色調とリズムに支配される画面が挙げられるが、加えて役者陣の演技力も標準以上で卓越していたと思う。
・ポスターにある「リチャード・リンクレイターとH.P.ラヴクラフトのハイブリッド」とのコピーとイタリアの港町が舞台と云う事で、一番にスペインの『DAGON('01)』を想起したが、登場するクリーチャーはM.ゴメスの“ウシア・カンバロ”よりも西ドイツとフランスの合作『ポゼッション('81)』でI.アジャーニの“アンナ”が絡むモンスターの方が近かった。他にもアメリカ映画の『アルタード・ステーツ/未知への挑戦('79)』辺りのも思い浮かんだ。
・監督のA.ムーアヘッドとJ.ベンソン両氏は、'76年から始まるA.ライスの代表作『ヴァンパイア・クロニクルズ』に登場する吸血鬼(怪物)を巡り、A.ライスとかなり揉めたと伝えられている。
・N.ヒルカー演じる“ルイーズ”宅の調度品の殆どは、イケア製で揃えらている。
・鑑賞日:2016年4月5日(火)
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