劇場公開日 2015年4月17日

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恋する・ヴァンパイア : インタビュー

2015年4月15日更新
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桐谷美玲が説く、普通であること

「普通の22歳になりたい」と世界的人気グループのメンバーが脱退したのはつい先日のこと。日本でも約40年前、人気絶頂のまま解散したアイドルグループのひとりが叫んだ「普通の女の子に戻りたい」は流行語となった。何をもって“普通”なのかはともかく、芸能界に身を置きながら普通でいることが簡単ではないことは想像に難くない。それでも、桐谷美玲は普通であることを決して手放さない。いや、本人の言葉を借りるなら彼女は「意識しなくても普通」なのだという。(取材・文・写真/黒豆直樹)

そんな桐谷が、普通の人間として生きようとするバンパイアの女の子をキュートに演じた映画「恋するヴァンパイア」が、間もなく公開される。素性を隠して人間社会に溶け込んで生きるバンパイアのキイラと幼なじみで普通の人間である青年の恋模様をコミカルに描いている。

本作の何が普通でないかというと、新人監督(鈴木舞)の原作・脚本による、決して予算規模の大きいとは言えない作品とは思えないほどの豪華キャスト陣。桐谷、戸塚祥太(A.B.C-Z)ら日本人キャストに加え、韓国の人気俳優チェ・ジニョク、日本でもファンの多い香港のイーキン・チェン、台湾の若手実力派モン・ガンルーら、アジアの実力派が脇を固めている。

「もちろん、みなさん日本語が得意な方ではなく、私も韓国語や中国語がしゃべれるわけではないので『どうなるのかな?』と思っていたんです。でも、できないながらもどうにかコミュニケーションを取ろうとしました。特にモンちゃんとは共演シーンも多かったのですが、彼女はムードメーカーで、現場にいるだけで明るくなるんです。覚えたての日本語を使おうとする姿がすごくかわいらしくて。私も中国語のセリフがあったので、モンちゃんに教えてもらったり、大学の中国語の勉強を教えてもらったりして、(一緒にパン屋で働く)映画の中の2人のような関係でした。クランクアップの時はお互いに寂しくて、モンちゃんも泣いちゃったくらいで、いまでも連絡を取り合っています。チェ・ジニョクさんは、ご一緒したのは2日くらいでしたけど、筋肉がすごかったです! 鍛え上げられたバキバキの肉体で、触らせてもらいました(笑)」。

バンパイアであるということを除けば、ごくごく普通の女の子…いや、普通どころじゃないキュートなヒロインのキイラだが、素の自分と比べて「私はキイラちゃんほどかわいらしくないです(苦笑)」と明かす。「言葉づかいやしぐさ、服装も。私は私服でピンクの服は着たことないので(笑)。それに私はキイラほど強くはなれないと思います。映画の中でキイラは哲くん(戸塚)を思うからこそ、ある決断をしますが、それは私にはできないですね」。

今作もしかり、近年では正統派の美しいヒロイン、かわいらしい女の子というだけではなく、異色の戦隊ヒーローを演じた「女子ーズ」、果敢に変顔やモノマネを披露している公開待機作「ヒロイン失格」など、そのイメージをあえて崩すかのような役柄にも挑戦している。

「別に自分でイメージを崩そうということは全く思っていなくて、むしろ『女子ーズ』や『ヒロイン失格』の方が、普段の素の私に近いんです(笑)。なので、すごくのびのびと楽しくやっています。いろんなキャラクターを演じさせてもらっていますけど、『ああしよう、こうしよう』と考えているという感じでもなく、自分とは全く違うこともできるのが楽しい、面白いというスタンスでやらせてもらえているのが大きいですね」。

多彩な役どころという意味では、キャラクターという意味だけでなく、職業や立場という点でも20代半ばに差し掛かって、これまで以上に広がりがみられるようになってきた。

「そうですね、20代半ばになって、(実際より)下の年齢、少し上の年齢も含めて幅広く演じられる時期なのかなと思っています。これから、もしかしたらお母さん役もできるようになる年齢だと思いますし、もっともっと働いている女性の役もできるでしょうね。これから、やったことのない役への挑戦が増えていくんだろうと思います」。

先日、2年の休学を含め、7年をかけて大学を卒業したことを発表した。「最後は意地です」というブログのコメントが桐谷の一本気な性格を表している。同じブログにある「なにより普通の女の子としての時間が楽しかった」という言葉からも、テレビ画面やスクリーンの向こう側の世界に身を置きつつ、いや、そういう華やかな世界で仕事をしているからこそ、“普通”を失うまいとする本音とスタンスが透けて見える。女優だけでなく、モデル、キャスターとしても活躍を見せるが、それぞれの仕事への向き合い方について聞くと、「バランス」という言葉が口をついて出た。ただし、ここでも桐谷は意識的にバランスを取ろうとはしてはいない。

「女優もモデルもキャスターも全然違うことをするので、どれが一番とか、重きを置くというのがなくて、それぞれが違っていて、その中でできる範囲で一生懸命やっているからこそ、バランスが取れているのだと思います。欲張りですが(笑)、これからも、そういう感じでやっていきたいです」。

そして、それぞれの仕事は互いに影響を及ぼし合い、常に何かを吸収し、成長させていく。「キャスターとして取材させていただくと、世界で戦っている同世代もいれば、伝統を守ろうとする同世代の方もいるし、新たなことに挑戦しようとしている方たちもいる。自分とは違うジャンルにいる方とお話すると刺激を受けますね。演じる上でプラスに? 直接的に何がプラスになっているかと言われたら、分からないですけど、『演じる』ということに関しては、どんな経験もプラスになっていると思いますし、全てが実になっています」。

もちろん、現場での経験が仕事という枠を超えて、桐谷美玲というひとりの人間に影響や刺激を与えることもある。本作では大塚寧々田辺誠一とも共演しているが、2人は実生活と同様に夫婦役を演じている。キイラにとって2人は育ての親であり、桐谷も現場で2人の様子を間近で見て、憧れを抱いたという。

「すごく素敵でした。おふたりだけの空気感というのがあって、『ここはこうしたら?』『いや、この方がいいんじゃない?』みたいなやりとりをされていて『ああ、これが夫婦なんだ!』って。憧れますよねえ(笑)」。

桐谷にとって理想の結婚、夫婦のあり方を聞いてみた。「理想は……、本気で一緒にTVゲームをやってくれる人、ですね(笑)。子どもに対しても本気で、妥協しない人がいいです」。この先も、まだまだ“普通”ではない顔を見せてくれそうだ。

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