恋人たちのレビュー・感想・評価
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あっと言う間の220分。
タイトルをどうにかできなかったものか
シンプルでつまらなそうな題名をつけることによって、この映画の覚悟を感じるが、さすがにもったいないと思ってしまう。危うく自分自身、タイトルだけでスルーしそうになった。内容が素晴らしかっただけに、余計このタイトルについて疑問を感じてしまっただけなのだが─。
まさに社会の縮図がそこにあり、ひどいドキュメンタリーなんかよりもリアルな日本を感じ取ることができる。
日常を丹念に描きつつ、涙も笑いも怒りも幸せもエロスも醜悪さも、社会が持っている面白いところを全て網羅しているような気がした。
とにかく皆一生懸命につくってるなぁ、そう感じるて、自然と涙・・・。
主演の彼が思いっきり笑ったときが一番泣いたなー。
音楽もしっくりハマっていたし、何より自分が好きな部類のものだったから一層話に入り込んでいった。
東京の水上交通の映像も良かった。見れそうで見れないところ、そして何気に美しかったりするもので、ブルーに染まって見応えあり。
全てにわたって抑えが効いていて、短絡的になることなく、淡々と終結するところが非常に自分には合っていた気がする。
長くて平坦な映画だが、東京物語なみに最後まで飽きることなく観賞できた。
人生ってのは筑前煮みたいなもので、この映画も、筑前煮みたいな映画でした。
人生ってのは筑前煮みたいなもので、この映画も、筑前煮みたいな映画でした。
人生の挫折とか、社会の残酷さとか、そういうものを体験してる人なら、ジワっとくると思います。
つまり万人受けする映画なんだけど、こういった煮物みたいな映画に慣れていない人にはハードルが高いと思います。
僕はこれ鬱の時に見てたらきっと号泣してましたね…。いまが辛い人に見て欲しい映画です。
冷たい熱帯魚みたいに、人生ってのはなぁ辛いんだよぉ!と言わない所が、好きです。勿論冷たい熱帯魚も大好きですが。
見てる間は退屈なんだけど、見終わると、一つ一つのシーンが、とても印象深いです。そしてあの登場人物たちにも、実際に会ってきた、そんな感じがします。
あの胡散臭いスナック アムールのおばさんや鶏のおっさん。
タバコを肺に入れないで吸う薄っぺらいおばさん。
人生に絶望している主人公の男。
元左翼で左腕吹っ飛ばしちゃった優しい目のおっさん。
橋下徹みたいに偉そうな弁護士。
調子のいい職場の後輩。
立ちションのバカカップル。
メインから脇役までみんなすごくいいです。みんな一見嫌な奴なんだけど、みんな各々辛く苦しい人生を生きています。
主人公の男は、見えない欠陥を探す仕事です。
彼はトンカチで橋の支柱を叩きながら、自分の人生が壊れているかを確認します。
支柱に大きな×を書いて、全部壊れてるよ、と言い投げます。自分の人生は壊れているんだと。
誰にも感謝されるわけでもなく、客の笑顔も見えない仕事は、辛いです。
だからこそ、先輩に、才能あるんだからさ。なんて言われると、とても救いになります。
食べて、笑えれば、それで良いんだよ。
という台詞にも、とても救われます。
先輩の言葉は、痛みを知ってる人が言える言葉だと感じました。
それは彼の態度や表情にも十分現れています。
Akeboshiの主題歌も良いです。
Usual life。映画の登場人物たちが普段の生活に戻るように、映画を見終わった観客たちに、エンドロールで「Get back to usual life」と語りかける感じです。
オリジナル版は、安倍さんのアンダーコントロールスピーチをサンプリングしています。是非聞いてみてください。
劇場を出た後、世界が少し変わって見えました。今年の邦画で一番感動しました。
良いダメ 悪いダメ タチの悪いダメ
映画の内容自体は、この手の作品の題材で使われるような出来事であり、救われないという意味では往年のATG映画のようでもある。但し、そういう映画自体が少なくなっている現在に於いては希有な作品として評価されてもいいと思う。
社会の厳しく、苦しく、絶望的ですらある事実に、否応なしに巻き込まれそして堕ちていく生活の破綻に、それでも自ら生を終わりに出来ず、藻掻き、足掻き、益々沈んでしまう負のスパイラルを人間はどうやって乗り越えるのか、否、乗り越える必要があるのか、そうやって生きるという『地獄』をやり過ごすきっかけを掴むのが、作品としての締めである。
強い感動はない、感嘆もない、静かに静かに沁みる映画である。
浅ましく、だらしない、そしていて強く逞しく過ごす人間に称賛を送っている監督の気持ちが強く刻まれているのを、ジワジワと心に入り込む。
切ない、非常に切ない、そしていて、それでも生きようよって、元全共闘の片腕を爆弾で吹き飛ばしてしまった上司の存在、その役がこの作品を言い表しているような・・・
シーンがころころ変わって初め意味分からないが、徐々に意味が分かって...
恋人たち
じわじわ
それでも生きて行く
メジャー作品では表現しにくい感情の剥き出し具合が凄く、橋口監督らしさ全開で安心しました。
現代を生きる自分たちにとって目を背向けたくなる様なシーンが多く、社会的弱者を強制的に目の当たりにさせられるのは正直胸が苦しくなりました。
それでも絶望せず、踠きながらも明日も生きて行こうとする主人公3人に感情移入してしまう手腕は名監督たる所以だと思います。
終盤、妻を亡くしたアツシが上司の黒田に溜まりに溜まった怒りや悲しみの感情を吐露するシーンは涙腺崩壊必死です。
こんなにリアルで悲しみに満ちたワンシーンは、近年の甘ったるくて虫酸の走る様な邦画ばかり見ている方にこそ見て頂きたい名場面です。
かの淀川長治氏が橋口監督を「人間のハラワタを掴んで描く人」と評してましたが、正にその通りの内容です。
この時代の「今」を生きる人に劇場でリアルタイムに観て欲しい映画です‼︎
(自分は映画関係者ではありません笑)
あとからジワジワくる
聞き手のいない魂の叫び
今年の邦画ナンバーワンの傑作。無名の役者達の演技が圧倒的なリアリティを持って迫ってくる。画的に派手なことは何ひとつ起こらないとかそんなことはどうでもいい。彼等の聞き手のいない魂の叫びに「心のドアをコンコンとノック(by MAKI THE MAGIC)」されたんだよ!
使い方合ってるかわかんねえけどな
とはいえ一回観ただけで消化できるような作品ではなくて。正直自分でもどう思うのかよくわからんところもある。久しぶりにエンドロール後もちょっとの間席を立てんかった。剥き出しの人間たちの物語がズシンと来たってことは確か
中盤。篠原の慟哭シーン。あのズームは鳥肌が立った。まさしく迫ってきた
瞳子役の女優は絶対熟女もののAV女優だろ!と思ったけど調べてみたら違うかった。いやはや俺としては映画史上最も取るに足らないおっぱいだったなあ。しかしおっぱいとは実は取るに足らないものなのかもしれない…それが真実なのかもしれない…いずれにせよ素晴らしい演技でした
そして長回し。やっぱり長回しは伝わってくるものの強度が違う
はあ『恋人たち』なんていうかマジで傑作やわこれは
いとしい人々
すごい
哀しくて可笑しくて、いとおしい
ちょっと、惜しいかな・・・。
CMの続きかな、と思っていると、いつの間にか本編が始まっていました。これから鑑賞する人は注意しましょう。
生きていく上でのそれぞれの苦しさを抱えた三人の三者三様の生き方を描写していくのですが、この監督本人が性的マイノリティに属しているせいか、その描き方にはどこか温かさがあります。唯一、違和感を覚えたのは、終盤、妻を殺された主人公が涙ながらに延々とモノローグを続ける場面です。もう、観客はこの主人公の気持ちは十分に判っている筈なので、冗漫であり、些か、興醒めでした。この場面は丸ごとカットしても良かったのではないのか、と思いました。また、この場面がなければ、☆は四つ半にするつもりでした。
さまざまに張り巡らされている伏線もうまく回収されていました。ただひとつ、判らなかったのは、階段で男性弁護士を突き飛ばしたのは誰なのか、ということです。私は一回しか観ていないのでそこらへんの消息がよく摑めませんでした。
最近は本当におカネを払って鑑賞に値する映画が少なくなりました。題材もやりつくした感がありますし、脚本もどこか既視感に満ちたものばかりです。映画界の将来は余り明るくない、年を追うごとにそのような感慨が強くなります。
私にとって、この秋、最大の期待作でした。若干、ケチをつけましたが、観る価値はある作品です。
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