恋人たちのレビュー・感想・評価
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川が人を隔て、橋が人を繋ぐ。
いい映画を観ると、すぐさま外に飛び出して、日の光を存分に浴びたくなる。けれども、この作品は、エンドロールで絶品の光と青空を惜しげなく用意してくれていた。そのあたたかさとまぶしさに、とても満たされた。映画が終わり、客電が点いてしまうのが惜しいような気さえした。
あちら側とこちら側をふらふらとしている主婦、こちら側にしがみついている弁護士、あちら側とこちら側を結ぶ「橋」を点検している男…。特に、深い傷と闇を抱えざるを得なくなった男が、「橋」に関わる仕事をしていることに心撃たれた。ずぶずぶと底の見えない淀んだ水、折り重なる高架線と橋で光を遮られた、薄暗い場所。そんな中を、彼は日々這いずりさまよっている。出口の見えない毎日を、綱渡りのように生きるため…。そんな彼を、そっと見守る同僚たちの存在に、じわっと救われる気がした。特に、先輩格(「滝を見に行く」でツアコンを演じた黒田大輔さん)が、仕出し弁当を下げて男の家を尋ねるシーンは忘れ難い。ずずっと男の独白に迫っていくカメラの勇気に、思わず息をのんだ。
一方、主婦は滑稽なまでのいじらしさと可愛らしさで物語に動きを与え、頑なな弁護士は人の心に巣食う臆病さを見せつけ、わだかまりや苛立ちをくさびのように打ち込む。人を疑わず、気持ちのままに新たな世界に飛び込もうとする女と、傷つくことをどこまでも恐れて人と繋がりを持てずにいる男は、一見両極にいる。けれども、次第にそれぞれの痛みと声にならない叫びが切実に響き出し、共に光をつかんでほしい、闇に落ちてほしくないと願わずにいられなかった。(「サッドティー」に続き、内田慈(ちか)さんがいい味を出していた。)
私事ながら、前作「ぐるりのこと」も、本作も、奇しくも人生の節目に出会えている。とてもありがたいことだと思う。きっと本作も、繰り返し観返すことだろう。とことんまで落ち込みたいとき、そっと背中を押してほしいとき、ただただ劇場の闇に身を置きたいとき、などなど。…本作を劇場でちゃんと観ることができ、これで、お腹の子がいつ産まれても心残りはないな、という気持ちになった。(とはいえ、予定日近くまでは慌てずに居てほしいけれど。)
久しぶりに出会えた良作に、どこまでも感謝。
胸先三寸
安藤玉恵と内田慈が出てる割に面白くなかった。
安藤玉恵の「白いでしょ」ぐらい。
会話が絡まない。
突拍子もない展開が多い。
みんなひとりごとに近い。
それぞれの狂気と孤独を表しているんだと思うが·····とにかく長ーく感じる。
役所の職員役の山中崇との絡みは面白いが、国民健康保険料を役所が現金で受領し、1週間だけの保険証を即日発行とかあるんですかね~
口下手な男が、「これはあなたの胸先三寸ですか?」って言うかね~
こうゆう男がいる職場(橋梁点検会社)は嫌〜な雰囲気になりますよ。
黒田大輔が一番マトモに見えるんだから困ったもんだ。
弁護士もサイテーで胸糞。
昭和の東京オリンピックでお堀の上に首都高速作ったことや石原都政批判もわかるが薄味で効いてない。
宮内庁関係の話はブラックなんで、ちょっとヤバい😎
恋人たち
それでも人は生きていく、という挑むべきテーマを撮れた良作だが、何処か凡庸なのは男の二篇の既視感ゆえか。
最悪最良な女優の脱ぎはタイプキャスト気味の光石の好演も手伝い映画史に残したい名シーンだが。
義姉役の和田瑠子の激演に救われた感も。
プラス要素が逆にマイナス要素に
ちょっと一般の人より違う人生の道を歩んだ三人の日常。闇を持っちゃった三人と言った方が早いかも。
三人に共通する所は不器用な人生。
それを地味な日常の中で表現。
タイトル「恋人たち」の意味も普通とは違う意味で納得。
無名や新人役者を中心に置き、その周りを有名役者で固めるスタイルはユニーク。また実際昔あった事件など絡ませてクスりとさせる所もあり。
しかし、監督の好手腕が逆にマイナスと感じる部分もあり。
全編日常には見えない良すぎるテンポ。
主役陣が合格点過ぎて有名役者達が映画のプラス要素になっていない。
(私は光石研の演技は一番映画としてマイナスに感じた。ニワトリ追いかけシーンや終盤シーンは特に。)
変わった趣向の作品で少し新鮮味はあったが、メジャーでもマイナー(素人っぽく)でも無い(らしさが無い)どっちつかずになってしまった感はある。
他のレビュアー様が「バランスが悪い」と言う意味も分かる。
【地味な日常を送る人々の姿を”愛おしみ”を持って描く橋口亮輔監督の手腕】
主演の俳優二人は、当時ほぼ無名。(篠原篤、成島瞳子)
橋口監督のワークショップに参加して、抜擢されたとの事。
物語りも、息を殺すように日々を送る人々の姿が主で華々しいエンタメ作品ではない。
だが、全く飽きることなく2時間20分は過ぎた・・。
今作は橋口監督が原案及び脚本も手掛けている。
改めて、日の当たらない人々を優しい目線で描かせたら図抜けているなと感じた作品である。
又、主役の二人を確かな演技で支える、リリー・フランキー、木野花、光石研、安藤玉恵という現代邦画の名脇役たちの演技も忘れ難い。
<2016年2月16日 シネコン劇場で鑑賞>
演出がやりすぎ
2019-002@アップリンク吉祥寺パルコ
お正月休みにすることもなく、新作の公開もまばらだったため、こんな時は新しくできた吉祥寺のアップリンクだ!ってことでラインナップからレビューの平均点が高めだったこの作品を鑑賞。
まず思ったのは共感しづらいという事。
主人公たちが魅力的では無く、さらに身近にいるような境遇の人間でもない。悪い言い方をすると可哀想な人達なのである。
役どころとしては難しい役どころなのは直ぐに分かるのだが、演じてる役者さんは今までに見たこともない一般人か?と思うような役者さんを使っていて、そこが良くないと感じてしまった。
先入観無しに観てもらいたいという意図なのだろうが逆の先入観を植え付けられて、この人たちはなんなのだろうと思ってしまった。演技もどこかわざとらしく気になる。。。
そしてこの作品、登場人物が周りから見えてないかのようにやたら独り言を喋る。
いくら喋っても届かないのがこの現代だとでも言いたいのか。
あまりにも独り言が多く、そんなに喋るかね?と思わざるをえなかったほどで、せっかくの良いシーンになるはずが台無しだ。
扱っているテーマはとても大切な事だとは思うが、魅せ方がイマイチだと思う。
もっとあっさりで良かった。時間も長い。
地味に、元気がもらえる、いい映画!
ピンボケしたストーリーが
どこまで続くんだ?
と、耐えながら、かなり後半まで。
が、
いつのまにか
あざやかに像を結ぶんです。
バラバラの3つの話は
バラバラのままで。
でも、
後でよく考えてみると
確かに、3組とも『恋人たち』
なのだと気づきます。
全部、すれ違っています。
3人の主人公は
周りから理解されず、
逆に、
周りの人々の言葉も
主人公たちに
ちゃんとは届いていない。
というか、登場人物全員の間にある
言葉たちは、全部、届いていないような。
届かない言葉たちは
受け止めた側の勝手な解釈で、
不安や怒りになる。
そればかりか、
希望にすら、なる。
そうやって
人と人はつながり
日常は続き
明日へと生きていく。
地味に、地味に、元気がわく
そんな気がしました。
しばらくは他の邦画を見なくていい程の満足度
・妻を通り魔に刺殺され、裁判費を稼ぎながらも窮屈な思いを抱える男、生活に疲れた夢見る主婦、親友に秘めた想いを寄せる完璧弁護士
・劇的ビフォーアフターに出てきそうな手狭な一軒家
・コンドームの自販機へ小走りの主婦
・マスクしてる役所の人(山中崇)のいや~な感じがよくでてる演技
・キャラクターがにじみ出る人間のおかしさが沢山ちりばめてるので、状況は悲劇でも笑ってしまう
・光石研はスゲー役者だなあ
・主婦が鏡を見てから綺麗に身支度して家を出るシーンで涙
・職場の上司(黒田大輔)の優しさに包まれた接し方に涙「殺したらダメだよ、こうしてお話しできなくなっちゃうよぉ」
・「世の中には、良い馬鹿と悪い馬鹿とタチの悪い馬鹿がいる」
・ラストは篤が高架下の河川を船で進みながら、「右よし左よし(上を見上げ)よし」と建物の隙間から覗く青空を見上げて幕、主題歌が優しく響く
・人生で一番あっという間の146分
もっと広がれ
こういう作品がもっと多くの人に観られて、議論されるような風潮にならないかな。
プロモーションにカネかけて、下手な有名タレント配役して、ファンならキュンキュンして泣けて・・・みたいな作品ばっかじゃない!ってことを証明した作品だと思った。
たしかに重い。でもそんな作品がなきゃ業界が廃れる。
暗すぎる
理不尽な世の中。周りは悪意と無関心ばかり。そして自堕落な自分…。
そんな中でも日々を生きていきます。
というような映画。
たしかにこういう人はいるけれども、
さすがにマイナス描写に特化しすぎでは…。暗い。
久々にいい映画を見た。 3つの日常が交差する。妻を通り魔に殺された...
久々にいい映画を見た。
3つの日常が交差する。妻を通り魔に殺された男、プライドの高いゲイの弁護士、パートと家往復だけのありふれた主婦。
どれも、鬱蒼としたものを抱えている。
あるものは理不尽にパートナーを殺され、精神までおかしくなり、
あるものはプライドが高すぎて、相手を思いやれなくなり、
あるものはつまらない日常を抜け出したいが、できなくて感情を押し殺す。
いろんなセリフが淡々と進むのに、ずっしりくる。
もっと重いタイトルにした方がよかったのでは。
新人の3人が演技臭くなくていいし、新人だけに他の役との交差もなくてよい。
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