「世界はすぐには変わらないけど。」PK hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
世界はすぐには変わらないけど。
おおおもしろかった!
楽しくて、笑えて、宗教や神について考えて、ホロリと泣いて、最終的にはあったかい気持ちになって映画館を後にするっていう、まさに年始に見るのにパーフェクトな映画!
しかし、いろんな宗教の人が混ざりあってて生活における宗教の比重が日本とは比べ物にならないであろうインドで、こんな内容の映画が受け入れられたのかな?と思ってパンフを読むと、なんとインド歴代興行収入No.1の記録を叩き出したとのこと。
そうかーインドって私が思ってるよりずっとリベラルな土壌があるんだなーと思って読み進めると、やはりそう単純でもないようで…
最近はヒンドゥー・ナショナリズムと呼ばれる、ヒンドゥー教を国家作りの基盤にしようとする人たちが勢力を伸ばしていて、彼らはイスラム教やキリスト教の信者を排斥しようとしていて、この映画に対しても上映禁止運動が起こったとか。
つまりこの映画の大ヒットは、アメリカでトランプ旋風が吹き荒れる中、大ヒットになった「ズートピア」と同じような構図だったのかもしれない。
かわいい動物たちの姿を借りて人種差別問題に切り込んだ「ズートピア」は大ヒットしたけど、次期大統領に選ばれたのは白人主義者のトランプだった。
映画1本が世界を変えられるほど、世界の仕組みは簡単じゃない。
それでも。
「ズートピア」や「pk」で何かを感じた若者や子どもたち、今まで思い込んでいた常識に疑問を持つようになった大人たちはきっと大勢いる。
すぐに世界は変わらなくても、こういう映画が多くの人に届いて、ひとりひとりが問題意識と向き合うことには大きな意味がある。
「pk」を観て、もうひとつ「逃げ恥」のブームのことも思い出した。
「逃げ恥」が契約結婚という形で、結婚というシステムとは何か?をゼロベースから問い直したように、「pk」は宇宙人からの視点で神とは何か?宗教というシステムとは何か?をゼロベースから問い直す。
そして「pk」「ズートピア」「逃げ恥」の3作品とも、難しいテーマを難しくなく、とにかく楽しいエンターテイメントにしよう!という製作者の気概に溢れているのがほんとに素晴らしい。
それと、ヒロインがめちゃくちゃキュートなのも3作品の共通点。
健康的で知的でセクシーでキュートなジャグーちゃんまじ最強!!
もし日本でリメイクするなら長澤まさみかなーとか考えたり。
ちなみにpk役は草なぎ君かなーと思ったけどどうでしょう。