「映画自体マジック!」マジック・イン・ムーンライト kuさんの映画レビュー(感想・評価)
映画自体マジック!
冒頭から「なんでそんなに嫌味なの」と言いたくなる、ひねくれにひねくれた、皮肉ばかり口にするコリンファースのキャラが炸裂。
これまでウディアレン監督が作品の中で、自身で演じてきたキャラクターとなんだか似ていて、まるでウディアレンがそこにいるかのようでした。
ウディアレン作品といえば「群像劇」とよく聞きますが、序盤は悪く言えばだらだらとした人間達の会話が続きます。エマストーン演じる占い師と出会ってから、派手な展開も特にないのですが、突然コリンファースのキャラが変貌。「あれれ、なんだかあっさり・・・あんなにひねくれていた頑固な人間がこんなに簡単にものの見方を変えるかな・・・」ともやもやさせられ、そこからご都合主義のような展開もあり、正直「ちょっと今回は好きな作品じゃないかも・・・」と思ってしまいました。
けれど最後まで見てよかった!
なんというか、この映画自体が「マジック」というか。
前半で「ん?」と思ったところも、後半で少しずつヒントを出してきて、見ている方がタネに気づき始めたところでこの作品はとても愛おしくなり、最後の最後、もう皆がわかったところでコリンファースのおばへの一言で「タネあかし」もきちんとしてくれる。
やっぱりすごく巧妙に作られていて、ラストの締め方も素敵。
ウディアレン映画は終わり方がどれもとっても洒落てます。
主演のコリンファース、エマストーンはどちらも華があってすごくよかったのですが、個人的には叔母さんのキャラクターがとても好きです。すべてわかった上でコリン演じるマジシャンと話しているんですよね。カードを並べながら話すシーンや最後のシーンは微笑ましくなってしまいます。
登場する風景や衣装もとても色鮮やかで美しく、ハッピーな気分になれる映画でした。「ブルージャスミン」「ミッドナイトインパリ」に次ぐお気に入りです。