「物語のテーマと役者を殺したものは何か?」秘密 THE TOP SECRET アドルフさんの映画レビュー(感想・評価)
物語のテーマと役者を殺したものは何か?
意欲的なテーマを持ち、これだけの役者を揃えて出来上がった物がこれとは…。なんともしっちゃかめっちゃかで、フォローのしようが無い。
細かいツッコミを入れたらキリが無いが、何よりも「薪剛」という人物のカリスマ性が描かれていないことが、大きな欠落だと思う。
彼がいかに天才的で、MRI捜査におけるキーマンなのかをきちんと描写しなかったために、貝沼の言う「神の領域を犯す」罪と罰が、なぜ薪に向けられたのかが分からない。
MRI捜査って、薪が開発したものなの?原作未読だと、そこら辺すらよく分からない。
結果、「神の領域を犯す」という物語の命題と、薪という主軸に置くべき人物が、非常にぼんやりとした存在になってしまった。
せめて、薪がその頭脳で華麗に捜査を指揮して事件を解決するエピソードでも入れておいてくれればいいのになぁ。常に後手後手で、天才の片鱗も感じさせず、なんともかっこわるいキャラになってしまった。
もっとうまく演出できたのなら、生田斗真はもっとやれたはずだと思う。残念だ。
絹子役の織田梨沙は評価が分かれると思う。
不安定なリズムと抑揚が絹子のアンバランスさを引き立ててはいるが、ただそれだけのように思う。
これからどんな役をやるのだろうか。
しかしまぁ、最終的には「世界は美しい」って…そんなアホなまとめ方あるかい。広げた風呂敷をぶん投げた感がはなはだしい。それなら無理にまとめないで欲しい。
映像に関しては意欲的な部分も垣間見えるが、演出効果としてはいまいち機能していない部分も多い。
とにかく監督がまるで物語の本質を理解していないから、どうしようもないのだ。
大友監督の次回作「ミュージアム」は原作からしてグロ要素ありのサイコサスペンスなので、まぁまぁな出来が予想されるが「三月のライオン」がどうなるか…。あの繊細な人間ドラマを描けるのだろうか。ちょっと不安だ。
コメント失礼します。原作ファンです。
殺されたのではなく、中途半端さによる破綻だと感じました。
監督が何を書きたかったか、に絞れないまま、作った気がします。
青木をあの様な設定に変えたため、第九での薪さんのカリスマ性が出せず、他の第九のキャラもしかり。
この話の根底が中途半端に設定したのが、1番の原因だと、私は感じました。るろ剣の、斎藤さんの牙突フンワリくらいなら、ともかくね。