「主題歌はよかった。」秘密 THE TOP SECRET なもこさんの映画レビュー(感想・評価)
主題歌はよかった。
けっこう辛口になると思います。
原作は既読です。
色々あるけど思いついた順に。
絶世の美女絹子役の若手女優さん、予告では少々ビジュアル(やけに眉毛が薄い等)に違和感があったが、そのうち「これはこれで妖艶」と受け入れられた。
表情や仕草など演技もよかった。
た だ し 喋 ら な け れ ば 。
滑舌の悪さや棒読み、あとやたら鼻につくいわゆる女性語(〜かしら、〜なのよ)はどうにかならなかったものか。
序盤の台詞無しのシーンが好印象だっただけに残念。
それから薪と貝沼の出会いシーン、なぜ舞台を教会にしたのか。
個人的に貝沼事件の真相の怖さは「誰もが持っている親切心」が、時に他人を殺人を犯すまでに追い詰めるというところにあると思うのだが、薪がクリスチャンでは大多数の日本人は共感できないんじゃないだろうか?
監督と原作者の対談記事によれば「(監督)本当は、原作の設定通りにスーパーで薪と貝沼を出会わせたかったんです。撮影できそうなスーパーを探したんですけど、どうしても近未来の感じが出ないんですよ。ギリギリまで悩んで教会にしました。」とのこと。
確かに近未来で吉川晃司がスーパーにいたらそりゃ目立つし、おかしな画になる。
だからと言って教会はいかがなものか……未練タラタラ。
それから宗教じゃないけれど、貝沼と絹子が出会ったきっかけっぽい怪しい団体。
それに対する説明が一切無し。
何だかみんなで勝手に叫んだり泣いたりしている。
観ている方は置いてけぼり。
絹子がサイコパスになった経緯も、判然としない。
絹子の台詞に「私がこうなったのは、お父さんのせい?」とあったが、いやいや、あんた(原作と違って)父親と関係する前から男と寝まくってたしバンバン殺してたでしょ。
オリジナルでおっさんが女遊びしてるシーンは何度も入れてくる割に、ストーリーは圧倒的に説明不足だと感じた。
映画を盛り上げるためにセクシャル、バイオレントなシーンを強調するのもいいけど、話の辻褄はちゃんと合わせてくれ。
あと、原作ありきの感想かもしれないが、いちばん大きな疑問を。
そもそも原作では、絹子が男を殺すのは父親からの性的虐待による男性不信が原因だったが、それをなぜサイコパスという設定に?
この作品では「普通の人たち」に焦点が当てられてこそ、近未来的で突飛な世界観の中でも人間の普遍的な隠れた欲望や狂気がむしろ際立って現実味を帯びて怖いのに、劇中の犯罪者達はカリスマ垂れ流しの浮浪者やセックス依存症サイコパス女等「いかにも」なキャラクターばかりで全く親近感がわかなかった。
映画全体を通して「どこか遠い世界のお話」という印象だった。
何だか悪役の話ばかりになってしまったなあ。(私が悪役好きだからか)
あと駄目押しでもうひとつ。
ラストの人間賛歌()的な部分。
犬目線で出てきた、芝生でギターを弾く若者、赤ちゃん、「あーん」しているカップル、謎の大道芸人etc...
勘弁してくれ。
カップルまでは我慢したよ。
大道芸人でこらえ切れず失笑。
ほんと何で出したの…。
ワンコと平井少年の微笑ましい愛情だけではいけなかったのだろうか。
長々と書いてだいぶ溜飲が下がってきたので、良かったところも。
私がこの映画を観ようと思った理由の4割くらいは、予告を観て、三好雪子役が栗山千明だと知ったから。
このキャスティングには拍手を送りたい。
美しかった。
最高。
以上。
あとタイトルにも書いたけど主題歌はほんとによかった。