「婆さんと、オッサンと、オーバーアクション。」母と暮せば 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
婆さんと、オッサンと、オーバーアクション。
三十路を越えたオッサン(劇中では十もサバを読んでいるが)が、母親(もうお婆ちゃんにしか見えない)の目の前でその布団に入って現れ、「あぁ…母さんの匂いだぁ」と言うのを観せられどう思うかが分け目の一本。
自分には其処が気持ち悪すぎて、とにかく泣くどころではなかった。
ネームバリューは別として考えて、せめて役柄に近く違和感ない俳優を邦画は使うべきだと思う、せめて。
吉永小百合氏の演技が上手いと思ったことは、過去作を観てきても一度もない(「画面の華」の人だし、近年は実年齢と乖離した役が多すぎるのもある)し、別に二宮氏の演技力に不満があるわけでもない(「青の炎」「STAND UP」の頃は最高だった)けれど。
とにかく「舞台劇」のような演技が過剰で非常にうるさく感じた。
そこに「私は自然体です!」と常に不自然な空気を纏う黒木華(舞台ならばそれでいいかもしれないけれどね)が出てくるから。
炭水化物×炭水化物の食事のように、くどい事この上なく。
そして冒頭の試金石。
何がしたいのか、言いたいのか。
旦那や長男坊には見向きもしない、歪んだ母親のはらむ狂気?
他でもない自分が言ったことを、あっさり捨てて自分を可愛がる雌のしょうもなさ?
ただただ解らない、山田洋二監督らしからぬ難解さといったら。
加えてあのラストの笑撃の演出…
頭が痛くなった、本当に。
長崎をネタにした近年でも類を見ない、邦画の珍シーン。
過去の意地と約束があるとはいえ。
実力の無いメリル・ストリープはいい加減そろそろ脇へ回ろうよと思った作品。
メリルは主演は譲らなくても、婆さんの役はやるからね。
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