「遺志を継ぐもの」母と暮せば SHさんの映画レビュー(感想・評価)
遺志を継ぐもの
この映画を見ようとしていて、まだ井上ひさし著作の「父と暮らせば」を読んでないというのであれば、事前に読んでおくことを強くすすめます。山田洋次監督の志が深く理解できるはずです。短い戯曲なのですぐ読み切ることができるので、是非。とはいえ、読んでなくても十分伝わるのですけれども─。
言わずもがな、絵の美しさ、脚本、演技演出、全て素晴らしすぎます。
終始、涙しました。あらゆるところで勝手に泣いていた気がします。
自分は、山田洋次の人情とか吉永小百合の演技とか、実は苦手だったりします。しかも、二宮和也とか浅野忠信の男優陣のこの映画における演技もあまり好ましいとは思えませんでしたし、これは自分には合わない映画だと断言できますが、作品の持つ伝達力とか遺志とか質といったものには、ただただ驚愕するばかりです。
特に吉永小百合を筆頭に女優陣の振る舞いは一つの世界を構築しきっていて、あの人等は決してこちら側の人間には見えませんでした。
すべて過剰な演出で、あくまでドラマチックです。しかしそれら架空の出来事は、紛れもなくその当時に起こったことであると実感できました。そう感じてしまうと大いなるドラマが自分の中でスパークして、号泣。
遺志を継ぐものの葛藤、それがよく伝わってくるわけで、泣かずにはいられない。
この映画を世界の核保有国で上映すべきでしょう。エンタメとか芸術を政治利用するのは外道だと認識しつつも敢えて主張します、当然アメリカ全土で上映すべきであると。と言いながらする訳ないと思っている卑怯者の自分が今ここにいます。
日本は紛れもなく被爆国です。
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