「まだ終わってない」シン・ゴジラ セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)
まだ終わってない
怪獣映画をきちんと観たのはおそらくこれが初めてです。
怪獣が街を大暴れするが、ヒーローの活躍で平和が戻る、という単純なイメージしか無かったのですが、実際に観てみると全然違い、こんなに面白いのか!と驚いています。
何が面白かったかというと会議シーンです。難解な条例や専門用語を早口でまくし立てる政府関係者達。難解すぎてついていけないのですが、それがかえって超リアルで惹き込まれます。ゴジラ出現というあり得ない事態の中、霞ヶ関ではリアル会議。このコンロラストが面白かったです。実際に未曾有の大災害が起きたら官邸ではこんなやりとりがあるのだな、と伝わってきます。
ラストも考えさせられます。一応一区切りついた所で終わっているように見えますが、あれはいわば最悪の事態の一歩手前で一時停止ボタンを押した状態です。ゴジラを倒したわけでも、追い払ったわけでもないのです。
東京のど真ん中で凍結されたゴジラは何を意味しているのか。
海底で核汚染された産業廃棄物を取り込み、巨大化したゴジラ。人間は飛躍的に進化発展してきたが、その影でとてつもない代償を生んでしまった。ゴジラはその隠喩です。
エネルギーや環境問題、その他にも、国際協力、災害やコロナ対応、、、私たちは様々な課題を抱えています。それらにどう対応していくのかをゴジラに問われているような気がしました。
【その他】
・第2形態のゴジラ。インパクト大でした。今までのイメージとは全く異なる見た目で、いい意味で裏切られました。気持ち悪いんだけど、クセになりそうで、一度見たら忘れられません。
・ハリウッド映画だと恋愛や家族愛の要素も加えて感動を誘ってきそうですが、この作品にはそれが全くありませんでした。あくまで政府のリアル対応と暴れるゴジラに焦点を絞っていました。そこが良かったと思います。
・ゴジラの尻尾。人間が取り込まれているようにも見えるラストの尻尾。ネット検索すると色々な考察が出ていて興味深かったです。