「日本の40%へ向けた映画」シン・ゴジラ はち公さんの映画レビュー(感想・評価)
日本の40%へ向けた映画
日本人が誰も「ゴジラを知らない」という世界には違和感を感じざるを得ない。
笑ってスルーすれば良いと言われればそれまでなのだけれど、伝説の云々というくだりは特撮物特有のウソ臭さを感じてしまう。
リアリティを重視して「一度もゴジラが来ていない」設定にしたのだろうけれど、一度もゴジラが襲来していない世界の我々がゴジラを知っている。
子どもが絵本を取り落として”ゴジラ”とつぶやく…で良かったのではなかろうか?
で、本作にはパーソナリティを持った”一般人”は出てこない。市民側から見た喜怒哀楽のようなものは殆ど感じられない。あくまで政府側視点である。
それはそれで面白いが、皆が感情移入出来るか?は疑問に感じる。
初代ゴジラに対比させて、東日本大震災の惨状を重ねたのは解る…が、ゴジラが襲ってくるのは東京である。
東京が狙われることはシリーズの定番とは言え、物語がリセットされている以上は過去の理由は使えない。
実際に類似する事態になった時に、政府は「東京だけを守る」という判断を下すだろうか?
選挙の毎、東京の一等地よりも限界集落の方が国政への影響力が強くて不公平だ…などと言う人達だから、切り捨てられてもおかしくは無い。可能性はゼロでは無い。
地方在住としては、そんなことを考えてしまう。
殊更に地名の案内も出ないので、終盤は地元民と軍事オタク以外は蚊帳の外という感じである。
東京の人は気付かないのだろうが、東京を全国民が知っている訳では無い。
そんなわけで、これから頑張っていこう!というメッセージも、どことなく他人事に感じてしまわざるを得ない。
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