「現実のほうがもっと恐ろしい」シン・ゴジラ かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
現実のほうがもっと恐ろしい
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ゴジラは冷却できたようだし(血流で冷却しているのに血液凝固をしてなぜ冷却できるのか腑に落ちないが)、放射性物質の半減期も20日だという。
日本には損傷して後始末ができていない、本当に後始末できるかどうかあやしい原子炉が現存する。半減期が数千年という使用済み核燃料もある。放送される度に増え続ける福島第一原発の汚染水のタンクのほうがゴジラよりよっぽど恐ろしい。
フィクションが現実に及ばないようでは映画にならない。
ゴジラの生体の謎解きはほとんどセリフでの説明ばかり。
映像で説明できなければ映画にはならない。
政治サスペンスはただですら難しい。
未来の首相と幹事長を目論む男が、高等遊民とその幼なじみではコメディにしかならない。
「この国は」、「この国は」と繰り返し根拠のない楽観論を言っているが、現実をこの映画程度に矮小化しているなら単なるうぬぼれでしかない。cool Japanかなんか知らないが、ここ何年もこの手のうぬぼれがメディアで散見される。熱に浮かされているように繰り返されていて末期的である。
ゴジラは「この国」という枠を越えた存在でなくてはいけない。
そして安易な楽観に浴している我々警鐘を鳴らす存在であるはずだ。
再び現実にしっかりと目を向けさせるために。
そうでなければゴジラという映画ではない。
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