劇場公開日 2016年7月29日

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「早口が功を奏したリアリティと、ゴジラプライド!」シン・ゴジラ Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5早口が功を奏したリアリティと、ゴジラプライド!

2016年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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観たのはずいぶん前だけど、シン・ゴジラが観客1億人突破!ということで、そろそろレビューを(笑)

全編にわたって繰り広げられるのは、ゴジラ対策に翻弄される日本政府のドラマですね。もちろんフルCGのゴジラも、見応えがあるんだけど、人間社会のディテールのすごさが、この映画の最大の魅力でした。
無駄な会議やセクショナリズムや、決定手続きの複雑さ。日本社会や会社組織の、ダメなとこをさらけ出してます。アメリカに支配され続ける様や、ろくにジャッジできない首相も、よく描かれていましたね。

そしてスクリーンに入り込めたのは、その人間模様の圧倒的リアリティ。ご存知のように監督の膨大な量の脚本が、2時間に収まりそうにないということで、役者陣はかなりの早口になってますね。見たことのない空気感に、最初から圧倒されます。で途中から気付くんです。この早口って、すごくリアリティがあるなぁ。

映画って緊迫した時は、セリフを効かせようと演出するじゃないですか。感情を表現しようとしたり。けどそれって、実は嘘っぽい。現実って、みんな焦って主張したくて、めちゃ早口で、まくしたてたりなのに。何言ってるか、わからないくらいなのに。今回、尺に収めようとした苦肉の策が、今までにない臨場感とリアリティを生み出しましたね。さすが、もってる映画は違う。

1954年初代ゴジラの原点のイズムをシンプルに受け継いだのはよかった。いつしか集客や子供たちのために、派手に戦うことになってしまった東宝怪獣映画だけど(ゴジラ対ヘドラは決して子供向けではなかったけど)初代ゴジラはカタルシスがあった。原発や原爆実験や人間のエゴなどの社会風刺に、感情を感じない怪獣に、恋愛も家族愛も徹底的に排除したストーリー、だから現代に甦ったゴジラは、圧倒的に怖かった。オマージュも満載で、キャプションの書体や音楽や、政治家や防衛省や自衛隊の扱い方。幼い頃から好きだった僕は、ニヤニヤしっぱなしでした。

本当にリスペクトした人が、命を吹き込むと、すごい映画ができるものなんだなぁ。これは、ジャパンプライドであり、まさしくゴジラプライドですね!

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