「加点方式で一億万点」シン・ゴジラ fall0さんの映画レビュー(感想・評価)
加点方式で一億万点
たぶん何か色々足りてないものはある気がするんだけど、変なホルモンが脳味噌から出てるので細かい事はどーーでもいい。
まず、モノクロのスーツと温度の低い目をしたおじさん達が延々小難しい言い回しをこねくり回してる地味な会議シーンで異様にテンション上がる。執拗さで押し勝っている。早口と舌量と時間の長さで、威圧してくる。ただの会議シーンなのに。
ゴジラもすごい。第四形態まであるとか聞いてない。ミサイルの集中砲火でも微動だにしない。火炎放射をごぼごぼ吐く、終電前の新橋でこういうおじさんいるなってくらい吐く。全身からビームが出る。しかも水と空気だけあれば生きていけるらしい。もうよくわかんない。人間が相手にしちゃダメなやつ。
新幹線と電車とタンクローリーもすごい。ぶつけると強い。京浜東北線やら山手線やらがゴジラに向かって突っ込んでいくシーンの疾走感には、血湧き肉躍った。あいつら普段はすぐ遅延するけど、やる時はやるじゃん。タンクローリーもよくやったよ。ゴジラ、泥酔して水飲まされてるOLみたいな顔してた。はたらくくるますごい。
「好きなことをやれ」っていうテーマに違わず、とにかく心の小2を解放してくれる映画なんだけど、登場人物は賢く狡猾な大人達なのがグッとくる。理性的な政治家が、理不尽の塊と、破天荒に戦う。「現実対虚構」だ。
"無いこと"で魅力を出すのがうまいなと思った。例えば感情表現で、誰も泣き叫ばないし、勝っても歓声は上がらない。それでも十分、その時々の感情に共感できる。
あと、CGが妙にチープで、予告見たときとか映画の序盤は気になってたんだけど、それもどんどん魅力的に見えてくる。ゴジラのビームは郷愁だ。
イイ大人が東京駅をぐちゃぐちゃに潰して喜んでもいいんだな、映画の時くらいはって思った。