「過去を踏襲し、そして切り開くゴジラ」シン・ゴジラ Youheiさんの映画レビュー(感想・評価)
過去を踏襲し、そして切り開くゴジラ
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ゴジラとは一体なんなのか?
本作ではゴジラを終始、巨大不明生物と呼んでいる。すなわち、必ずしもゴジラという呼称でなくとも良い存在として捉えているのだ。
しかし、日本の怪獣という観点から見た場合、あの巨大不明生物はゴジラでなくてはならず、紛れもないゴジラなのだ。
恐怖、畏怖、嫌悪をその内に秘めた信仰の対象、現象に近い存在がゴジラという一個の「格」なのだと言えるだろう。
そういった、災害に近い存在であるゴジラであるが、自然災害が乗り越える対象であるのに対して巨大不明生物である以上、倒して越えて行くのが日本のあり方である、と思えた。
着ぐるみ同士のプロレスがゴジラとするならば〜という意見もあるが、本作、シン・ゴジラは日本人という中の人の着る日本という着ぐるみとゴジラという着ぐるみを着る巨大不明生物のプロレスとして捉えられるのではないか。
最終決戦において使用される武器は、電車やビル、輸送車と言った、世界と戦う日本人を包む『着ぐるみ』であり、戦った中にいるのは紛れもなく日本人なのである。
同時に、それらの無機的な着ぐるみはこれまでのゴジラ映画の中でゴジラによって破壊されてきた存在である。
すなわち本作は日本という国や人や事物がゴジラという概念に対して逆襲する物語である。
日本vsゴジラ
このコピーのとおり、初代から培われてきた作品を踏襲した、正統のゴジラなのだ。
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