「駄作ではないが、傑作でもない。」シン・ゴジラ いも男爵さんの映画レビュー(感想・評価)
駄作ではないが、傑作でもない。
大のゴジラファンなので、初日に観に行きました。
ゴジラと日本の戦いを真っ正面から描いたキャッチコピーに嘘の無いストーリー展開、思わず唸ってしまう特撮シーンに、東宝ゴジラお馴染みの鳴き声&伊福部マーチと評価できる点も多かったです。
その反面、問題点も非常に目立ち、序盤で「巨大生物は上陸した時点で死ぬ」という「空想科学読本」で書かれた設定が出てきますが、ゴジラが出現して「生きているじゃん」と言われた後、その設定は生かされることは無く、これなら初めから言わないで欲しいです。
今作のゴジラは、進化する設定になっていますが、最終形態に進化しるシーンは全く無く、いきなりデカくなって画面に現れた時には「進化する過程こそ存分に見せるべきだろ」と心の中で叫んでしまいました。
そのゴジラですが、歩行シーンでは上半身が全く動かないので、造り物感が出まくっていました。せめて肩くらいは動かせなかったものでしょうか。
そうして、最終的には計算通りに休眠状態から目覚め、これまた計画通りに倒れて間抜けにもお口を開けてお薬飲まされて凍結という予想通りの展開にガッカリしました(普通あんなに大量の異物飲まされたら吐き出すものなんですが)。しかも細胞を研究すれば放射能除去も可能とか、それってゴジラの完全否定では?
人間側にも問題有りで、主人公がやたらまともな危機感持っていますが、どうしてそうなのか説明が無いので、違和感を抱きました。政治家なんですから、周囲と同じ考えを持っている方が普通なのでは? そのくせ最後は「ゴジラと共存するしかない」とかいけしゃあしゃあと言う辺りもおかしいです。
そして、今作の一番の問題点が石原さとみ演じるキャラでハーフだかなんだか知りませんが、あんないかにも漫画チックな振舞い人なんて世界中どこを捜しても居やしませんよ。予告編の段階で嫌な予感がしましたが、見事に的中し、彼女が出てきた瞬間、これまで築いてきた緊張感や緊迫感がガラガラと崩れていくのを感じました。ほんと居なくてもいいキャラでした。
2014年のハリウッド版よりはマシですが、もう少しがんばれなかったものかと思いました。観てそこまで損はしないので、お金に余裕のある方は、劇場に足を運ばれていいんじゃないでしょうか。