「怪獣映画の新たなマイルストーン!」シン・ゴジラ ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣映画の新たなマイルストーン!
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ゴジラファンから言えば「これはゴジラなのか?エヴァじゃないのか?いや、巨神兵?」と感じる気持ちもあるが、ここはこの「新しさ」を素直に褒め称える。
これまでの怪獣は『キングコング』の“何かの象徴”で。そして『平成ガメラ』の“畏敬の存在”がパターンだった。
しかし『シン・ゴジラ』は違う。大戸島と放射性廃棄物が残っている程度であとのゴジラの設定はすべて捨てた。今回のゴジラに象徴やキャラづけはない。何も無い。
今回のゴジラは圧倒的な力をもった“歩く不条理”だ。ドカッと現れて周りの人間たちが右往左往するのが見所になっている。
なるほど、これは『シン・ゴジラ』だ。「シン」が「新」なのかそれとも「真」なのか、はたまた「神」なのか、もしかしたら「審」ではないのか?と、いくらでも裏読みができる仕掛けになっている。
そして一応、人間側に蘭童とカヨコとかがいるが、彼らとてこの右往左往を見やすくしている狂言回しでしかない。
そしてゴジラよりも謎なのは一度も登場しない牧という男だ。実はこの不条理の顛末は「彼が初めて、彼が終わらせた」のだから。つまり彼がいないとこの映画は成立しない。
ここでは人間もゴジラも対等な立場で描かれている。今までの怪獣映画ではありえなかった事だ。
この映画の最大の魅力はこれらにあるといってもよい、そんな「不条理」を「群集劇」で描いて「エンタメ」として仕上げたところがだ。
語りつくしたくなる怪獣映画。それが『シン・ゴジラ』なのだ。
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