あんのレビュー・感想・評価
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他者の尊厳を傷つける時、無知はそのまま罪となる
ドリアン助川の作品が発表されたのは2013年、そんな昔ではないけれど、この頃でもまだハンセン氏病に対する差別的感覚は残っていたのかな? 普通に生きたかったハンセン病患者、徳江。逝ってしまった彼女のかつての部屋は、失ったというよりも奪われたものたちへの想いがこもっているように見えた。そして自分の作ったどら焼きを美味しそうに食べる少女たちを見る彼女の目はそれは嬉しげに光っていた。奪われてばかりの人生で、与える喜びを見出せたこと。それがどれほど彼女の自尊心を力づけたことか。 自分の家の墓へ埋葬を拒否されることの多かったハンセン病患者は、療養所の中に自分たちの墓地を作った。納骨堂とは別に想い出のための木を植えた。失われた命の代わりに新しい命を作り出そうとでもするかのように。それは、現世で得られるもののほとんどなかった人々が、来世にこそ歓びを得ようとするために、渡す梯子の意味を込めたものだったのかもしれない。
素晴らしい演者たちによる、どら焼き屋さん奮闘記!のはずが、タブーを...
素晴らしい演者たちによる、どら焼き屋さん奮闘記!のはずが、タブーを明かす社会派ムービーになってしまい、ドラマを返せ、と思った。劇中でも、「せっかく見つけた場所を返せ」というような話の流れあったが、それにしても差別問題でひきはがしにかかるのはあまりにズルい。思考停止ではないか。せっかく見つけた場所を奪われることの悔しさを晴らす手段は政治になってしまう。 永瀬演じる男の感情の動きが、冷淡かつ情熱的で、観客の気持ちと一体化できていた。
あん
アンコール上映のおかげで劇場で観ることができました。DVDかとあきらめかけていました。どら焼きのあん作りが前面に出てきますがかって日本に存在した暗い重い歴史が根底にあります。最近、この手の話題は表に出ませんので若い方には伝わりにくいと思いますが、ある程度年齢を重ねた世代には伝わる内容でした。原作がある良い作品は原作と併せて観る(読む)ように努めています。今回は観るが先になりましたが読むが楽しみです。
樹木希林さん、名女優
小豆なんてスーパーで買えるくらい身近なのに、突き詰めるとこんなに味わいのあるドラマになるのか。 挑む場所などいくらでもある。足りないのは気づき、もしくは勇気。いずれにしても人生を充実させるのは自分だということを思い知らされた。 重いハンデを悔やんだり人を恨んだりせず、素直に、諦めず、全力で今を生きる姿に心を打たれた。 泣いた。 レビューを書きながらまた思い出して涙腺に刺激。 5ヶ月経過しているのに印象深いのは樹木希林さんの名演技のせい。 とてもかわいらしかったです。
心にしみる物語
しみじみ心に届きます。
ハンセン病、知らない世界でした。その病気ゆえに、隔離され、その中で生活していた主人公。外の世界で働き、まわりの人とのふれあいが、嬉しかったでしょう。樹木希林さんがの、ほのぼのした優しさが光っています。
どら焼きが食べたくなる
単館系だったので、一番近くの映画館を探して観ました。 が、最近になってもっと近所の映画館で上映されていた。 公開からはだいぶ経っているので、上映館が広がってるのはいいですね。 もともと、お料理が美味しそうな映画というのが好きで 「あん」はタイトルからして和菓子屋さんの話なのかな? キャストも好きな感じだし、期待できそう、という動機でした。 映画を実際観たら「ハンセン病」という病気について その患者さんがどういう扱いを受けてきたのかなど ちょっと重たい設定も見えてきます。 人としての幸せって、と考えさせられる映画でした。 俳優陣はみんなとても上手で、自然で、自分もその町にいるような感覚で観ていくことができます。 伽羅ちゃんがナチュラルでこれだけ大きな役をこなしているのが凄いなと。 映像もすごく綺麗でしたし、役者の自然な空気感もよかった。 お話ももちろん。 切なくて胸がぎゅっと掴まれるような苦しさもあって だけどきっと、徳江さんは幸せだったに違いないと思える 本当に素敵な作品でした。 どら焼きがとてつもなく魅力的に感じて しばらくいろんなお店のどら焼きを食べて回りました。 永瀬くんが泣くシーンはたいてい自分も泣いていました。 印象の選択肢に「切ない」がないのが残念。
小豆と桜、こんなにも美しい。
河瀬監督の描写、小豆も桜もこんなにも美しいとは。魅入ってしまいました。 原作に比べて、ワカナちゃんが生き生きと動いているように感じました。 やはり、伽羅さんの凜とした美しさは、モッくんのDNAが入っているんだなあと実感しました。
俳優たちの演技に魅了された
樹木希林も良かったけど、永瀬正敏のあの雰囲気がなんともいえない。 よかった。 全体的には、期待ほどではなかった。 生きるということを考えさせられましたが・・・ ハンセン病のあたりが微妙な触れ具合で、ちょっと 個人的には集中途切れるところでした。 俳優さんたちの演技は最高でした。
観られてよかった
宝塚でやってた! 間に合ってよかった! 樹木希林が、永瀬正敏と喋る ってだけで、感動もの。 それが、お互いのとてつもないデリケートな部分を補って 交わって、反りあって、人生を考える どんなに自己否定的な人間でも 人との出会いが人生を肯定出来るようになる って、凄いドラマチックなんだ。 突き放した進行に 僕のような客は大喜びしました。 説明過多じゃないってだけで ありがたい。
この世界に生きるということ
この世界に生きることの素晴らしさを実感できる映画。 原作の主張を、言葉で強く伝えすぎず、どこにでもあるような自然の風景の美しさを映した映像や、演技で伝える。その伝わってくる想いは、温かく、切なく、優しく、そして厳しい。 自由を奪われて、差別にさらされても、深い心を持ち続けられるのは、ひたむきに生きて、あるがままの自然を愛する気持ちがあるからだろうか。 映画の中に切り取られた風景は、桜が風に揺れる姿や、緑の濃い樹々、雨で桜の花びらが落ちた水たまり、夕日を背に走る電車、小さな街中の河川など、特別な景色ではないのに、どの景色も繊細で美しい。まるで、徳江さんの見る世界を、映像で私たちにも見せてくれているように思える。 映像の美しさは、映画館で映画を観る良さを再確認できる。 最後のエンドロールは、観ている観客が皆で気持ちを共有し、希望を感じているように思えた。
あんの¨影¨
ザ・トライブ、またバードマンを思わせるかのような、永瀬正敏が演じる主人公を滑らかに追うところでこの作品は始まる。時折混ぜられる、四季の変わり様を描くカットもよい。ドキュメンタリータッチで描く河瀬直美監督の持ち味が存分にプラスの方向に向いていた。河瀬監督作品で1番見やすい作品だったとも感じた。それには、やはり樹木希林という大きな存在が。作品全体として、陰と陽をどちらも、とても柔らかく描いていたのが好印象だった。
自分は最後に何が遺せるだろうか?
徳江さんは辛い人生を長く歩いてきたけれど、最後には生きてきた証を「あん」で遺すことが出来た。 自分は何かを遺すことが出来るだろうか? という感想を持った。 細かい事を言うと、偏見をもうちょっと分かり易く否定して欲しかった事と、どなたも書いていたけど、ワカナのエピソードが中途半端な事だな。かごの鳥は、ああ、やっぱりそういう事だよね。ってちょっと分かり易すぎ。 全体には良い映画で、主題歌も良い。 泣けて会場出るとき困った。
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