あんのレビュー・感想・評価
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いろいろな事を問いかけられた映画。樹木希林他、圧倒された出演者の演...
いろいろな事を問いかけられた映画。樹木希林他、圧倒された出演者の演技は心に響くものだった。
ドキュメンタリー畑出身の監督ならではのキャメラアングル
予定調和なストーリーだが、囲いから抜けられない人生を送ってきた人間同士がどら焼き屋の狭い店内で一種の擬似的な母子関係のような邂逅を結ぶとゆう構図がいい。 樹木希林の演技に賞賛の目が集まるのは当然だが、それを引き立てる側の永瀬正敏の存在感が圧倒的。
別格
私は役者と言う者を知らない。 だか彼女は別だ。演技とは思えない。 内容は基本的に狭い鳥籠の用な店、部屋だけで進んでいくがラストは外へ出る。 ここからが始まりと言うところで終わります。あ~んもぅ 彼女の出演作品だけはついチェックしてしまう。視聴に偏見はいけないと思いつつも 別格を観たい方にオススメ
せっかく来てくれたんだから、畑から
映画「あん」(河瀬直美監督)から。
主役を演じる「樹木希林さん」自身がガンを患い、
全身に転移したにも関わらず演技している姿を見るにつけ、
映画と知りつつ、胸が熱くなってくるのを感じた。
彼女の生き方と重ねると辛くなるが、
「小豆」から「あん」を作る工程で、こうアドバイスする。
「しずかに、しずかに・・」「少しずつ、少しずつ・・」
「ここが肝心よ。そんなに忙しくやっちゃだめよ」と。
他愛無い台詞なのだが、私はメモをした。
そこには、豆に対して「もてなす」という姿勢があり、
「せっかく来てくれたんだから、畑から」という台詞が光る。
そして、ラストのシーン、こんな手紙が読まれる。
「あの日の満月は、私にこう呟きました。
おまえに見て欲しかったんだよ。だから、光っていたんだよって。
ねぇ店長さん、私たちはこの世を見るために、
聴くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、
私たちは、私たちには生きる意味があるのよ」
役として、ライ病患者の悲哀と切なさを綴ったのかもしれないが、
名女優「樹木希林さん」という彼女の生の声として、
メモを読み直したら、涙が自然と溢れた。
狛犬の「あ」と「ん」のように、全ての言葉を包括している
「あん」という言葉の食材は、私たちの疲れを癒し、
笑顔にしてくれる魔法の食べ物かもしれない。
あぁ「どら焼き」が食べたくなってしまった。
ハンセン病
1996年にらい予防法が廃止され、元患者(回復者?)の人権回復が未だに叫ばれる事を描いている。 今現在では“らい"と言う言葉すら差別用語にされており、使わないようにされている。 当時の彼らには断種や堕胎と言う人権蹂躙が行われ、今や本人も家族も高齢で、若くして施設に隔離された本人には身内すらその存在を知らないものも多く、すでに生家を失なっている事すらある。隔離入所の際には持ち物(衣類、金品)はおろかその名前すら奪われていた。この歴史を理解しておけば、この映画に対する想いも相当違うと思う。 しかし、作品はその事を徳江のセリフと ワカナのハンセン病患者を調べるシーンのみで語らせ、物語としては薄味に仕上げている。 過剰にその事象をあげてお涙頂戴作品になってない故に観られる作品と思う。 ただ、ラストは何か物足りなさを感じてしまった。 それが私自身の過剰な演出に馴れた弊害なのか?は解らないが、樹木希林本人の余命は少ないだろうからどれが遺作になるか?解らないので彼女の出演作を見続けていたい。
美味しいものには
大切な命、大切な人を祈る気持ちがこもっている。食べた人に自分が大切にされていることを伝えてくれる。 療養所の場面でチラッと出演されている回復者の方々のお顔、みんな笑顔で素敵でした。亡き人の姿もありました。 演技を通して声なき人の小さな声が聞こえてくるようでした。
慈愛
ハンセン病については、私個人では科学的根拠に基づいて行動できる。 しかし、それに家族が絡んでくるとそれは揺らぐ。 私の中の倫理観など、さほどに脆い。 浅田美代子は衆愚の象徴で、それに抗える者は少なかろう。 その圧力に屈しざるを得ない非条理を過去の非条理と共に、 永瀬正敏が全身で表していた。 それにもう当たり前すぎて口に出すのも憚られるほどに、 樹木希林の圧倒的な存在感に打ちのめされた。 もはや悟りの境地、 神々しいほどの慈愛とその奥深くにある耐え難い悲哀、 今思い出しても涙が滲む。 かなりのロングランだったので、 何度も映画館に足を運ぶ機会はあった。 だが、テーマの重さが私に二の足を踏ませた。 確かに重くはあったが、それに勝る温かさに溢れていた。 映画館で見逃したのは、痛恨の極み。
●裏テーマに考えさせられる。
主役の3人が素晴らしい。 永瀬正敏が時折みせる感情。内田伽羅の芯の太さ。樹木希林は言うまでもないが。 心を込めて丁寧に作ったあんこは、ホントに美味い。 片田舎のスーパー「さいち」のおはぎを思い出した。 じんわり泣ける。映像がキレイ。 小鳥の声、食卓の音などの日常音が、映像に厚みを持たせている。 一方、音を消した「間」がまたなんとも言えない。 風の音の恐ろしさ。 しかし、こういう裏テーマだったとは。 恥ずかしながらハンセン病のことは、ほとんど知らなかったので調べた。 まず、感染する病気ではない。遺伝もしない。 しかし国や医学界は、1940年代にその事実を知りながら、患者を隔離し続けた。 ようやく「らい予防法」が廃止されたのは1996年。国が控訴を見送ったのは2002年だ。 その間、患者たちは差別され続けた。 子供を産ませてもらえない。家族と一緒の墓にも入れない。 一説には、施設内で望まぬ妊娠が多発したからとか、 禁欲を徹底させるよりは、との断種手術だったとか。 隔離することで差別から救ったとも言えなくもないが、 隔離して子孫を残さぬ政策を貫いた医学界のドンがいたとか。 患者たちにとっては酷い話だ。 こうした作品が、ハンセン病に対する正しい理解に繋がればと切に願う。 以下余談。 宮崎駿は施設に頻繁に訪れるという。 「千と千尋の神隠し」でハクが名前を取られてしまったり、 「もののけ姫」でタタラ場に包帯でぐるぐる巻きの患者がいたり。 おそらく本名を名乗れない患者のことなどを表現したと思われる。 ちなみに「日本のゴーギャン」田中一村は、奄美で患者たちに肉親の肖像画を誠意を込めて描いたという。患者たちは、親兄弟に縁を切られる者も少なくなかったので。一村とハンセン病を結びつけたのは、隔離政策を真っ向否定した小笠原登氏。世間がどうあれ、己を信じて戦い続けた者同士というのも興味深い。
初の河瀬映画。◎。永瀬正敏が、主人公の葛藤と後悔を見事に演じている...
初の河瀬映画。◎。永瀬正敏が、主人公の葛藤と後悔を見事に演じていると感じました。幸せな日々が崩されはしたものの、樹木希林演じる徳江の人生に 束の間ではあったが光が射したことが救いです。らい病の歴史を知るきっかけになればいい。#あん
見終えてからわかる
ドキュメンタリー風が苦手な人は、前半の小豆が主役となる長いシーンで寝落ちしてしまうかも。 あん作りにこんな長い尺必要か?と思う人もいるだろう。 私は映画を見終えてから、無駄なシーンなどひとつも無かったと思えた。 そして、翌日にもふわっと余韻が。 観ている最中というのは、この先どうなるのかが気になって、つい気が急いでしまう。 もっと心に余裕を持って、ゆっくりじっくり観れば良かったなあと思った。
甘いなかにピリリと辛い
ハンセン病に対する差別を扱っている。その全体から漂う静けさのなかに、人々の想いがしっかりと込められていて何度でも見たくなる作品。浅田美代子さんがなかなか嫌な役をさらっと好演している。
とても丁寧
すごく丁寧に作られた映画だと感じた。 みんな演技がとても自然で、観ていて引き込まれてしまった。 幸せとは何か、考えさせられる。 働くことができる、食べものを作る、食べておいしい、四季を感じる、人の温かさにふれる、、、 私たちが日ごろ生きていて当たり前になっている幸せを、丁寧に描き、再確認させてくれる映画。 ハンセン病は重々しいテーマ。 恥ずかしながらよく知らなかったから、とても良い学びになった。 人間の心と知恵が、どうか差別を乗り越えられますように。
自然体
飛行機の中で観ました。 乗客の中で涙がこらえきれず、CAさんに心配をかけました。 そりゃ、50歳のおっさんが泣いていたら気持ち悪いですよ。 演者が全て自然な感じで、まるでその人達の生活を見ているようで。 どんな場面も切ないし、幸せだし。 PVでも流れていましたが 「店長さん、美味しい時は笑うのよ。」という台詞。 辛い時でも笑うことができるんだな、と私も有りがたく 聴きました。 良い言葉です。大事にします。
美しく感慨深い作品
余計な言葉で評したくない作品 何かを言う為、残す為ではなく、 小豆の、日差しの、風の、出会う全ての物の、 声を聞くために私たちは生きているのだとしたら、 全ての命に生きる意味はある。 生きる事はどんな制限の中でも、 どんな偏見の中でも、 息をのむ程に美しい。
あんの声
やっとこさレンタル! 首を長~くして待ってました! 本当は劇場で観たかったけど地元では上映されず。隣町の映画館では上映されたものの、「駆込み女と駆出し男」とどっちを観ようと迷い、あちらを選び、レンタルになるまで待とうと泣く泣く断念。 近年半年もしないでレンタルになるのに、年をまたいで10ヶ月。長いよ~! でも、待ってた甲斐があった! こういう良質感動邦画が好物の自分にとって、極上のご馳走! 去年中に観てたら、間違いなく年間myベストテン入り! しがないどら焼き屋を営む千太郎の前に一人の老女・徳江が現れ、働きたいと申し出る。最初は断るが、徳江は50年もあんを作ってきた名人。千太郎もその味に魅了され雇うや否や、店は大繁盛。が、徳江のある秘密が噂になり、店を去る…。 徳江の秘密は別にネタバレでもないし、作品の肝でもあるので記す。 徳江はハンセン病患者だった。 まず、ハンセン病について知っておかないといけない。 かく言う自分も「砂の器」や「もののけ姫」などで何となく知ってる程度なので、Wikipediaで調べたものを抜粋すると… らい病とも呼ばれる感染症。かつては不治の病と言われたが、今では治療法もあり、近年の日本国内での新規患者数は年間0~1人程度。見た目から差別・偏見の対象となり、強制隔離もされた。 徳江がどんな人生を送ってきたか、想像するしかない。 が、どら焼き屋で働き始めた嬉しそうな顔がそれを物語る。 初めて触れた自由、生きる楽しさ、一人の人間としての尊厳。 徳江はあんを作る時、あんに話しかける。 あんの声、あんが歩んできた道に耳を傾ける。 それは徳江自身にも言える。 私たちにも声がある。自由がある。 それを聞いてほしい。 奪わないでほしい、と。 言うまでもなく、樹木希林が巧い。 彼女特有のちょっととぼけたお茶目さ、自分の祖母を思い出してしまうようなお節介焼き、子供のような愛らしさ。そして、悲しみを内面に滲ませる。 この人が下手だった事など、今まで一度だってあっただろうか。 役への憑依、作品に溶け込む佇まい、存在感…この人の演技の素晴らしさをどう表していいか、言葉さえ見つからない。 永瀬正敏も好演。 演じた千太郎も、実はあるものを背負っている。 世間からひっそりと生きている点は徳江と同じ。 不器用・無愛想だけど徳江への理解ある優しさ、葛藤、終盤の涙は胸を打つ。 店の常連客である女子中学生に樹木希林の実孫娘の内田伽羅、一服の清涼剤。 小豆を水に浸す所から始まるあん作り。 手間暇かけて出来上がったあんが何と美味しそう。 あのどら焼きが食べたい。 ハンセン病は影を潜めた。 が、差別・偏見は残っている。 差別・偏見こそ今尚人々を蝕む不治の病。
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