あんのレビュー・感想・評価
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何が凄いって、あのテンションでこの面白さってトコロ。
「あん」見ました。
劇場内平均年齢およそ70歳超えの中、20代の私は飛び込みました。おばあちゃん達の素直な感情表現はとても新鮮でした。映画自体もとても面白かった。この映画の存在は鑑賞前日まで知らなかったけど、映画最高、邦画最高、これだから映画は止められないと思わせる一本。ハンガーゲームのような駄作なんかより、こっちを大々的に宣伝してほしいですよ。
この映画、とにかく樹木希林と永瀬正敏の醸し出す空気感が素晴らしい。ほぼこの2人のやり取りに終始してるけど、全然飽きないのは凄い。彼らの会話も、テンションのギャップを上手く突いていて面白かった。劇場内は満席のうち9割8分はおばあちゃんでしたが、大爆笑が起きていてビックリした。僕も普通に笑いました。三谷幸喜の映画なんかよりよっぽど間違いないですよ。
あとは何と言っても"あん"の仕込み風景。やはりこの作品はあんこが美味そうじゃなきゃ全く説得力を欠くと思うが、そこは見事に描き切ってる。樹木希林のあん作りの過程で、永瀬正敏が「こいつ何言ってんだ?」的に戸惑いつつも工程を学ぶみたいな。永瀬正敏が感じる「?」を、みているこちらも疑似体験しつつ、頷ける。そして最後は試食して、「これは絶対美味しいわ」と思わざるを得ない。僕は単に食べてーなーと言うより、他のと食べ比べたいなと思いました。樹木希林が作るあんの虜になった瞬間でした。
とにかく、見て欲しいです。
ハンガーなんとか、トゥモローなんとか、新宿なんとか、色々大作やってますけど、全然比にならないくらいにこちらが面白い。普通に面白いから凄いですよ、これ。
良かった。
どら焼きが美味しそう
前半は特に、千太郎の目線から描かれていて、自分がどら焼き屋を経営しているような気になれる。
また、徳江がアルバイトに入ったことで客が一気に増えて、仕事の遣り甲斐について考えさせられる。
後半は一転し、ハンセン病で若い頃からずっと隔離されていた徳江とその死にスポットライトが当てられていく。
あずきや風や鳥などあらゆるものに耳を傾ける徳江の姿勢に、優しい気持ちにさせられる。
画竜点睛を欠く
日常の中にひっそり輝く人間の尊さ
席を立てなかった(T▽T)
やさしい気持ちにあふれる
餡作りの奥深さが分かりました
全くポイントがずれているレビューになります。
1964年の東京オリンピックの記録映画の監督は市川崑でした。単なるドキュメンタリー映画ではなくて、スポーツを芸術的に美しく撮ってて感動した覚えがあります。今回監督を務めるのはこの「あん」を監督した河瀬直美です。コロナ禍の中での撮影はいろいろな意味で非常に大変だと思います(このレビューはオリンピック開催の3週間前に書いてます)。これまでのオリンピック映画とはかなり異質のものになることでしょう。オリンピック反対とかシュプレヒコールをあげているシーンとかもあるのかな?
それはともかく、この映画のレビューです。
この監督は山や森を独特な自然描写で綺麗に撮っているので、いつもそこに関心が行ってしまいます。今回は言うまでもなく桜です。普通の監督なら桜のみ撮ると思うのですが、この監督はあえて電線も入れてしまってるところが逆に好きです。まぁ今回は山でなく街が舞台なのでしょうがないという事情もありますが。
あと、餡作りの奥深さが分かりました。
私は今は無職の状態なので、この映画を見たらどら焼き屋をやってみたくなりました。結構凝り性なので私ならおいしい餡を作れそうな気がしました。どら焼きの餡はほとんどがつぶ餡なので、私はこし餡のどら焼きを作って、こし餡好きの固定客を作ろうと思ってます(個人的にもつぶ餡よりこし餡が好きです)。そしてワカナのような女子高生のお得意さんができれば言うことなしです(笑)。
「あ」・「ん」への飛躍と解放
シネコンで、河瀬直美監督作品を観るというのはどんなものだろう。不思議な感覚である。商業映画の対極にあるアート系、芸術作品に限りなく近い作品を作ってきた人である。シネコンの座り心地のよいシートに座って、あたりを眺めてみる。結構、おっちゃん、おばちゃんが多かった。このひとたち、きっと、本作の女流監督さんが「カンヌ国際映画祭」の審査員を務めたこともある人だなんて、きっと知らないだろうなぁ~、などと思う。
いかんいかん、これも先入観だ。
いつも映画を観るときは予備知識なし。ニュートラル。
僕も、映画のことなど何もわからない、ど素人でいたい。そこらへんにいる、おっちゃんの一人として、作品そのものに接していたい。
僕はそういう風に映画を観ようと、いつも思っている。
どら焼き屋の雇われ店長、千太郎(永瀬正敏)は、ある事件から、この店のオーナー(浅田美代子)に莫大な借金がある。彼が一人で切り盛りしてきた、この小さな店舗は、ある種の「鳥かご」でもあり、彼はその中で飼い殺しにされてきた、鳴かない無愛想な鳥であるのかもしれない。
この、どら焼き屋に毎日のように立ち寄る、中学三年生のワカナ(内田伽羅)。彼女は一羽の鳥を飼っている。ワカナの母親は、この籠の鳥が狭い自宅の部屋で鳴くのをうっとおしい、とおもう。
「もう、この鳥、どうにかしなさいよ」と娘のワカナに文句を言う。
ワカナには父親がいない。母親とは口もきかない。心を許せるのは、この籠の鳥だけだ。
ある日、千太郎のどら焼き屋に一人のおばあちゃん、徳江さん(樹木希林)がやってくる。
「アタシ、五十年、あんを炊いてきたの。ここで雇ってもらえないかしら」
徳江さんは、自分で炊いたあんこを千太郎に渡した。
千太郎は決してこの店を繁盛店にしようとか、行列のできる店にしてみせよう、という熱意はない。
千太郎はもともと甘党ではない。どら焼きが好きでもないんでもない。というより、そもそも彼は、どら焼きを一個まるまる食べたことすらないのだ。
店で使っている「あん」も一斗缶に入った「業務用」のあんを使っている。
千太郎と「どら焼き」との距離感については、情熱や愛情とは程遠いものがある。あくまで「雇われ店長」であり、「仕事」なのである。
オーナーに借金を返さなくては……。
その義務感から、毎日もくもくと、女子中高生相手に、どら焼きをつくり続けているだけなのだ。
一度は徳江の申し出を断った千太郎。ただ、五十年あんこを焚き続けてきたおばあちゃん、ということがひっかかった。ためしに徳江が置いていった「あん」を指で一すくい、口の中に入れてみた。その味は、千太郎の舌に、体の奥底に、波紋のように広がる。衝撃の味わいだった。
千太郎は徳江を雇うことにした。やがて千太郎の店のどら焼きは評判を呼び、行列のできる「どら焼き専門店」となる。しかし、ある日、パタリと客足が止まった。
雇っている徳江が「ハンセン病患者」であることが、噂として広まったのだった……。
徳江は「あん」を炊くときに小豆に向かって話しかける。
「がんばりなさいよ~」
自分は、ずっとハンセン病患者として、隔離された専門病院で人生を過ごしてきた。外の世界とは隔絶された空間。
そして彼女は、あんを炊くことを人生の楽しみとしてきた。
彼女にとって「あん」を炊くことは、材料である小豆との会話なのだ。
「あんたは生まれてきてよかったんだよ」
「美味しい”あん”になろうね」
徳江さんは小豆と自身へ語りかけている。
世の中から「消された存在」として生きて来たハンセン病患者、その自分の元へ、外の世界からやってきた小豆。目のまえの小豆は、誰に、どのように育てられ、どんなドラマを経て、何のいきさつで、隔離病棟にやってきたのだろう? そんな小豆を徳江さんは”愛おしい”と思うのだ。
「あん」という「言の葉」について。
「あ」と「ん」は日本語のひらがな表記の最初と最後の文字である。小豆を煮詰めた集合体である”あんこ”が「あん」という象徴的な二文字で表すことが出来る事。しかもそれが、ひらかなの最初と、最後の文字。いわば、たった二文字で、この世の全てを表現できる、という象徴的な意味。
原作者ドリアン助川氏が「あん」というタイトルを「発掘」した時の、感動と興奮はどれほどのものだっただろう? と想像してみるのである。
ハンセン病棟で、かごの鳥のように生き続ける徳江。
どら焼き屋の小さな「鳥かごのような」店舗の中で生き続けている千太郎
そして、母子家庭という「カゴ」から、今まさに飛び立とうとする、ワカナ。
本作は「精神の解放」のお話ではないか、と感じた。
「徳江」という存在はあらゆる制約の象徴でもある。
その徳江さんの手によって、小さな、小さな粒の小豆は、この世の全てを煮詰めた物質「あ」「ん」へと高次元に飛翔するのである。その味わいは、人の心に飛躍と解放の勇気を与える。
映画作りの作法について、感じたことを少し。
映画のタイトルからくる印象とは真逆と言っていい。
河瀬直美監督は観客に、あえて「甘ったるい」余韻を与えていない。
シークエンスの切り替えの潔さと厳しさが印象に残る。
こういうカット割りをする人は、きっと自分に対しても厳しいのだろう、と思う。お客さんに対してウケようとか、そんなこと全く考えていないように思えるのだ。
しかしながら本作は、紛れもなく商業映画としてのシステム、体裁をもって制作されている。
河瀬監督としては珍しく原作があるし、キャスティングもプロの名だたる俳優たちを起用した。しかも、エンディングには秦基博の楽曲が使われるなど、いかにも一般の客受けを意識した印象が濃い。
公開直前には、主演の樹木希林や市原悦子までもが、珍しくテレビで番宣をおこなうなど、プロモーション活動も活発に行われている。
こういう、金のかかった商業映画は元が取れなきゃ、終わりである。
主人公の千太郎ではないが、莫大な借金を抱えて、身動き取れなくなる。
次の映画はもちろん撮れなくなるし、最悪、監督の家族は路頭に迷うことになる。
数字も取れて、内容も面白い、難しいことを易しく、そして味わい深く。そんな作品がなかなか生まれてこない。
「嗚呼……」と深いため息をつきつつも、なぜか僕は映画館に通う。「奇跡の一本」に出会えるかもしれない、という淡い期待を込めつつ。
本作はその「あん」という内容について、相当丹念に、手間暇かけて煮詰めた作品であることは、疑いようもなかった。
なんというか色々と普通だった。予告編を何度も観てたため、ここの台詞...
この世にある全てのものが生きているんだなと感じられる映画。 あんが...
うーん(^_^;)
映画を見ながら現実の厳しさを実感しました
樹木希林さんという俳優
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