「生きる意味にふれるよう」あん 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
生きる意味にふれるよう
全編を通して実に静かで美しい。
光や風や草木、それと生活音が心地良いんですね。
河瀬直美作品にしては「らしく」無いと言うか、スッと入ってくる作りでした。
そしてとにかくキャスティングが素晴らしかったです。
永瀬正敏の作り出す空気がとても良く、樹木希林との相性も良かった。
それにしても樹木希林は本当に凄い役者だなと毎回唸らせられます。
いや本当一人で全部持ってっちゃう感じで、つくづく化け物ですね。
ふとした「小鳥より早く起きてる」って台詞はアドリブ?なくらい自然ですもの。
そんな樹木希林の役所は凄くチャーミング。
ぶっきらぼうな永瀬と良いバランスで、二人の声のトーンがまた良いんですね。
それと後半にでるのが市原悦子がまたすばらしい。
ふわりとした心地良さではありますが、途中からは人の根底にある差別にもふみこんだ物語。
手紙に綴られた言葉は美しく心に染み入るようで、溢れてきた涙がとまりませんでした。
生きる事、その意味にふれるような作品です。
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