「登場人物が生きている」あん りりまるさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物が生きている
この映画の良さを長々と説明するのは難しい。
でも、一言で表すなら「登場人物がちゃんと生きてる」からです。
演技が上手なのは当たり前にあって、所作や佇まいがその人物そのものだと思いました。
樹木さん演じる徳江は、あん作りを50年していましたが、そこに違和感が全くなく、むしろ50年やってきたとしか見えない職人芸に魅了されました。
この「あん」やハンセン病に嘘が感じられず、映し出される四季がきれいで、この映画の世界に見入ってしまいました。
この映画は、映画に出てくる「あん」そのものだと思いました。ひとつひとつの過程をきちんと丁寧に作り、あずきの声を聴き、決して手を抜かない。
そうして出来上がった物が、味わい深い物になるのだなと思いました。
簡単にこんなもんだろうと作って出来るのが「業務用のあん」で、今まで業務用のあんのような映画をたくさん観て来ました。
なので、一見地味で単純なストーリーなのに、奥深さが全く違うのを感じました。
余計なものがなく、足りないものがなく、それを自然に作れるのがすごいと思いました。
本物の世界でした。
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