「持つべきは。」アメリカン・ドリーマー 理想の代償 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
持つべきは。
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アメリカン・ドリームなんていう言葉自体既に理想としか
思えない、多くの代償を払い尚且つ挫折した人々の多い
当時のアメリカ社会を鋭く風刺した一本。高潔な人間ほど
失敗に弱く潰しが利かないことが多い。常に綺麗事ばかり
並べて窮地に追い込まれると責任逃れ(自分はちっとも悪く
ないんだから)な発言をする馬鹿野郎さんはけっこう多い。
計算高い妻と高潔(悪くいえば世間知らず)な夫のカップル
には一代でオイルビジネスを築き上げたという自負がある。
しかし急成長を引っ提げ進出してくれば必ず妨害されるし、
古参の人々に100%嫌われるのも致し方ない。何らかの方法
で自分らのビジネスを守らにゃいかんその時期に、数々の
嫌がらせが会社を襲い、そんな中でもクリーンビジネスを
貫こうとする夫に妻は嫌気がさしてくる。何か分かるな~。
面白いことに妻の父親はギャングだった。ということは、
初めおそらく何らかの資金を得て会社を設立させた可能性
があるので当局も放っておかない(脱税の容疑)というワケ。
終に主人公アベルは破滅寸前のところまで持っていかれる。
特に殺人は横行(何人かは死ぬけど)しないし、愉快なマネー
ゲームが展開されるでもない今作には、終始グレーの触感
が続いて息が詰まってくるが、最後まで苦しんだアベルが
妻の驚く提案を受け容れ確信を手にしていく工程がリアル。
(持つべきは渡る世間を知り尽くした伴侶。かしらねぇ^^;)
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