サンドラの週末のレビュー・感想・評価
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完全ネタバレ注意
完全ネタバレしているので注意して下さいm(__)m
映画冒頭で同僚に促され、社長と対面するサンドラだが。緊張してしまったからなのか、彼女は自分の意見を社長に伝える事が全く出来ない。
同僚のおかげで、再投票の約束を取り付けるのだが。自分の為に職場の雰囲気が悪くなる事や、一人一人の生活事情等は同僚だけに知っている為か、なかなか重い腰が上がらない。
何とか同僚達に会いに行く週末が始まるのだが。ドア越しや道端で、同僚達と顔を会わす度に何となくバツが悪く、お互いに戸惑いの表情を浮かべてしまう。
金を取るか、情けを取るかの決断を迫られる。
それでも何人かは自分の生活事情をハッキリと口にする。
それには彼女も理解を示す。
そして何人かは、自分の意見をしっかりと口にしなかった事を気にしてか、後悔の念を口にする。
これがハリウッド映画なら。支持を取り付けた時には、同行している旦那に喜びの余り抱き着く等の行動を取るだろうし。反対の立場を言われた時には車の中で泣き:叫び:ドア等を叩く等、激しく喜怒哀楽な表情を描く事だろう。
しかし、この作品がハリウッド映画と決定的に違うのは。その様なオーバーな仕草は一切させず、支持を取り付けた時にはちょっとした微笑みを。
駄目だった時には、車の中で背中越しにうなだれる彼女を。
家族で外食の時には、「子供の前では泣けない」と、そっと店の裏で泣いてしまったり…と。
とてもリアルな人間臭さに溢れている。
いやそれどころか、気持ちが萎えてしまったからなのか?淡々と自殺をし始めたりするサンドラ。
ここまで来ると、もしも自分が同僚役だったならどうゆう態度を取るのだろうか?と考え込んでしまう。
正直に言うと、映画当初は「現実にこんな同僚がいたらちょっとウザいなあ〜」と思いながら観てはいたのですが。映画の後半になると、段々と彼女が落ち込む姿の背中を寧ろ「押してあげないと!」との感情移入をさせられてしまっている自分に気付かされる。
このダルデンヌ兄弟の演出力。
それでも結果は出る。
彼女に促されたからか?自分の意見をハッキリと口に出せた同僚達に、離婚に踏み切れずに悶々としていた女性の同僚。
みんな晴々とした顔でサンドラを部屋に迎い入れる。
そんな同僚達に感謝の念を伝えるサンドラ。
だから経営者としての決断をする社長に対して、サンドラは映画の冒頭とは打って変わり、堂々と自分の意見を口に出す。
映画の始めには愚図つき、後ろ向きな考え方だったサンドラだったのだが。今はもう前を向き以前とは違う彼女の姿があった。
だから家族に結果をサンドラは一言告げる。
「わたしも頑張ったでしよ!」
(2015年5月28日 ヒューマントラストシネマ有楽町/スクリーン1)
フランスって厳しい
フランスで仕事にありつくことのきびしさを知っておかないと、ピンとこないかもしれない。
ボーナスとかつて一緒に働いてたサンドラの人生、究極の選択を迫られる同僚たちの苦しみと、普段触れることのない、本心からのリアクションを突きつけられてボロボロになっていくサンドラ。
どこにでもいる普通の人間の、一番ツッコまれたくない部分を容赦なくツッコみ、社会の厳しい現実と生々しい本音をさらけ出しまくってます。
結局はギリギリで努力実らずだったけど、彼女の言葉通り、善戦。生活は厳しくても自身の倫理観に従って生きている人がいる、その事実だけでもうハッピーエンド!
うーん…
「金か情か」ある種普遍なテーマを淡々と描いている。
大きな見せ場もなく、起伏もなく進むストーリー。
「フランク」や「サンバ」もそうだけど、良くも悪くもフランス映画って感じの映画です。
上映時間が短いから助かってるかな。
コティヤールを観る映画。
体調不良というか、たぶん鬱病で休職していたサンドラは、ようやく復職の目途が立つが、会社が職員へのボーナス支給のために1人解雇しなくてはならず、サンドラを解雇すると通告してくる。
同僚のとりなしで、週明けの月曜日に職員たちによる投票を行い、ボーナスをあきらめてサンドラを再び迎えることに賛成する者が多ければ、そのまま復職できることになる。それを知ったサンドラは週末、同僚たちを説得してまわるが……。
というあらすじ。以前ハリウッドで「ノーマレイ」近くは「エリンブロコビッチ」と反社会のウーマニズムは多々あったが、少なくともヒロインに華を与えるべく脚色された内容だったが、これははっきり言って単純な脚本で話は全く救いがない。
賛否の分れ道だけど、自分は次の様に観て満点である。★アメリカ映画でなくヨーロッパ映画である。★
鬱病の辛さは本人にしか理解できない。「泣いちゃだめ、泣いちゃだめ」と安定剤を服用しながら何度も同じ台詞で同僚を訪問するサンドラ。もう90分殆どがこれのリピート。派手な米脚本にはあり得ないほど単調。ここで観方をマリオン・コティヤールのみ
に定める。オスカー女優は終始スッピンでカメラと戦う。見事だ~。はっきり言ってこの人今迄あまり好きでなかった。大作の群像劇には全く浮いてるし、単発劇でも、ヒステリッキーで私は上手いのよ!が鼻について・・・。
この一見淡泊なサンドラ役で改めて上手いと思った。ベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の味もあるのだろうが、最初と最後の顔が全然違う。カット割りのみで映画自体は語らないがサンドラは鬱に勝ったのだと思う。
最後の道ゆくシーンは格別だった。話ではなくマリオン・コティヤールを観る映画。
意図が伝わらないと退屈な映画になる…
本作で観客は二つの選択を迫られる。ボーナスと同僚の復職のどちらを選ぶのか?正直か、偽善か、同情か、いずれにしても善悪を問うものではない。
大切なのはサンドラが最後にする選択だ。自分が同じ立場になったとき、サンドラと同じ選択ができる人間でいたいと思う。
映画としての語り口が見えてこない
昨年TVで放映したのをたまたま観て素晴らしかった「少年と自転車」と同じくダルデンヌ兄弟の監督作である。
今作も日常の何気ない事象から普遍的な人間ドラマが紡ぎだされた作品であることを期待して劇場へ。
主演は、今やヨーロッパを代表する女優と言ってもよいマリオン・コティヤール。この人は作品ごとに新たな境地を切り拓いていく。それを同時代で観ることができることがうれしい。いつかきっと、彼女のキャリアの中で映画史に燦然と輝く作品に巡りあえることを願っている。
さて、今回の作品はというと、自分が解雇されるか、全従業員のボーナスがカットされるかという二者択一を、従業員による投票で決めなければならないという話。
主人公サンドラは、なんとか自分の雇用を守るために同僚たちを訪ね、一人ずつ説得して回る。彼女に同情を示す者もいれば、自らの苦しい生活のためにはボーナスが必要だと、サンドラの支援を断る者もいる。そして、彼らの経済状況や家庭状況も様々であり、誰が誰を非難することも出来ない。
サンドラが一人ひとりと話をするときの同僚の対応は、世の中捨てたものではないという思いになれる暖かい励ましや、自らの非力を認める謙虚さがあふれている。
しかし、彼らがひとたび共同体を形成すると、これはもう共同体の大多数を守るほうへ動き出していくのだ。その人間社会の残酷な一面を、サンドラの二日間の奮闘を通して描いている。
これがドキュメンタリーだったらとても面白い題材なのだけど、フィクションとしての映画となると、ひたすらサンドラの顔を追うカメラに退屈してしまう。冒頭あれだけ持ち上げておいてこういうのもなんだが、コティヤールはずっと見つめていたいほどの美形ではないし。もっと映画らしい演出が欲しかった。
この映画の問いかけるもの。
この兄弟監督の映画を観る度に、一番、頭に残ることは、「一体、何を訴えたかったのだろう」ということです。大体の主人公は経済的に恵まれておらず、話の筋は、これでもかと云わんばかりに、次から次へと不幸の荒波が主人公へ襲いかかってきて、最終的には主人公は救いようのない状況へ追い込まれてしまう、というものです。(今回は若干、違いますが・・・)それにしても鬱病を患いながらも安定剤を大量に服用しつつ、票を集め回るマリオン・コティヤ―ルの姿は痛々しい限りです。
この兄弟監督の追い求めるテーマとは一体、何であるのでしょう。まさか、さまざまな不幸を背負った人間をありのままに描くことで、何か文学的な重いテーマを暗示しようとしているのではないのでしょうね。この兄弟監督が敬愛している筈のブレッソンの作品に比べると映画的面白さには欠けますし、ベルイマンの作品に比べると奥行きに大きく欠けます。表面的な風景を淡々と綴ることに終始し、結果として、なんだか、嘘くさい映画になっているのです。深みのある映画を作ろうとはしたものの、悉く、失敗しているように思えてならないのです。
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールをニ回、受賞とのことですが、どう考えても過大評価のような気がします。
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