日本のいちばん長い日のレビュー・感想・評価
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受け継がれる敬愛のココロ
個人評価:4.6
今日の日本があるのは、昭和天皇の日本国民を愛する心があったからこそ成り立っている事がよくわかる。
今では失われた愛国心。それがどんなモノか。この作品を通して、少しでも当時の日本人の気持ちを理解しようと感じる。
焼け野原を見つめる若い兵士。クーデターに踏み切った思いは、どこから来るモノなのか。死んでいった戦友への恨みか、それとも国民の死と領土への侵害か。また天皇陛下への敬愛か。
今の日本人には愛国心と言われる当時のココロは失ったかもしれない。しかし天皇陛下への敬愛のココロは今も変わらず引き継がれ、本作の登場人物全てが、最後まで守ろうとした核は健在である。
この作品はスピルバーグのシンドラーのリストの様に後世に残し、語り継がれるべき名作である。
今の日本を生んだ転換点!
"日曜洋画劇場特別企画" で2回目の鑑賞。
原作は未読です。
旧作と同様のドキュメンタリー・タッチにも関わらず、キャラクターの掘り下げがされており、丁寧なつくりでした。
阿南陸軍大臣の娘の結婚話など、旧作に無かった描写が追加されているのに上映時間は短くなっていると云う脚本の妙。
しかしその分、己の知識量が試されるかの如く、背景説明を極力省略してスピーディーな展開になっていることは否定出来ず、歴史の流れを把握していることが大前提。「日本人なら知ってて当然でしょ?」と云う原田眞人監督の声が聞こえました。この手法は「関ヶ原」でも同様でした。
旧作との大きな違いは、昭和天皇のお姿をじっくり描いているところ。旧作では人物の肩越しにチラリと見えたりするばかりでしたが、本作では本木雅弘が演じていてセリフも多い。
人間味溢れる描き方で、確かな知性と慈愛に満ちた性格であることが窺えました。それ故に、日本国が存亡の危機に瀕していることにお心を痛めておられました。
陸軍青年将校らの暴発が心配される中、国民の命を守りたいと云う一心で戦争終結に向けた御聖断を下されるシーンには、本木雅弘の迫真の演技も相まってジーンと来ました。
我が国が、この壮絶ないちばん長い日を経たことで今日の平和な暮らしを送れていることを忘れてはならないし、常に感謝しなければならないなと強く思いました。
一国の未来を決するのは生半可なことでは出来ず、犠牲は数知れず。様々な想いを胸に歴史の転換点を戦った人たちの願いがこめられているのが今ではないかなと思いました。
だからこそ、先人から託されたものを守り抜かなければならない。次世代へきちんと渡さなければならない。不穏な状況である今だからこそ、痛切に訴えなければならない。
[以降の鑑賞記録]
2020/05/03:Blu-ray
※修正(2023/08/26)
顔つきが、平成な青年たち
岡本喜八版を劇場見たので、こちらもAmazonprimeで見た。畑中の松坂桃李があまりにも顎が細くてデコが目立って昭和の青年には見えない。周りの青年将校たちもしかり。顔小さくて足が長い。閣僚たちはそれなりに押しだしがあっていかにもな顔つきなのに。
また、せりふが早口で聞き取りにくいのと、岡本版と違って画面に名前を出してくれないので誰が誰だか分からない。昭和天皇の様子をしっかり描けたのはよかったと思うが、その分閣僚の会議や御前会議が削られ、戦争を終わらせることの困難が伝わってこなかった。阿南も人のいいオッサンだし。
メインをクーデター(失敗)にもってくるのなら、若手俳優をそれらしい顔つきの人たちで揃えるべきだろう。集中して見られなかった。
ただ、画面は、邦画にありがちな暗さや不鮮明なところがなくて美しかった。撮影?照明?の手柄だろうか
日本人の手による戦争の総括
本作で描かれた、クーデターが当時の法律でどんな違法行為だったのかは知らない。おそらく重罪にあたるものだったのだろう。それら犯罪が、日本人の手で、裁かれる機会があったのだろうか?
無かったのではないだろうか?
それが、戦後日本の「失敗」だと思う。
東京裁判で東条英機はA級戦犯として裁かれるのだが、それが日本の保守派界隈では評判がすこぶる悪い。
「事後法による裁き」とか「勝者が敗者を一方的に裁いた」とかいうことかな?
作中で、東条英機がクーデターをそそのかすシーンがある。これが事実だとして、東条英機を東京裁判とは別に、この「クーデターをそそのかした罪」で日本人の手で裁判にかけたらどうだったろうか?
(東条英機でないとしても、そそのかした人物はいたのでは?)
保守派界隈での東条英機の扱いは今と違ったかな?
これが「日本人の手による戦争の総括」だと思う。
クーデターだけでなく、旧軍や憲兵か特高などによる、日本人への違法行為については同様に日本人の手で、戦後裁かれるべきだった。
日本人なら見ておくべき一日
ドラマとして、日本人が忘れていけない1日は、どう作っても見ごたえのある映画になると思う。
ただ、緊迫感とか迫力は岡本作品が上回っているかな。白黒なので古いニュース映画のように迫ってくる感じだった。
こういう映画って無くなっちゃ駄目だよね
録音盤を奪おうという動きがあったことは知っていたが、畑中健二をはじめとした若手将校の名前などは知らなかった。
そういった強硬派将校と阿南のやり取り、阿南と政府や天皇のやり取り。
抑えた中にも気持ちの交流を感じ取れて良い映画だった。
この時代は難しいけど、忘れちゃならない現実を映画として残す、意味のある一作。
事件が会議室で起きていた
松坂桃李が演じる畑中少佐が、当時の幹部候補生の強硬派を代表する性格の象徴であったか。とにかく恐ろしい。実際の畑中少佐は穏やかなお人柄であったらしい。だからこその恐怖も感じ得る。
国民一丸となって玉砕を覚悟で、と国民を代表しているようでありながら、彼が市井の状況を把握している場面は一つもない。まさに事件は全てが会議室で進行する。 彼がわずか1名の同伴者と自決する場面では、心底ホッとした。
私が住む地域は、玉音放送の前夜、大規模な空襲にあったことで知られている。父は当時4歳で、爆心地から数キロ離れた場所に住んでいた。日中のように真っ赤に燃える爆撃の光景が脳裏に焼き付いているそうだ。ポツダム宣言を受諾する報せはすでに他国に届いていたはずの時間に、それでも東北の片田舎を大規模な爆撃が敢行された。一説には、米国が爆薬の在庫一掃処理のためであったとも言われている。戦争とは、結局のところ、経済を循環させるための方便という側面をもっている。
自国の2000万人を殺せば(死なせれば)、この戦には勝てるとやすやすと言ってのける将校も、「国体の維持のために軍は欠かせない、サザエの殻のようなものだ」と、昭和天皇の専門分野のフィールドで、したり顔の説得を試みる東條英機も、いざなぎ景気を超えたと得意げな、富裕層中心の経済政策を推し進める誰かと重なる。国体を支えているのは一体誰なのか。そのことの本質を当時も今も、本質的に理解できている者はいるのだろうか。
東條によるサザエの殻の喩えは、「チャーチルもスターリンも、殻ごと捨てるだろう」と昭和天皇に返される。この場面が自分にとって、本作の白眉の場面であった。
本作は1964年の同名作品のリメイクである。昭和天皇の人物像を掘り下げ、鈴木総理と阿南陸軍大臣の信頼関係のもと、薄氷を踏むような政治的バランスのもとで降伏にこぎつける様を時系列で淡々と描いたところに、オリジナル版との差異が見られる。
一見当時の上層部に対する敬意を払っているようでありながら、阿南大臣は自刃する朝方まで、酒を飲んでいる様子を克明に描写してみせる。鈴木総理も家族に囲まれながら総辞職の文面を確認するだけである。
どうしても、会議室で事件が起きている感が否めないまま、映画はプッツリと終わりを迎える。閣僚や幹部級の軍人にとっては長い数日間だったかもしれない。
当時の国民や最前線にいる兵士たちにとってどうだったのか。それは描かれないままだ。それが本作の隠されたメッセージだったのなら首肯できるのだが、そこに制作側のメッセージは感じられない。
ヒメジョオンを見つけたら
取らないとねぇ
このシーンに日本と諸外国の関係が見て取れる。
宮城事件を考える上で陸軍海軍、内閣、天皇といった上層部
の思惑を馳せつつ、考えるのに格好の材料であった。
are subject to~という表現で揉めるシーンがある。
この意味はsoftにとれば管理下に置かれる、なのだが
隷従するという強い意味に捉えた陸軍は、激高してしまう。
国体の護持には総力戦、本土決戦しかないと息巻き
これが最後までポツダム宣言受諾に際して尾を引くこととなった。
この映画は美しく描かれているが人間の腹の中は果たしてどうであったのか
そういった汚い部分も見てみたかったが。ともあれこの事について考える
きっかけとはなった。
日本のわりと長い日
関ヶ原とか日航機とか、否応なしに盛り上がりそうなテーマであるにもかかわらずなんか盛り上がらないんですよね、この監督さんの作品。かといって観れないほどではない。つかみどころがない。
岡本版との違いは多々あるが、いちばんは臨場感の有無。これがないので緊迫感もない。1945年の日本の追い込まれ感が描ききれていないので、鈴木内閣組閣時からやる必要性があまり感じられず、むしろ冗長になってしまい残念。
そのぶん聖断から後が濃いかというとそうでもなく、予備知識無しで観たら日本のいちばん長い日だったとまでは感じないだろう。
この作品やよく知られたエピソードのとおり昭和天皇や鈴木貫太郎が聖人のような人だったかは正直わからない。ただ、これだけは言える。スターリンみたいな人でなくて本当によかった。
未来は未知数
今の世に武士はどれだけいるのだろうか
日本人は今の平和と引き換えに何を無くしたのだろうか
幕末から150年、終戦から73年
また激動の時代があるのだろうか
その時誰が何を思い信じて動くのか団結するのか個別で動き出すのかはたまた流された集団心理で考えぬ集団になるのか
命を投げ打って何かの為に動く日本人はどれだけいるのだろうか
戦争は悪いこと それは分かる
愛するものを守る為に戦うことは何処までが正しいのかは正直言ってさっぱり分からないしどこまで出来るのかも全く自信がない
妻の為には無理かもしれないけど子供達の為なら法を犯すことでもしてしまうかも。
これはどこまで本当の話? それぞれが信じるものへの思いが強すぎて胸...
これはどこまで本当の話?
それぞれが信じるものへの思いが強すぎて胸が痛い。
この映画がテレビで放送されているのは今日が8月6日だからでしょうか。
イカロス
下手くそなCG演出は脇に置いて、原田監督の役者の使い方に賞賛と非難両方がある。
特にB級映画のみ映えるセンスの欠片もないジョークは画面の熱を下げていた。
それとは関係無く、神野三鈴は如何にも演技していますといった態度で吐き気がした。
数値化できない葛藤、収束。
神ノ線を越えなければならなかった彼等の無念を感じずして、今日を生きる事などとても出来ない。
3回観ました
初めはボヤッとしましたが、もう一回観たいなあと思い、結局3回観ました。
個人的には、大場さん、木場さん、神野さんの演技がピリッと光っていたと思い、そして、何と言っても、本木さんの昭和天皇は迫真、山崎さんの鈴木貫太郎は貫禄、役所さんの阿南陸軍大臣は圧巻でした。
前作には到底及ばない。
松坂桃李君がダメダメかな。あとは原田監督の脚本が改悪だった所為かと。前作を見ていただくと書いていることの意味が解って貰えると思います。
原田さんは三人四人までしか描けてないけれど、そういう人にはこの作品とか関ヶ原みたいのは描ききれないと感じる。
誰が最終決定者か
67年版と比較して興味深かったのは、昭和天皇、阿南陸相の描き方が独特で面白かった。
天皇は元木の表現力もあり、親近感があり国民のことを芯から心配する天皇像をうまく表している。
阿南陸相は良くも悪くも役所阿南であった。とても強硬派には見えないが、だから担ぎ出されたともいえる。一世一代の貧乏くじを引いたというセリフは実感がこもっている。
総じて国家意思が誰の責任で決まっていくのか、他国からは分かりにくいこと極まりないだろう。
この責任の取り方の希少性は今もあらゆるところに残っているような気がする。
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