怒りのレビュー・感想・評価
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俳優さんたちがすごい
あまり説明的にキャラクターが描かれないのです。プロフィールが分かるくらい。
そして、今何を思ってるか、くらいは感じ取れるのだけど、前歴不詳の3人はとにかく隠すので、唐突な感じもするのですね。
批判的に言うと、一つ一つの出来事の必然性がわからないので、分断してるようにも感じる。群像劇だから、以上に、それぞれのつながりが不自然で少し違和感。
だけど俳優さんたち一人一人がそれぞれをしっかり演じきってるので、説得力があるし、人間(じんかん)ってそういうものなのかなと。新しい描き方なのかなと。
と、観る側としての背筋を伸ばしつつも、でも、八王子の殺人事件の犯人についてはあまり回収されないまま唐突に感じました。でもそこのパートもすっごい好き。
見応えがありました。面白かったです。
良くまとまっているが
終わって一番に口から出たのは
140分、長い。
三本の映画をひとつのテーマで結びつけているため、ある程度長くても仕方ないが、それにしても体感時間は実際よりももっと長い。
熱量がすごいと言ってしまえばそうかもしれないが。
同じような手法だと、高校生のある一晩の出来事を同時に進行させるアメリカングラフティや、ラブアクチュアリーなどのオムニバス形式の作品が対比で挙げられる。
しかし、この映画はそれらとは明らかに異なる。
というのも、以上に挙げた作品のカタルシスは、一見関係なさそうな人たちが、どこか一点で交差するというその快感にあるが、この作品で三つのできごとを結びつける推進力とでも言うべきものは、誰が犯人なのか?という点。
ただし、三つの世界が交わるのはただその一点で、場面の切り替わりも映画的な手法、例えば足音がして振り替えったら場面が変わる、とかそういう技巧もない。ただ、三つの世界が同じくらいのペースで時間が進むだけ。
テーマは確かに今らしいもので固めている。
性問題、沖縄の基地問題などなど、いかにも知識人が好きそうなものがございとばかりに重厚だ。
ただ、どれも問題提起どまりで、役者の演技に頼った絵作りばかり。
怒りというアイコンも、雑多な感情を無理矢理ひとつのワードで片つけようとしている感じがして共感できない。
そういう諸々の点でこの作品を好きにはなれないし、そもそも三つの話をひとつにまとめたのは間違いだと言う気もする。
以上。
俳優陣の演技力に感嘆
二時間に及ぶ長編映画ですが、目まぐるしく進む展開にドキドキハラハラの連続でした。
CMとか予告でいくつかシーンは見ていましたが、誰かと見に行くのは気まずそうという感想ですね。普段の邦画では中々出ないようなシーンがいくつもありました。
広瀬すずさんの演技がとても凄かったです。
2度目はしばらく見れない程の大作
たぶんこれ、今年どころか、いままでみた中で1番インパクトのある作品。
金払って見てるのに感情の波風たたない映画はつまらないけど、これは波風どころではなかった。
胸糞悪いシーンもあったけど、それも含めて目が離せないあっという間の140分。
誰が殺人犯だったのかクライマックスまで分からなかった…!
犯人分かったら、また最初から見たくなるもんだけど、この作品は、体力の消耗半端ないからしばらく遠慮したい(笑)
三つの怒りの物語を同時に
李相日監督は外さないなぁと思いました。
日本を代表する役者がこれだけ揃えばという意見もあるけど、誰もが完璧に近い役作りをしている。
千葉編で世界の渡辺謙は当然の出来栄えだけど、娘役の宮崎あおいが近年にない熱演。体重も増やして撮影に臨んだみたいです。カメレオン俳優松山ケンイチはこういう役も無難にこなしてます。
東京編で綾野剛は今年は神っています。妻夫木の泣く芝居は個人的に大好きでこの作品でも観れてよかったです。
沖縄編では森山未来やばいっすね〜モテキ以来の好演でした。広瀬すずは現在主演作上映中なのに裏でこの役は凄すぎます。よく事務所NGにならなかったと。
脇役の高畑充希、池脇千鶴も流石の存在感。
三つのストーリーが交わることなく同時進行でごちゃごちゃすることもなく素晴らしい演出をみせていただきました。
生きづらさの共有
「3人の怪しい男」が表れたのは、今の日本でマイノリティであるとか、家族の事情で肩身が狭い思いをしているとか、何らかのしんどい思いを抱えながら生きている人間の前だった。
素性のわからない男だが、この人は自分を受け入れてくれる、この人には心を開ける。「怪しい男」たちも、この相手とならわかりあえる、一緒にいて落ち着けると感じたようで、3組のかけがえのない絆が結ばれ始めたかに見えた。
人を信じることより、疑うほうがはるかにたやすい。怪しい男たちはそれぞれ、親しみやすさとともに不気味なたたずまいも見せる。一度信じた男を疑い始めると、自分自身の心や思考さえ醜く思えてくる。しょせん、自分が求める幸せは得られないと思い、男が現れる前と同じ、社会全体からの疎外感に包まれる。
登場人物にはみな「怒り」を持つ理由がある。明日香や薫、刑事たち、山神の知人にも。しかし、物語の中でその怒りを力の行使として表出させたのは、沖縄の二人だけだった。
沖縄のパートは、二重三重に苦痛に満ちている。沖縄は、日本として「怒るべき」問題を過大に背負わされた場所であることを、この映画で改めてつきつけられたように思った。
辰也はどんな裁きを受けるのか? 泉は真相を語るにしろ、黙するにしろ、どんな苦しみを背負って生きていくのか? それは彼らが責めを負うべき罪ではないのに。若い二人の慟哭は、しかし、そこから立ち上がる力をも感じさせる。
人一倍高いプライドを持つ田中が、日雇い派遣の仕事しか得られず、出張先で蔑みや憐みを受けたと感じて逆上したという謎解き。森山さんの抜群の身体能力と振幅の大きな狂気の演技には、鬼気迫るものがあった。
原作と少し変わった千葉パート。田代を好きになるほど、疑い始めれば深い闇にとらわれる。自己効力感の低い、痛々しい愛子と、衆人環視の田舎で娘を守るため葛藤する父。田代が泣く場面と、導入部とは違う電車内の情景に救いがあった。
「信じてくれてありがとう」とおどけた直人は、優馬に自分の生い立ちや病気を語らずに消えた。直人こそ、優馬を信じていたのかどうか。あるいは心配をかけたくなかったのか。
優馬は直人を誤解し、結果として裏切り、取り返しのつかない涙にくれた。しかしその涙が、見る者の感情をも浄化する。背徳的に見えて、説得力にあふれる東京パートだった。
人間の弱さ、愚かさ、はかなさ、哀しさ。オールスターキャストが市井の人々になりきって、そんな人間同士が信じあうことの難しさと尊さ、この日本社会の生きづらさを何とか乗り越えていきたいという希望を感じさせてくれた。
切なすぎる。不気味さの中で紡がれる、それぞれの人間模様の結末。
【賛否両論チェック】
賛:3つの場所を舞台に、殺人犯かも知れない男達が、周りの人々の心の支えになっていく様が印象的。犯人が分からないサスペンス要素に加え、深い人間ドラマとしても観られる。
否:真相は意外とあっけない感がある。殺害シーンや女性に乱暴するシーン等もあるので、苦手な人には向かない。
3人の怪しい男達のうちで、果たして誰が真犯人なのか。それぞれにどこか陰のある容疑者達を、松山ケンイチさん・綾野剛さん・森山未來さんが好演していらっしゃいます。全く読めない真実に、物語の背後に横たわる不気味さも相まって、ハラハラさせられる良質なサスペンスです。
同時に、登場人物達それぞれが抱える深刻な事情にスポットが当てられ、その悩みに容疑者である男達がそっと寄り添う様子も、また物語を切ないものにしています。
「自分の大切な人を信じたい・・・」
という気持ちに、真相の光が当てられた時、三者三様の物語の結末に、思わず深く考えさせられてしまいます。
思わず目を背けたくなるようなシーンもあり、勿論軽い気持ちで観られる作品ではありませんが、サスペンスとしても人間ドラマとしても重厚な1本ですので、是非ご覧になってみて下さい。
広瀬すずが可哀想
個人的に女性に対する暴力的表現が好きではないのがあり、まるで『4月は君の嘘』からそのまま続投したような(予告編しか見てませんが)広瀬すずのその清楚さが、物語中盤であまりに理不尽な暴力によって、実に悲惨な形で失われてしまうのが非常に辛く思えました。
見ているこっちまで深い傷を負ったような気分になります。
話の流れ、広瀬すずの演技、そして現実と切り離すことが出来ない沖縄の米軍基地問題。全てが絶妙なバランスで絡み合い、観るものの心に暗い影を落とす強いシーンになっています。李相日監督、むごい。そしてすごい。ここまでインパクトのある描写はなかなかにない。
ただ、一方でこのシーンって本当に必要だったのかとも思います。というか、この事件自体が。
というのもラストで宮崎あおいサイドと妻夫木聡サイドは八王子事件の残滓による苦難を乗り越えて救済されますが、広瀬すずサイドは全く救済されているようには見えない。
僕は原作の小説を読んでいないので、あくまで推測の話になりますが、小説であれば広瀬すずの心情も描かれていたのではないでしょうか。小説は地の文で心を語れるのでそこで何かしらの救済があったのかもしれないと思っています。
ともあれ映画では、彼女は中盤からフェードアウトしてしまって、その葛藤も見ることが出来なかったので、結局その悲しみは置いてきぼりです。『魂の殺人』とも言われているようにあの暴力シーンは第二の殺人事件でもあったように思うんですけどね。(まあそこからの救済を描くとなると、三つものサイドを回していたら圧倒的に尺が足りないか・・・)
いっそ、広瀬すずサイドは母親との確執の話とかにしてしまえばよかったのにとも思います。宮崎あおいサイドはちょっとぎくしゃくした親子で、妻夫木聡サイドはいい親子であるから、広瀬すずサイドは思い切りギクシャクした親子で。バランス取れると思うのですが。
と、キリがないのでこの辺にします。
なんだか難しい映画でした。結局「怒り」のタイトルってどういう意味だったのでしょう。別に怒りの感情が全ての映画でもなかったですし。
犯人の怒りが波及して周囲の怒りの感情を呼ぶみたいな話でもなかったし、怒りの感情を乗り越えるにはどうしたら良いのか的な教訓の話でもなかったしなあ。
難しい。とりあえず役者さん達の演技にはアブノーマルな緊張感があって、それはとても感動出来ました。
決して良い話ではありませんが、でも良い映画でした。
人って...
人を信じることの難しさ、信じてもらう努力の難しさ、大切な人の守り方、大切だと気づく時間の違い、大切だった人を失なう辛さを痛感した。
あと、その人にとっては親切を示したつもりでも、見下されているように思う時ってあるなぁと思い出した!
でも、人を傷つけちゃダメだよね。
分かっているけど、とっさに感情をコントロールするのは大変で、誰もが真剣に向き合わなくてはいけない題材だと思った。
少しでも希望のあるラストでホッとした。
原作を読んでみたくなりました!
映画として
完成された作品と思いました。期待通りとも意外ともいえるキャスティング。登場人物それぞれのストーリーがわかりやすく伝わり時に強引に交差し引き合うあたり。ちょっと長かったけれど集中切れる頃にインパクトある映像。感動したりはありませんでしたが、私は映画としてとても楽しめました。個人的感想としては高畑充希さんの役はなくてもよかったかな、演技的にも。あそこはさりげなく伝えて欲しかった…人気の女優さんねじ込んだ感残りました。
超豪華俳優陣は凄かった!
特定の俳優さんのファンの方、貴重な時間とお金を使ってイヤーな気分になりたい方にはお勧め。
映画に何を求めるかは人それぞれですが、感動や興奮は全く無い映画です。
ただ、役者さんの演技は本当に素晴らしかった。
いろんな怒り
初めはまず、なぜ犯人が「怒」という文字を残したのか
そしてなにに「怒」ったのか
そんなところから引き込まれていきました。
そして3つのストーリーが、事件の犯人の指名手配をきっかけに転がっていきます。
しかしこの映画ではいろんな種類の怒りが生まれていきます。
その怒りの中には必ず誰かが、そしてだれもが1つは身に覚えのある「怒」が見つかるようになっています。
どれかに共感して怒りながら泣いてしまう
そんな映画でした。
ぜひ見てみてください。
信じることの容易さ、難しさ 信じたからこそ、信じていたからこその怒...
信じることの容易さ、難しさ
信じたからこそ、信じていたからこその怒り
それがこのタイトルなんだと思いました。
内容はとてもつらいですが、観て損はありません!!
言葉にしづらい衝撃
宮崎あおいの慟哭、広瀬すずの絶叫、妻夫木聡の自分自身への誠実さを信用できずにいるどっちつかずな自己嫌悪人間感、全てが素晴らしかったです。
特に宮崎あおいの相変わらずのカメレオンっぷり、そして何より広瀬すずの体当たりな演技にただただ感銘を受けました。
女性で(しかもまだ若いし)あのシーンを演じること自体、非情に大きな抵抗もあっただろうに、
終盤での透明感のある表情や要所要所での細かな部分も含め、とにかく体当たりかつ確かな演技を魅せてくれたことに感謝です。すごい女優さんです。
もちろん妻夫木聡さんと綾野剛さんのシーンも同じく、それでも演じきったお二人を含めた全男性陣の演技も大変素晴らしかったです。
気になったのは、まだ調べられていないのですが、犯行の前後シーン(回想)の犯人は真犯人役がお一人で演じたんでしょうか?
実は途中で、被害者夫人が犯人にお茶を振舞うシーンの前後の後姿に「これ明らかに綾野剛だろ…」と思うシーンがあり、
そんなメタ的な理由で犯人が判ってしまったらたまったもんじゃない!と内心慌ててしまい、最後はある意味ホッとできた部分もあったんですが、
あえて容疑者3人の俳優さんでカット毎に演じ分けさせたりしなかったのかなぁと…。一度観ただけだしそもそもただの勘違いの可能性の方が大きいですが、もしそうだったら面白い。
客に挑戦を投げかけるようなミステリーではないので、推理に必要な証拠も特に出ることはなく、犯人は一体だれなのかという緊迫感を持たせることに重きを置いていた気がしたのでそれはそれでいい手法じゃないかと思います。偉そうに言ってももちろんその可能性って恐らくほぼ無いですが…。
坂本さんの音楽とそれを印象的に乗せる演出も、よりゾクゾクっときました。
唯一ハッピーエンドに繋がりそうだった愛子達も結局借金取りに怯えながら、様々な問題をこれからも抱え続けて生きていくしかない。現実的ですごく印象的な終わり方でした。
原作を読めばまたたくさん解釈が変わる部分がありそうです。
個人的に、佐久本宝演じる辰哉が、序盤で家業を休業にしてまでデモ活動に参加する父親を見て「恥ずかしい」と言ったシーンとか、
広瀬すず演じる泉の台詞も含めて「そんなことしたってどうせ変わらないのに」とどこか冷めた目で見てる若者たちの姿に同世代として正直共感してしまうところもありました。
だからこそ物語が進むにつれて少しずつ個人としての考えのあり方について見直し自分と向き合おうとしていく辰哉には惹きつけられました。だからこそ衝撃は凄まじい。
怒りという負の部分に信じるという理想も含めた正の部分が入り混じり、それが個々、さらに時間毎に相手を変えながら変化していく様が現実と重なって、
黙って座っている自分と劇中で広い海の中ただ絶叫する広瀬すずとの差がそれを表しているようで変な夢心地のような気分でエンドロールを震えて観て終わりました。
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