「怒りをどこにぶつけていいか分からず苦しくなる映画」怒り 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
怒りをどこにぶつけていいか分からず苦しくなる映画
これは間違いなく日本映画の歴史に残る作品だ。
まず(読んだことないのだが)原作の小説が巧み。最後まで真実が分からず読む/観る人に受け止め方、感じ方を委ね深みのある物語になっている。
そしてそれを錚々たる実力派俳優たちにより重厚でホンモノの映像作品に仕上げられている。松山ケンイチ、綾野剛、森山未來なんてこのためにいたのではないかと思うぐらい、事件の重要なキーとなる顔の系統が似ている役者を見事にキャスティングしたものだ。それらを微妙に見え隠れさせ三者の画を掛け合わせうまく映像化している。
もうそれぞれの登場人物の内面や心情変化がにじみ出る役者ばかりで、いろんな想いに引っ張られ胸を締め付けながら感情移入していく。渡辺謙と妻夫木聡の泣くシーンなんて素晴らしすぎるよね。
人は皆、相手を守りたい愛情と自分を守りたいエゴを持ち合わせ、互いに牽制しあい生きている。信じることがすべてではないし、疑うことが間違いじゃないことだってある。そういうぶつかり合いやすれ違いが人生というものなのだろうか。
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