「【”言葉は自覚なく人と自分自身を傷つける。そして言いたいことを言えない後悔。自身が思っている事にキチンと対応する事の大切さ。”を様々な屈託を持つ高校生男女を通して描いた作品。】」心が叫びたがってるんだ。(2015) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”言葉は自覚なく人と自分自身を傷つける。そして言いたいことを言えない後悔。自身が思っている事にキチンと対応する事の大切さ。”を様々な屈託を持つ高校生男女を通して描いた作品。】
ー 恥ずかしながらの初鑑賞である。実写版のフライヤーも持ってはいるが、高校生男女の恋愛物語だろうと勝手に思い、観賞を見送っていた。-
■内容については、これだけの作品であるので割愛。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・幼き時の自覚無き言葉により、家族を崩壊させてしまった成瀬順は、それ以降言葉を口に出来なくなる。
ー 男として、自分が浮気していたのに、幼き順に対し”お前はお喋りだな”と言って去った父親には、怒りすら感じる。順がその後、如何にキツイ生活を送った事か。
それを“玉子の妖精”にお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられると思ってしまった順の哀しさ。-
・高校生になっても、順は声が出せない。だが、地域貢献の活動の役柄を音楽教師から与えられた順は、自ら主役を買って出るのである。
ー この、不可思議な音楽教師の存在が良い。-
■その過程で明らかになる、地域貢献の活動の重要な役を与えられた高校生達
1.成瀬順
2.坂上拓実・・ピアノが巧い、が両親は離婚し、祖父母と暮らす。
3.田崎大樹・・野球部のエースで有りながら、地区予選中に肘を痛め、その後後輩たちから疎んじられる漢気ある男。
4.仁藤菜月・・優良生徒。だが、中学時代に恋仲だった坂上の事を今でも思っている。
◆感想
・そんな彼らが、地域貢献の活動で選んだ事。それはミュージカル。
そこで奏でられる「ピアノソナタ 悲愴」の「心が叫び出す」及び「Over the Rainbow
」
ー これを、声を出せない成瀬順が考え、坂上がアレンジメントしていくのである。ー
・甲子園を目指していた田崎大樹が、投げやりな気持ちを後輩にぶつける中、浮いて行き彼自身がその状態に気づき、後輩たちに詫びるシーン。
ー 個人的は、このシーンは沁みた。
ナカナカ出来る事ではないし、雨の中で今までの尊大な行為を謝罪する事で彼自身の成長にも繋がって行くのである。ー
・坂上と仁藤の関係性。
ー お互いに中学生時代から思いがあるのに、口にしなかったために擦れ違う姿。そして後悔。だが、二人は地域貢献の活動を一緒に行うことで、その壁を越えて行くのである。ー
<今作は、勝手に高校生の恋愛映画だろうと当時、スルーしていた作品である。
全くおバカである。
今作で描かれている事は、社会人でも十二分に通用する。
組織内での陰湿な苛め。様々なハラスメント。
今作が公開された時は、余り話題になっていなかった事が、今や社会の大きな問題となっているのである。
そんなことは置いておいて、今作が発信する
”言葉は自覚なく人と自分自身を傷つける。そして言いたいことを言えない後悔。自身が思っている事にキチンと対応する事の大切さ。”と言うテーマは時代を超えて観る側に響くのである。>