「良くできてるけど痒いところに手が届かなかった」心が叫びたがってるんだ。(2015) はるさんの映画レビュー(感想・評価)
良くできてるけど痒いところに手が届かなかった
青春群像劇はもう大好物だし、ヒューマンドラマ、ラブストーリーなんかも映画、小説、漫画、など表現媒体問わず観たり読んだりするのでこちらの作品は予告で気になり観させていただきました。
結論先に書きますと、全体的に良くできてて綺麗にまとまってるし、はまる人はかなりはまりそうと思います。
高校生の描写もリアル感あるし、キャラ同士の距離感もうまいんですが、まず思ったのがこれアニメでやる必要あるのか?ってところでした。
アニメならではの比喩表現が個人的に浮いて見えたのが一つ目。
他が絶妙な空気感でリアルさがあったので、演出のせいなのか違和感を覚えました。
心象風景で比喩なのはわかるのですが、もう少し違った卵と寓話的なノリの演出できたのでは?と。
アニメ的表現はむしろするべきとかんじるのですが、本作の場合なんか他の部分の描写と比喩的な卵の表現の噛み合わせがあまり良いようにかんじれませんでした。
それと、キャラクターの感情の発露のさせ方がもうちょっと情緒的にえがけなかったのかなあと。ほかのクラスの空気感やキャラクター描写がすごく繊細で絶妙だからこそ、ここ一番での田所と坂上両名の台詞の言葉選びのセンスがクサすぎて感情移入してたところから一気に現実に引き戻されてしまった感が。
個人的に一番良かったのは田崎の野球部まわりのくだりですね。
文学的な雰囲気にしたいのか、アニメ的のりしたいのか、エンタメしたいのかどっちつかずになってしまってた感がしてしまってすごく良くできた作品で見どころいっぱいあるしキャラクターも素敵なのに、いまいち感情移入しきることができませんでした。
どれを取り入れてもグッとくる物はぐっとくるんでしょうが、この作品の場合はとっちらかるまではいかないけれど、今一歩足りない感じがしてしまいました。
おしいなあと強く感じる次第です。