オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のレビュー・感想・評価
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誠実さは身を滅ぼすか?身を助くるか?
最初から最後まで、映像が「車の中だけ」という映画がかつてあっただろうか。今にも出産しそうな浮気相手を慰め、自宅でサッカー観戦を約束していた子供に話を合わせ、思い切って妻に状況を暴露しその後の発狂に対応、明日の一世一代の大仕事を代わりに遂行する不安げな同僚へ指示をおこない、仕事の障害が見つかればその担当者と交渉をおこなう、、、、。主人公以外の登場人物は車のコンソールに表示される相手の名前と車中に響く電話の声しかなく、一切映像には映らない。でもまさに相手の状況がリアルに浮かび上がってくる。きっと髪振り乱して怒っているんだろうな、少しほろ酔いででも不安げにいるんだろうな、1階でママに見えないところから受話器握りしめてさびしく電話してるんだろうな、、など。
そもそもこの事態になった発端は主人公の「バカ正直なほどの誠実さ」。出張先で一夜だけ供にした女性の出産に立ち会うという気さえおこさなければこんなことにはならなかった。ただ、その一方で主人公のこれまでの誠実さが身を助けてもいる。代わりに大仕事をやろうとする同僚、市役所の担当官、急きょ依頼した作業員、等。これまでの彼の誠実な実績があったからこそ。
最後は、職も家族も家もなくした彼にたったひとつ希望が訪れたシーンで終わる、見事なクロージングである。
情けない痴話がこんなにもエキサイティングに!
ある夜、愛する妻や子供がいる家を出て、車で高速道路を走るひとりの男。土木工事の現場監督で、明日はバカでかい基礎工事が控えていて、今夜は家族と大事な約束もある。それなのに、一体男はどこに向かおうとしてるのか?
マジメそうな庶民が、突然不断の決意をして、家族にも仕事にも背を向けるこの映画。いや、車を走らせながらあちこちに電話をかけて、あらゆるトラブルや綻びを収めよう必死に努力はするのだが、状況は悪化するばかり。全編車の中で繰り広げられる、スリリングなブラックコメディと呼ぶべきだろう。
主演のトム・ハーディ以外は電話の向こうの声だけで誰一人顔が映らないのだが、共演者は『スパイダーマン ホームカミング』のトム・ホランドだったり『女王様のお気に入り』『フリーバッグ』のオリヴィア・コールマンだったりとかなり豪華。そして、ものすごく小さなスケールのお話ながら、とっちらかったことをしでかす一般人の一生懸命から目が離せなくなる。観る人を選ぶ作品だとは思うが、自分のようなダメ人間映画好きには中毒性があるくらいハマる。
ファキ◯ジョーク!アイバン! GET OUTフーリガン!
『フ◯キンジョーク!アイバン!』
直属の上司だろうと思われるガレスさんを『ク◯野郎』と電話登録している。このク◯髭面男の方が、◯ソ野郎なのに。
ファキ◯ジョーク!と言っている。
·孤独な女性。
·行きずりの一回だけの間違い。
·取るに足らない43歳の女性。
·仕事が忙しくて気が付いたらそう言う関係になっていた。
·愛してなんかいない
·彼女は妊娠を黙っていた
以上を鑑みればコイツは段取りが出来ない人任せな愚図野郎だと思うし、完璧な女性蔑視者。『酒を飲むな』とか部下に言いながら、酒が引き金で、しかも43歳の高齢で孤独な女性の弱みに漬け込んで、NSでNNした訳でしょ。年齢から妊娠すると思わなかったからだよ。正に犯罪的な、確信犯。確信犯に騙されるな。と言いたい。
共感したのは全てフ♥キンジョークだぜ。こういった事を普通に考える演出家達、そう、英国のフーリガン達が怖くなる。
でも、それを全部計算していれば傑作だと思うが。そんなに奥深く感じなかった。
【私生児と思われる男が、一夜を共にした女性の出産に立ち会うために、家族、仕事を犠牲にしてでも夜中のハイウエイを疾走する姿を描くトム・ハーディファンには堪らない作品。】
■建築現場監督としてキャリアを積み上げてきたアイヴァン・ロック(トム・ハーディ)。仕事を終えて自宅に向けて走りだす。
そこへ且つて一晩だけ共にしたベッサン(声:オリヴィア・コールマン、聞けば分かる。)から1本の電話がかかってきてアイヴァンの気持ちは揺らぐ。
行き先を変更したアイヴァンは、家族にはうそで塗り固めた電話をし、翌日からの大規模工事の指示を部下に出す。
◆感想
・画はほぼ総て、トム・ハーディ演じるアイヴァン・ロックの車中での姿である。
・彼は、一晩だけ共にたベッサンの出産に立ち会うために車を飛ばす。
ー 途中で明示される彼の会社からの解雇。そして、妻カトリーナからの別れの言葉。-
■だが、彼は仕事に対しては適切な指示を部下に出す。そして、彼が屡々口にする父への想い。このセリフから彼が、私生児である事が容易に想像できるのである。
彼が、私生児として苦労して来た背景は一切描かれない。
だが、彼が自身の私生児のために、全てを投げ打ってベッサンの病院へ向かうシーンや、家族、仕事仲間からの電話に的確に対応する姿が印象的な作品である。
<結論:今更ながらトム・ハーディって、良い役者だなあ、と思った作品である。>
共感できない…
移動中の男の車の中だけでストーリーが進行していく、ワンシチュエーション形式の映画。トム・ハーディが演じるとあって、大いに期待して見たのですが、終わってみると徒労感だけが残る、なんとも後味の悪い一本でした。
舞台劇を映画にアダプテーションしたときにこの形式は多いのかなと思います。ストーリーを凝縮し、登場人物を最小限に絞り込み、少ない予算で制作できるメリットがあると思いますが、諸刃の剣。この映画のように、私小説で、起こる出来事が等身大で飛躍の少ない展開だと、観客は置いて行かれ、退屈な日常の描写にうんざりさせられることになります。
しかも、この男のとる行動が、個人的にはまったく共感できないことだらけなので、冒頭からイライラさせられっぱなし。あえてネタばらしするなら、最後までスッキリすることなく終わってしまいます。
以下、
・職場放棄をする
・その理由があまりにも身勝手すぎる
・それによってあまりにも多くの人に実害が及ぶ(おそらく一万人単位で)
・家族を優先するという価値観に共感できない
・その家族すら浮気相手の出産に立ち会うというトピックに勝てない
・男が浮気相手を愛していない
・とりまく人物の行動も理解に苦しむ(特に巨大建造物の生コン注入管理の職場に、飲酒癖のある人物が日常的に存在すること)
・観客にある期待を抱かせる(自動車事故)が、なにも起きない
・それでいて、奇跡のような事態の打開もない
・せめて、何かひとつでも希望を持てるような事が起きない(おそらく苦難の人生が待ち受けるであろう赤ちゃんの産声すら、電話の向こうにむなしく聞こえる。そう、立会い出産に、間に合わないのだ!!)
このような理由により、この映画、私は嫌いです。
2016.3.24
電話だけのやりとりはギルティにも似ているけど 高速道路運転中で後戻...
電話だけのやりとりはギルティにも似ているけど
高速道路運転中で後戻りはできない感があります。
でもギルティのほうが裏があって良かったかなぁ
実は妻にも愛人が、とか
仕事の裏取引がバレるとか、一癖欲しかった。
特殊な映像、だからこそ描けた人間
高速道路と車内という空間が、こんなに面白いとは!
後戻りはできず、一定の速度で進むしかない一本道。
外界の景色は、夜の闇と等間隔な街灯の光による、抽象的でぼんやりとした存在だけを現しながら流れてゆく。
車の中は自己の領域。他者とのほとんど絶望的な隔たりの中、電話だけが社会とつながる頼りないスポークとなっている。後部座席は闇が亡霊のごとき不安感をたたえ、父のカゲが投影される。
高速道路の場面だけで構成するというのは、奇をてらっていると見られそうだが、こうすることでしか描けない情報が確かにあったのだと思う。高速道路の場面の前後が映らないために、車内の狭さと合間って、より閉塞感、束縛感が肥大化し、彼の苦しみがずしずしと響いてくる。
話し相手の姿が見えないことであぶり出されるのは、不安も焦りも全て自分の社会的立場に対するものだということだ。通話以外、他者と隔たっている中で、社会の中から自己が区切られ、浮かび上がる。社会的な関係性の状況に照らして自己を捉えられるという、自己認識・評価の一つの本質が見いだせる。
それにしても、いつだったろう、私もこんな経験をした気がする。
いくつも重大なタスクが重なって、焦り混乱しそうな自分に鞭打ちながらなんとか対処しようとする深夜だ。出産とか工事の監督みたいな大きいことではなかったはずだが。
そんな中、ミスが起こったり、一定で進む時間のどうにもならなさを嘆いたり、自分の能力の限界に苛立ったり…そんなめまいのするような一時の情景が、記憶の奥から浮き出しそうだった。
実はそういう経験のある人って、少なくないのでは。
地味なのに面白い
1人主演シチュエーション物にしてはほぼ高速を走ってるだけなので本当に電話でのやりとりがメイン、この手の映画にありがちな外部での事故、などのトラブルはないので本当に電話の内容でひきつける感じ
大まかに家族、不倫相手、仕事関係の3つの通話になっていて
それプラス父親への妄想
これだけでほぼ90分持たせるのはトム・ハーディに魅力があるからなのか
とにかく通話がひっきりなしで次々問題が発生してて地味ながら面白い
でも、バカ正直すぎるのはなんだかなあと思います。
まあ、ラスト病院行ってそのまま職場に戻ればまだ間に合うか?
いや、家族の元に帰るんだろうなぁ
損な男のお話でした
トム・ハーディの演技力!
登場人物がトム・ハーディしか出てこず、86分間ずっと車を運転してるだけなのに、人生が変わってしまうお話。
高速を運転しながら様々な人間と電話するこの演技はトム・ハーディにしかできないと思った。
見てよかった
アマプラ特典の期限ギリギリで見ましたが、見てよかった!
他に同じことを書いてる人がいなさそうなので書きますが、ハッピーエンドだと受け取りました。
最後、子どもがちゃんと生まれたと分かったときの主人公の表情もそうですが、息子が泣きながら「帰ってきて」と話すシーンは、「何だかよく分からないけどパパがママを悲しませている」ことまでは分かるけれど、ママから息子たちへ決定的なお知らせがない証拠だと感じたからです。
妻は、夫の行動を許しがたいと思いながらも、一度きりの過ちのせいで今本当に自分が三行半をつきつけて家庭をバラバラにしていいんだろうかと逡巡していたのでは。その意味で、ハッピーエンドとも言える明るい材料が意図的に残されていたので爽やかな気持ちでエンドロールを見ました。
主演俳優の一人劇。
邦題のサブタイトル「その夜、86分」というだけあって、実際86分の映画です。なので、ほぼリアルタイム感覚で話が進みます。夜に車内で見たら臨場感あるかも…笑
多少は他の人も出てくるのかと思いきや、完全に一人劇場でした。80分間オッサンの顔見てるだけ。なのに飽きさせないトム・ハーディの演技が素晴らしい。
飽きさせないと言っても、途中ちょっとした中弛みは感じました…が、予想では開始20分くらいで見るのをやめても仕方ないくらいダルい映画かと思っていたので…(^^;
DVD買うほどのもんじゃないとは思いますが、見て損はしない映画だったと思います。
アメリカ・イギリス合作の映画らしいですが、どちらかというとイギリス映画の雰囲気かなと。アメリカ映画代表みたいな派手さや盛り上がりは全然ないです。
内容は別に驚きがあるわけでもないし謎もないので、特別何の感想もなしって感じの話なんですが(ヨーロッパの方は何の盛り上がりもないけど日常切り取ってみたような映画多い気がしますが)、80分も車内でオッサンの顔見てるだけなのに殆ど飽きさせないスピード感の緩急と、最初と最後に流れる印象的な音楽、主演は勿論、声だけの俳優陣も演技が素晴らしかったのでこの評価です。
あらすじ:
主人公のアイヴァンは、妻と2人の息子を持つ建築現場監督。家族仲も良く、仕事でも評価されていた。しかし、ロンドンへ出張へ行った際、現地の秘書ベッサンと不倫してしまう。40代も後半の孤独なベッサンに同情し、自分も出張中で寂しかったのもあり、どうせだから相手をしてやろうと思いあがって一晩ベッドを共にしたことにより、ベッサンは子供を授かってしまう。出産予定日の2か月前、翌日に大事な仕事を控えたある日、ベッサンから破水したとの連絡が入り、慌てたアイヴァンは、大事な仕事も家族との約束も放り出し「ベッサンの件の責任は自分にある」とベッサンの入院するロンドンの産婦人科に向かうが…
以下ネタバレ
あらすじを読んで何となくわかったかとは思いますが、まぁ結局は自業自得のストーリー。
レビューを読んでいると結構「不倫はしたけどアイヴァンは真面目な人」とか、自分のしたことの責任をきちんと取ろうとしている、みたいな解釈がチラホラあるのですが、本当にそうなのかな?と。各々の解釈なのでケチをつけるわけではないんですが…
劇中でアイヴァンは、頻繁に自分のロクデナシ親父に向かって話しかけます。もちろんこれはアイヴァンの妄想というか、自分の失態にクズ父親の面影を見ているだけなのですが、その内容が「俺はあのロクデナシとは違う」「責任を取らないことで父親と同じと思いたくない」というようなことばかりなんですよね。
純粋に「家族を大切にするべきだったのに、やってしまった…どうしても家族とやり直したい、許してほしい」という感じではなく、台詞の端々に「責任取ってやったぞ、これであのロクデナシと俺が同類とは言わせないぞ」という感じで、まあ元々不倫する人ってそんなもんなんでしょうけど、妻に対する話し方も、どうも悪い事した、傷つけて申し訳ないって感じじゃない。実際謝ってもいなかったような。「こんなことがあって、こういう理由で不倫しちゃったんだけど、まあ1回だけだし問題ないよね?これからどうする?」みたいな態度。
基本的に思い上がりが凄くて、原題のロックというのがアイヴァンの苗字なんですが、「俺一人の力でロックの名を立て直してやった」みたいなことを言ってたりします。すんごい自信。身近にいたらめちゃくちゃ嫌われてそうなタイプ。
劇中、アイヴァンの元へは仕事仲間、上司、不倫相手、産婦人科医、妻、子供などなど、色んな人から電話がかかってくるのですが、殆ど自分本位で、何故か局面を動かすのは自分だと思い込んでる。
あらすじに「仕事放り出して」と書きましたが、実際には、本部にアイヴァンのクビを取り消してもらうよう必死に頼み込んでくれた上司に向かって「不倫相手の出産に立ち会うから現場には行かないが、代理の監督には任せない、電話で自分が同僚に指示するから邪魔すんな」。もうクビになっているにも関わらずです。まぁこの上司の名前、電話の登録名が「クソ野郎」になっているので、元々嫌いなんでしょうけど(^^;
そして同僚には「俺が全部指示するから、俺の言う事だけ聞いてれば良い。上司の電話には出るな」。
「私のこと愛してる?」と訊いてきた不倫相手のベッサンに対しては「今車飛ばしてそっちに向かってる、同情で抱いただけだからお前なんか知らない人間同然だし全然愛してないけど、一応子供できちゃったから責任とって認知はする」。
不倫したこと・不倫相手に子供ができたこと・その出産に立ち会うために家族との約束をすっぽかしたことを突然聞かされ動揺している妻に対しては「こういう経緯で不倫したけど、相手の女のことよく知らないし愛してないし、愛してるのはお前だけだから。出産の立ち合い終わったら帰るから、今まで通りそっちで暮らすわ。不倫相手の女?出産?そんなことより俺たちの今後の話しようぜ(当然許してくれるよな?)。」
要するに、アイヴァンは自分のやらかしたことに対して反省した結果、責任を取ろうとしているのではなく、「自分はロクデナシの親父とは違うと思いたい」からリカバーしようと必死なのです。ここまでやればクズの父親と同類にはされないだろ、これで俺は仕事でも、夫としても、親としても親父より立派だろ、と思いたいだけの自己満足なのです。
最後に残るのは、同情で「抱いてやった」不倫相手と、過ちでできてしまった赤ん坊。最後これで流産とかだったら嫌なラストだな…と変にドキドキしましたが、一応出産は無事終わり、希望のあるラスト…なのかなぁ?
結局のところ、不倫相手は「誰でも良いから傍にいて欲しい」という気持ちでしかないんでしょうから、結婚してもうまくはいかないでしょう。子供も、愛情なく責任だけで一緒にいられるってどんな感じでしょうか。「ロックの名を継ぐこと」は、この子にとって本当に恥ではないのでしょうか?
捨てる神あれば拾う神ありで、辛うじて息子はアイヴァンのことを嫌ってはいませんが…
しかし妻との電話は酷いもんでした。
「1回の過ちだ」と何度も繰り返すアイヴァンに、妻は「その1回で全てが変わる」と返します。この一言、この映画の中でかなり痛烈です。実際、その1回の不倫のせいで仕事もクビになり家族も失ったわけですから、象徴的な一言といっても良いでしょう。
そして、よくよく妻の話を聞いていると、どうやら上手くやっていたと思っていたのはアイヴァンだけで、妻は前から寂しい思いや不満を抱えていたんですね。なのに、アイヴァンは「出張先で寂しかったから浮気しちゃった~1回だけだけど」「相手は誰にも相手にされない可哀想な女だから仕方なかったんだよ~よく知らねーけど」。
妻が許せなかったのは、不倫自体よりも、夫が真面目に働いているからそれを支えようと辛くても黙って耐えてきたのに、それを当然と思ってあまつさえ裏切りやがった、しかも謝罪もなく事情と言い訳ばかりで、許してもらえると思ってやがるぞこいつ!ってところなのでは。
「朝には機嫌も直ってるだろう…そう思おう」とアイヴァンは希望的観測をしますが、そもそも不倫した、不倫相手が出産しますと突然言われて動揺して「何でそんなことを!?信じられない!」ってなってる相手に「そんなことより今後のこと話し合おう」って、一体…
相手の気持ちを考えず「そんなこと」で済ませて、自分のペースで話を進めようとするし、「今後」があると思ってる時点で反省してないな、こやつ。と思ってしまいました。
色んな人との電話の中で、相手の様々な感情を随所に感じられるわけなんですが、特にラストの息子との電話が本当に悲しくて…
いや、息子…エディお前…
ちなみに息子エディ役は最近話題のトム・ホランド君です。声だけですが。
長々語りましたが、映画としてはよくできていたと思います。が、如何せん主人公がウワーな台詞連発で、もう見てらんない…と思うシーンは何度もあります。
あと、いくらトム・ハーディがすげー俳優だとしても、流石に1人で86分は長かった。電話が至る所からガンガンかかってきて、後半はもう、誰かと喋ってる最中にも「電話きたよ!」と通知が入ってイライラする!って描写があるくらい賑わっているのですが、電話が鳴らない時はちょっと中弛みします。父親の幻影と喋ってる時とか特に。でもあれが一番大事な内容なんですよね。
妻とは離婚でしょうから、最終的にアイヴァンの姓「ロック」を名乗ることになるのは、(結婚するとすれば)不倫相手の子供だけになるということなのかな。
だとすると、「俺一人でロックの名を立て直した」と本人は言っていたけど、結局ロクデナシのロック家は続いていくことになりそう。
仕事以外、完全に思考停止状態で何となく生きてきたのが、追い詰められて初めて自分で何かを決めなきゃいけなくなってアタフタしてるような感じで、多分こうやってボカして表現すると、同じような生き方をしてる人ってかなり多いんじゃないかと思います。
思考停止状態の人に「何で?」と質問すると、結構な確率で嫌な顔されますよね。別に失礼な事訊いたわけじゃないのに。
下らない質問ならそれでも良いでしょうが、取り返しのつかない過ちかどうかは、事前によく考えてから行動に移さないとこうなるよっていうわかりやすいお話でもありました。
1つ不思議だったのが、何で主人公あんな酷い風邪っぴきだったのか…トム・ハーディがたまたま風邪ひいてたからそのまま…とかではないよね、流石に。劇中ずっと鼻かんだり薬飲んだり(?)してるんですが、何の意味があったのかは不明。これもしかして途中で風邪酷くなって頭が朦朧として事故るENDなんじゃ…と途中から別の意味でハラハラしてました。
とにかくラストの息子の演技(声のみ)だけでも聴く価値あるなぁとか思ってしまった自分は別にトム・ホランドのファンではないです。
運命のハイウェイ
一人の男が夜のハイウェイを車で走る。電話でやり取りしながら。
ただそれだけなのに、男が破滅へと走っていくサスペンスフルな作品として成り立っている。
男の名は、アイヴァン・ロック。
家族あり。
家では子供たちが父親と一緒にスポーツ観戦するのを楽しみに待っているようだが、アイヴァンは仕事を終え、帰宅する…訳ではないようだ。
では、何処に向かっている?
アイヴァンは有能な工事の現場監督。
翌日、大規模な作業が控えている。
その前日にも拘わらず、上司や部下から電話が掛かって来ようとも、ひたすら車を走らす。
彼が向かっているのは…
ロンドン。
以前たった一度だけ関係を持った女性が妊娠し、今病院に居て、まさにこれから出産しそうなのだ。
それに立ち会う為に。
言うまでもなく、不倫。
この夜はアイヴァンにとって人生の別れ道。
電話で妻に全てを打ち明けるが…
妻は大激怒。ヒステリックにもなり、アイヴァンを家から追い出すとまで言う。
さらに、仕事関係の電話が。トラブル発生。電話越しに対応するが、部下は困惑し酒を飲み始め、しびれを切らした上司から解雇通告が…。
さらにさらに、ロンドンの病院から電話。へその緒が胎児の首に絡まり、危険な状態。不安がる不倫相手の声…。
妻をなだめ、
トラブルに対処し、
不倫相手を安心させ、
それらが代わる代わる。
やり取りがどんどんヒートアップしていくのと並行して、アイヴァンの焦燥や苛立ちも募っていく。
うるさいほど掛かってくる電話にうんざりした事は誰しも経験ある筈。自分も然り。
いよいよ我慢出来なくなり、「ファック!」と叫び、怒号を上げる。
それでもアイヴァンはロンドンを目指す。
時折アイヴァンは、誰も居ない車内で誰かと対話する。幻影のある人物と自分は違うと言い聞かせながら…。
たった一人の車内という、異色のワン・シチュエーション。ほぼリアルタイム。
電話だけでやり取りする会話劇でもあり、主人公が置かれた状況や緊迫感など構成や展開が巧みで、飽きさせない。
そして、一人芝居。トム・ハーディの熱演が圧巻。
いつものタフなイメージは抑え、平凡な男の様々な感情を見事に表している。
延々続く夜のハイウェイは、まさに出口の見えない状況に陥った主人公の運命そのもの。
家族も仕事も失い、自業自得でもある。
果たしてこれで良かったのか…? 道を間違えたのか…?
そんな時電話から聞こえてきた、ある“声”。
それがこの男のこれからに明となるか暗となるか見た人それぞれの受け止め方次第だが、やっと一つの出口が…。
もっと短くていい映画
映画の内容としては問題ありませんでしたが
いかんせん長い
20分でいいレベルの内容でした。
そうすれば、映画らしい映画として3.5点くらいになったと思います。
2倍速でちょうどいい映画でした。
風景が同じなので、のめりこむまで時間がかかります。
内容としては、すべてがうまくいって行ってた男が一夜にしてすべて終わる話。
ありがちな内容です。
演技も題材も映画にぴったりでしたが、もう少し短ければなあ。
素晴らしいような気もする、不完全燃焼な脚本。
あー。なんと。。
1番の不完全燃焼は、家族の今後、子供と母との今後。
最後は想像にお任せします系の脚本は、どうもしっくりこない。
でも、ある意味ではこれだけシンプルな作品で、ここまでの人間模様と、全てが想像できる。やっぱり役者には拍手。それでもあまりにもクールすぎで、逆に人間らしさがあるようなないような気がした。
可もあり不可もあり
トム・ホランドもだがオリヴィア・コールマンもいたのね。
設定一発ネタではあるが、モジュラー型ミステリの様に、同時発生している諸問題に対応していくのが面白い。ただみおわってから、どちらかといえばその決断に至るまでの方に興味を覚えたのと、後発の『GUILTY ギルティ』が良すぎたのでね。
最後のシーン
息子がこっそりとTELをしてきてくれた
息子とは、 もしかしたら、今後も信頼関係を継続していけるかもしれない、かすかな安堵
そこへ、来た無事出産の報
あの時、バイパスから降りていた主人公は、Uターンして家に帰ろうとしてたのだろうか
帰ったのか
それとも、赤子の元へ向かったのか
トムハの熱演で映画はこんなに面白くなる!
キューブ
ソウ
フォーンブース
これらに続くワンシチュエーション映画の良作。
トム・ハーディが車内で電話をしながらの86分。
これがシンプルながら面白い。
幻想的な映像と大胆なストーリーに魅力された。
人生の逆境に立たされた主人公が取った執念の行動。
最後の電話を経ての余韻も心地いい。
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