劇場公開日 2015年10月3日

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「天使の顔をした女帝」罪の余白 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5天使の顔をした女帝

2020年7月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

萌える

自分は子供は居ないが、子を持つ親なら分からないでもないだろう。
そんな親が“悪者”に見られてしまう胸クソ悪い戦慄のサスペンス。

ある父と娘。母親が出産の時に死んでからずっと二人三脚。仲も睦まじい。
そんなある日突然、娘が学校のベランダから飛び降りて死亡。娘に何があったのか…?
ショックを引き摺ったまま、娘のパソコンを開く。いじめを受けていたような日記が…。
娘はいじめを苦にした自殺か…? 娘の死の真相を探る…。

もし我が子がいじめを苦に自殺したのなら、何故死ななければならなかったのか、そこに何があったのか、親なら知りたくなるだろう。
だからこの父親の心情は分かるが、常軌を逸していく。
憔悴し、酒を煽り、文化祭に現れたり、必要以上に同級生から話を聞き出そうとしたり…。
変質者一歩手前。実際、警察に連行もされた。
それでも、知りたい。娘に何があったのかーーー。
娘の日記には父との事や学校の事、友達の事。
仲のいい友達だったが、次第に無視され、いじめを受けるようになり、悩みを死をほのめかす記述が。
その友達だった2人の女子の名もあり、直接会いに行くのだが…、
そこから父は地獄を見る事になる…。

美人で成績も良くて、人気者、憧れの的。非の打ち所が無い存在。
云わば、トップに君臨する“女帝”。
が、そのパーフェクトな見た目から想像出来ないほど、意志が強く、ヒヤリとさせる面も。もう一人の女子を完璧に従わせる。
言動も大胆不敵。クラスの別の女子を偽り、日記の有無を確かめようと接近。こんなのすぐバレるのに、バレたらバレたで一切動じず。自分は何も知らない、関係ないの一点張り。
娘だけではなく、父親も追い詰め、心優しき可憐な友達を演じきる。
まさしく、天使の顔の悪魔。ゾッとさせられるのに、吉本実憂に魅せられる。
美少女であればあるほど怖い。
内野聖陽も巧演だが、心理学者なのにこうも翻弄されるのか…?
クラスメイトにも今活躍している面々が。

演出や音楽は洒落た雰囲気を狙って外した感もするが、胸クソサスペンスとしてはそう悪くない。
世間からも邪険にされ、遂には娘に性的虐待の疑いも掛けられ、とことん追い詰められていく父親の状況はスリリングで絶望的。
それに反し、女帝美少女は…。
我が夢に一歩近付く。
が、初めてKOパンチを食らい、これまで思い通りにさせて生きてきた人生の苦みを知る。涙をも滲ませ、でもザマミロと言うより、まだ子供の一面を見た。

それでも下手には絶対に出ない。
ケリを付ける時。
父親が選んだケリの付け方は、ある意味これ以上のない復讐。
一応我が身を犠牲にして復讐は果たしたが、あの女帝の更正は…?

近大