劇場公開日 2015年10月3日

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「本当の正しさとは?暴走する2人の、行き詰まる攻防戦。」罪の余白 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本当の正しさとは?暴走する2人の、行き詰まる攻防戦。

2015年10月6日
PCから投稿

悲しい

怖い

知的

【賛否両論チェック】
賛:次第に暴走する父と、人望を武器に切り抜けようとする少女。2人の火花散る戦いにハラハラさせられる。人間の醜い部分が両者に現れていくのが印象的。
否:真相は最初から提示されているので、謎解きとしての面白さは皆無。決して善人ではない主人公や、悪には染まりきっていないヒロイン等、どっちつかずのキャラクターに、感情移入はなかなかしにくい。

 片や最愛の娘を亡くし、喪失感から次第に暴走していく父親。片や優等生の仮面を被り、自らの夢の実現のために必死にのしあがろうとする少女。およそ相容れない2人が交錯し、静かながらも火花散るバトルが繰り広げられ、ハラハラさせられます。どちらも決して正義や悪の一辺倒ではなく、どちらにも人間的な良い一面と、常軌を逸した醜い一面があって、その対比が非常に印象に残ります。
 ただ、元々は「行動心理学者の父VS他人の心理を操る悪魔」という触れ込みでしたが、主人公が心理学の知識を応用するようなシーンはあまりなく、若干の肩透かし感は否めません。それでもやはりラストのシーンは、さすが心理学者という上手い手を使っていますので、要注目です(笑)。
 ミステリー目当てで観るのは不向きですので、どちらかというと主人公達の心理の変化に深く考えさせられるような、変化球の人間ドラマと言えそうです。

映画コーディネーター・門倉カド