「愛されると愛せるようになり自立できる」トイ・ストーリー4 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
愛されると愛せるようになり自立できる
おもちゃにも心があって楽しいなぁ、おもちゃは大切にしないとね、と1や2を観ていた幼少期の私が、大学の友達と3を観て号泣し、今や育児をしている。
製作陣も、観る側の年齢の成長に合わせて、おもちゃを大切にしようというメッセージから、
愛されると、愛せるようになり、自立できる
というメッセージに変化している。
ウッディはすっかりおもちゃの中では年配組。
アンディに愛されたからこそ、周りに愛を教え続け、今作ついに誰かの所有物という存在から卒業した。
モリーから愛されたボーも、少し早めに独立し、ウッディだけには少し積極的だが賢くおしとやかなメリーポピンズのようだったのに、スカートをマントにして翻しながら活動。たくましいワーキングガールになっていた。中古店で買い手がつかない経験を数年したせいで、少し角が立つ物言いをしたりもするが、ウッディ助けとなると情に厚い。
愛されたからこそ、愛し方がわかるから優しくなり、外の広い世界に憧れ、幾多の挑戦を望み乗り越える自信がつく。だから、寂しい思いを子供にさせてはいけないよ、というメッセージを、親になり現代を生きるファン達へ貰った気がして、しみじみと偉大なシリーズだと感じた。
おもちゃはみんな、子供に愛されたい一心。
ウッディはアンディから1番に愛された日々を忘れられない。3でボニーの手にわたり、ボニーはおもちゃを大切にする子ではあるのだが、女の子だし、ウッディが1番ではない複雑な心境。それでも、ボニーの情緒安定のために奔走するウッディが、ボニーの1番となったフォーキーにせっせと世話を焼く。
元々ウッディはリーダーシップに溢れていたけれど、新入社員を手を焼きながら教育するシニア間近のベテランのよう。こんなに、誰かのおもちゃとしての生を全うできたウッディはおもちゃ冥利につきる。定年後も働くシニア世代が経験を活かして第3の転職先を探すように、ウッディが次の行き先を思案したり、今度は自身の幸せを探してみるのも、適齢期だと思う。
一方、3のハグベアのロッツォは、愛されなかったがゆえに相手を信じられなくなるほどにグレて、堕ちつくしてしまった。4でも、寂しさゆえに少し手荒な事もするが、まだ愛されることを切望しているギャビーギャビーという女の子が出てくる。最初から後ろの発声器が壊れていたから、子供に必要とされるチャンスが来ぬまま、中古店へ。同じ年代に作られたウッディは発声器を狙われる。優しいウッディ、最後はドナー提供者のように発声器をその子へ。そして、ギャビーギャビー本人が迷子の子供を助けたい一心で、諦めずにチャンスを信じて迷子の子供のもとに飛び込む。ウッディは持ち主の支えになる使命を終えたが、今度はギャビーギャビーが次世代の子供を支える展開。
おもちゃの中でも、3で世代交代が、4で次世代育成が行われるとは。
そんな中、いつも、スペイン語モードになってしまったりとなにかとKYで不運に見舞われるバズが今作では絶好調!めっちゃ空気読めるし、発声器もタイムリーにベストなアドバイス!笑えた。
そして、最後。ウッディはボニーの元へではなく、ボーと生きる決意をし、みんなと別れる。今まで数多の冒険をして、不安や焦りや達成感を味わってきた仲間との決別シーン。短い間だったけれど、シリーズをずっと観てきたから色んなシーンを思い出して、兄弟や親友の結婚式かのごとく号泣した!ボーがでなく、ボニーが大丈夫だよ、とウッディの背中を押してくれたバズも、親友との別れ、相当寂しかったであろう。でも、今生の別れとなる可能性もあるのに、引き止めず行かせてくれるバズの懐の深さ優しさは、本物の友情。
アンディを育てた両親は素晴らしい。
アンディのような、ウッディのような、周りや未来を担う歳下の存在にも優しくいられる子に、私も自分の子を育てたい。そのためにも、これからも沢山の愛情を注いでいきたい。
自立したボーやウッディが見ていた景色、綺麗だったなぁ。恋仲を示唆はしても、目に見える言動に落とし込まれていない点が、子供も観る作品としてとても良かった!