「俺はバズにはなれない」トイ・ストーリー4 らこみりさんの映画レビュー(感想・評価)
俺はバズにはなれない
良かった。良かったんだけど
やっぱり受け入れがたいものがある。
ウッディが自由への道を決め、仲間たちが皆祝福するラストシーンのことです。
何というか、製作陣はこうしてでも物凄く伝えたい事があったんだと思うんだけど
伝えたいことを好意的に解釈すると、ウッディの概念が覆される話だと思った。
おもちゃなんだからこうしないとって凝り固まった考えを振り払った
そうゆうのは誰しもあって、そのせいで動くことが出来なかったりする
振り払った時に初めて人生を変える選択ができる、自分を変えて前に進める。
だからウッディがその固定概念を振り払えた時皆んな祝福したんだろうし、
あなたはおもちゃの希望よって意味で、新しく生きるのねって意味で喜んだんだろうと思える。
でもね、ウッディの固定概念って確実に優しさから来てるんだ
作中でもさんざん言われてたように独りよがりだし、周りも見えてないし、自分がそうしたいからそうしてるだけで褒められたものでは無いかもしれないけど、それでもずっと「子供のため」がウッディにはあった
子供が寂しく無いように、楽しく遊べるように、俺がついてるぜって
それを全部捨てるような結末なんですよ。これはとんでも無いことですよ。キャラクターの根幹が変わってる。
それをこの超人気作の主人公でやったことは凄い、けど、「ウッディ変わっちゃったな」って少し思ってしまっている。
だからこそラストシーンで、それを全て悟って、受け入れて、「ボニーは大丈夫だ」って言ったバズには本当に敵わねえなと思った。ボニーを捨ててでもお前は変わっていくんだと。それでこそ相棒。俺はそんなかっこいい事言えねえよ。そんな感じでした。
おもちゃ達がウッディを祝福するのも、きっと皆んながウッディの事を理解してるからこその表現なんだろうけど、皮肉に見えなくも無いんですよ………だって、あんなに皆価値観が違うのに、今までのシリーズでも特にポテトヘッドとか全然ウッディを信用してないようなシーンもあったのに、俺はあそこで、レックスに「ええっ!?ボニーのところに帰らずにどっか行っちゃうの!?見損なったよウッディ!」ぐらい言ってほしかったなって…ちょっと思うんだ………これこそ独りよがりだけども………
モンスターズユニバーシティの時も少し思ったんだけど、現実の苦しい部分を鮮烈に描きすぎな気がする。今回は「過去を捨ててでも変わっていかなければならない」とか。
何か、創作なんだから、エンターテイメントなんだから、そんなに生きる上での大事な事を込めなければいけないわけでは無いと思うし、もっと観終わった後に面白かったー!って笑顔になれる映画が良いと思うんだけどなあ
前作までを観て、それを期待して観に来ているわけだから、やっぱり裏切られた感じは否めない。これが本当のトイストーリーなら、俺は偽物のトイストーリーの方が好きだ。
ただ演習は凄い良かった。本当に凄い良かった。ボニーは大丈夫だのところも然り、特にボーとの再会のシーン。あのシーンはトイストーリーでしか描けない特別さがあって、とても好き。
次回作のハードルは物凄い高い気がします。新しい世界での「子供のため」を捨てたウッディがどう振る舞うのか凄く難しそうだし、もう一度子供のために戻ってくるにしても、「4なんだったの?」ってなってしまいそう。4で終わりだったとしたらかなり納得できない。子供部屋の外の話をおもちゃの物語の締めくくりにして欲しくない。苦い記憶のまま、次を待とうと思います。