「時代が追いついた。」龍三と七人の子分たち mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
時代が追いついた。
北野武監督は、デビュー作以来、すべての作品を映画館で観ている数少ない監督のひとりである。
「ソナチネ」に代表されるキタノ・ブルーなど映像面での特徴が語られることが多いが、北野監督の特徴は「間」にあると僕は思っている。「アウトレイジ」シリーズに顕著に出ていた。
ところが本作は新展開である。北野演出は健在でありながら、役者の芝居がそれを凌駕しているのだ。
藤竜也にコメディセンスがあるのを我々世代はよく知っている。「大追跡」や「プロハンター」を観ればいい。
その藤竜也が座長になって役者陣を引っ張った。近藤正臣しかり、中尾彬しかり。安田顕までも引っ張っている。
いい意味で普通の映画になっていたのが驚きである。
監督作なので見過ごしてしまいそうだが、藤竜也とビートたけしの共演というのはなかなか観られるものではない。
北野武がエンターテインメントを意識していたとすれば、それは少し寂しいが、単におもしろがって作ったのであれば、今後の映画作りによい影響を及ぼすはずだ。
レイトショーで満員の客席。
時代がやっと北野武に追いついた。
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