「「アウトレイジ」シリーズの次の作品として」龍三と七人の子分たち どいたまさんの映画レビュー(感想・評価)
「アウトレイジ」シリーズの次の作品として
北野監督のフィルモグラフィの潮流の中において、久しぶりに監督本人が「エンターテイメントに徹した」とコメントしている「アウトレイジ」シリーズ2作品の次に制作された映画が「アウトレイジ」以上に”観客を楽しませる”しかもコメディで!という監督本人としてもハードルの高い作品ということで「これは観ない訳にはいかない」ということで公開日に鑑賞しに行きました。
結果、「リアリティラインがどこにあるのかわからない」というのが本作に対する私の感想です。
まず、「アウトレイジ」はヤクザ映画という一種のジャンル映画のため、”怖くさえあれば”リアリティという部分はある程度意識せずに鑑賞できたのですが、
本作は「オレオレ詐欺」「食品偽装問題」など現実の社会問題を多分に含んでいる作品であるため、ある程度リアルに感じられるストーリーである必要があったと思います。
また、主人公の龍三さんが家族に対してどのような被害を与えていたのかなぜ家族から嫌われているのか、なぜ警察は最初は摘発すらしなかった敵役の犯罪集団をラストで逮捕するに至ったのか、などの説明不足や家族もいてそれぞれの日常を歩んでいたはずのおじいさんがなんのためらいもなく組を作ってしまうという不自然さなど、ノイズとなる要素が多かったとも思います。
総じて納得できない部分や理解しがたい部分が多い本作ですが、「楽しめなかった」と言えば嘘になります。
一つ一つのギャグは楽しいものも多く、映画としても特にラストの”バスvs黒塗りのカーチェイス”は最高でした。
お金を払って観に行った事は後悔していません。