イマジンのレビュー・感想・評価
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【”盲目なれど、音響効果及び嗅覚により豊かなる人生を過ごす”心意気”を描いた作品。今作はとても素敵な気品ある恋愛作品であると、私は思います。】
■視覚障害者のための診療所で働くイアンは、子供たちに白杖を使わずに歩く「反響定位」の方法を教えていた。 引きこもりがちだった女性・エヴァはイアンの授業に興味を持ち、自分も自由に動き回ろうと決意する。 だが、イアンの教えは熟達していないと、危険を伴うモノであり彼は解雇されてしまう。 ー 私事で恐縮であるが、小学生以来、おべんきょーをして来た私は、目が悪い。 中学生時代にはコンマ0.04という歴代の記録を更新したが、医療の進化は凄いモノでコンタクトを付ければ何ら問題ない。 だが、コンタクト無しでは通常生活の出来ない私は身体障碍者でもある。 但し、視力を失った訳ではなくコンタクト無しでも明るさと、ぼんやりとした造形が分かるだけでも有難いと思った作品である。ー ◆感想<Caution! 内容にやや触れています。> ・今作で、視覚障碍者の施設にやって来たイアンは信条のように、白杖を使わない。その代わりに彼は手を叩きその反響音から障害物を察したり、音のなる靴音を聞き分けて自らが歩く道を切り開いていく。 ・彼の隣の部屋には籠りっきりのエヴァがいる。イアンは彼女に鳥に餌を与える音を聞かせたりしながら、外界への興味を持たせようとする。 ・そして、街に出かけた二人。イアンは白杖を使わずに、カフェに彼女を誘う。 ー それまで、暗い表情だったエヴァが、街の音、人々の会話、行き交う車の音を聞いてドンドン活き活きとした表情になって行く。- ■けれど、イアンの「反響定位」のスキルを上手く使えない生徒が事故に遭い、彼は施設をを首になってしまう・・。 <イアンが去った後、エヴァは一人イアンから教えられた「反響定位」のスキルを駆使して、且つて彼に連れてきて貰ったカフェに来る。 そして、イアンの教え子だったセラーノから”そんなに大きな客船が来るはずがない!”と言われた客船が、音もなくゆっくりとエヴァのカフェの前を通り過ぎていく。 そんなエヴァの姿とカフェの片隅の席に座っているイアンのショット。 今作はとても素敵な恋愛作品であると、私は思います。>
聴覚を研ぎ澄ます…
TSUTAYAにてDVDラベルを見て興味が湧き、鑑賞した。 ポーランド映画ということで、ハリウッド映画やフランス映画とはまた違った雰囲気が自分にはどストライクだった。 盲目の教師と盲目の少女のラブストーリーではあるが、ヒューマンドラマ的要素が強い。 基本的にはキャストの顔や表情を撮るカメラワークで、彼らの聴く音や彼らの会話から鑑賞者自身も彼らの周囲にあるものを想像するようにできている。視覚障害者をテーマにこれほどまで音に執着した映画は今まで無かった気がする。それにより、鑑賞者が映画にのめり込みやすい構成になっている。 どこかピュアで繊細でさりげないラブストーリーが心にとても染みる。キャストの演技もとても良かった。 ここ最近見た映画では一番良かった。
リスボン
リスボン舞台のポーランド映画。坂の多い街。白い壁にスプレーのタグ。ゲリンのストラスブールでもゲリン自身のタグが写っていたけど、スペインとかポルトガルの歴史地区のタグは格別。トラムも良い感じ。ラストのトラム使いが憎い。
「イイ話」にして欲しい訳じゃ無いのだが…
「手放しでは褒めにくい…」そんな一本。 余韻も含めて、作品自体は良作だと思える作りだったんだけど… 「エコーロケーション」 知りたかった今後の新たな可能性については、丸投げの印象。 「なにをしたかったの?」という思いが強く、ラストが噛み切れ無い歯痒さがのこった。 これからの可能性の提示を期待して、逆にに「?」が残った作品。 意地悪な作品は好物だけれど、この質の意地悪はちょっとな…
ラストの余韻
ラストシーンでエヴァがゆっくりと歩み寄ろうとする姿を、路面電車の車窓から眺めつつ遠ざかる画は、それから先の展開を頭の中のスクリーンにいくつも映し出してくれる。
その余韻はこの上ないものだった。
これほどまでのピュアな感覚を呼び覚ます映画に出会えたことが嬉しかった。
「耳をすます」とはこの感覚なのだ!
靴音
「目が見えない」とは? 「音が聞こえない」とは? 「歩くことができない」とは? 普段こんなことを考えることは滅多にありませんが、この作品は「目が見えない」日常とそれに伴う心のあり方を擬似体験することができます。 視覚を制限されても、自尊心を投げ出さずに自己を貫いて生きる姿勢は、身体の不自由以上に精神の自由を感じます。 そして、周囲からの善意であり悪意でもある「危ないから」という圧力。主人公がそんなことにも動じず、武器として身につけた「反響定位」は、私達に生きていく上でのヒントを与えてくれます。 ラストは、目が見える者の「盲目性」を突かれたようで、はっと我に返ります。見えていない、感じていないのは、むしろ私達なんだと。 美しいリスボンの街に靴音がもたらす、自由と自立と自尊心。そして、観た後に感じた春風と開放感。 素晴らしい作品でした。
視覚障がい者の描写がよく描けていたと思う。 ハッキリいうと、キャッ...
視覚障がい者の描写がよく描けていたと思う。
ハッキリいうと、キャッチコピーになっているほど恋愛の話ではない。
最後もうやむやな感じで終わる。
鐘が反響する船、坂道のバーが持つ意味をもっと大きく描いていたなら最高のラストになっていたと思う。
切なくてでもじんわりきます。
あらすじを読み、興味を持って観に行きました。 仕事でも恋愛でもなかなか上手く気持ちが伝わらない主人公に切なさを感じますがほんわかする場面もあり、最後にはじんわり心が温かくなります。 少し垣間見るリスボンの街並みや青い空が開放的で気持ち良いです。優しい気持ちになりたい方に是非オススメします。
キーワードは「自由」。
我々の生きるリアルな世界は、決して綺麗事ばかりではないし、意地の悪い奴、ディスアビリティはパターナリスティックに保護してしかるべき、といった感覚の専制もあるけれど。 目が見えない人々にも、希求したいモノがあって。それはつまるところ'自由'なんだろうな。どんな境遇であれ、人々は自由を求め、そのために闘い、少しずつ勝ちとっていくんだな。 車窓から映し出される、ラストの描写がとても美しくて好きです。
オススメです
偶然、時間ができて飛び込んだ映画でしたが、いい映画に出会えました。 リスボンの視覚障害者施設にやってきた、イアンが反響定位というテクニックを使って白い杖を使わずに歩くことを子供たちに教え、外の世界に出ることへの素晴らしさを教え、子供たちが前向きになってゆくところに感動を覚えます。 映画も音をとてもクリアにしており、目をつぶってみると、演者の声や音、周りの音などが不思議に鮮明に感じられました。(笑) しっとりと感動するいい映画です。 最後に誰もが、反響定位ができたらなぁと思ってしまいました。σ(^_^;)
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