劇場公開日 2015年4月25日

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「【”盲目なれど、音響効果及び嗅覚により豊かなる人生を過ごす”心意気”を描いた作品。今作はとても素敵な気品ある恋愛作品であると、私は思います。】」イマジン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”盲目なれど、音響効果及び嗅覚により豊かなる人生を過ごす”心意気”を描いた作品。今作はとても素敵な気品ある恋愛作品であると、私は思います。】

2023年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

■視覚障害者のための診療所で働くイアンは、子供たちに白杖を使わずに歩く「反響定位」の方法を教えていた。
 引きこもりがちだった女性・エヴァはイアンの授業に興味を持ち、自分も自由に動き回ろうと決意する。
 だが、イアンの教えは熟達していないと、危険を伴うモノであり彼は解雇されてしまう。

ー 私事で恐縮であるが、小学生以来、おべんきょーをして来た私は、目が悪い。
  中学生時代にはコンマ0.04という歴代の記録を更新したが、医療の進化は凄いモノでコンタクトを付ければ何ら問題ない。
  だが、コンタクト無しでは通常生活の出来ない私は身体障碍者でもある。
  但し、視力を失った訳ではなくコンタクト無しでも明るさと、ぼんやりとした造形が分かるだけでも有難いと思った作品である。ー

◆感想<Caution!  内容にやや触れています。>

・今作で、視覚障碍者の施設にやって来たイアンは信条のように、白杖を使わない。その代わりに彼は手を叩きその反響音から障害物を察したり、音のなる靴音を聞き分けて自らが歩く道を切り開いていく。

・彼の隣の部屋には籠りっきりのエヴァがいる。イアンは彼女に鳥に餌を与える音を聞かせたりしながら、外界への興味を持たせようとする。

・そして、街に出かけた二人。イアンは白杖を使わずに、カフェに彼女を誘う。
ー それまで、暗い表情だったエヴァが、街の音、人々の会話、行き交う車の音を聞いてドンドン活き活きとした表情になって行く。-

■けれど、イアンの「反響定位」のスキルを上手く使えない生徒が事故に遭い、彼は施設をを首になってしまう・・。

<イアンが去った後、エヴァは一人イアンから教えられた「反響定位」のスキルを駆使して、且つて彼に連れてきて貰ったカフェに来る。
 そして、イアンの教え子だったセラーノから”そんなに大きな客船が来るはずがない!”と言われた客船が、音もなくゆっくりとエヴァのカフェの前を通り過ぎていく。
 そんなエヴァの姿とカフェの片隅の席に座っているイアンのショット。
 今作はとても素敵な恋愛作品であると、私は思います。>

NOBU