「最高の青春映画は、最高のアイドル映画でした。」幕が上がる 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
最高の青春映画は、最高のアイドル映画でした。
ももクロのファンどころかアイドルへの興味もそれほどはなく、本広監督ということもあって、どうせいつものしょぼいアイドル映画だろうと高をくくり、全く見る気はなかったが、前評判に釣られて見てきた。
結論から言うと、早速今年1位が出たのではないかというほど、すごく良い映画だった。
ひねくれた大人の心にとっては、眩しいほどの紛れもない素晴らしい青春映画で、見終わったあとは、この映画のファンに、そしてももクロのファンのような気持ちになった。
某・シネマハスラーが日頃より言っている「アイドルを輝かせるためのアイドル映画」としての出来としてはこれ以上ないくらい完璧なものになっていたと思う。ももクロ一人ひとりがとても、素敵な役を演じているし、徐々に成長していく過程がももクロの演技力の成長そのものとシンクロしていて、一緒に成長を見守っているかのような錯覚に陥らせてくれる作品でした。
それにもまして、新人先生役の黒木華さんの肖像画から始まる演技力の高さは、この映画全体を牽引している素晴らしい働きでした。あの先生の映画における存在感と説得力、あの先生になら青春すべてをかけてもついていけると思わせるパワフル感は、この映画としてなくてはならない存在であり、この人がいたからこその、感動でもあるのだと思う。
こうした数々の要素が相乗効果として発揮され、最後に「幕が上がる」のタイトルまで、テンションが下がりきらず最後まで見ることができた。見終わったあとも、余韻を一日中味わえたので心地よかった。
とはいえ、うどん脳とか、松崎しげるとか、変な小ボケみたいなものをちょいちょい入れてくるあたりの変なセンスはどうにかできなかったものか。監督のセンスか。そうだとすれば、この映画は脚本家と演出家、そして出演者の方々が、監督の欠点なり不足分を足してあまりある力を与えられたことによって素晴らしい映画になった、ということなのかもしれない、と思ってしまう。