「残念すぎた。」杉原千畝 スギハラチウネ お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
残念すぎた。
予告編の時点では、非常に期待していました。
ですから、公開初日に観に行ったわけです。
正直申し上げて、失望しました。
失敗した伝記映画に共通する問題点が、この映画にもありありと存在しています。
主人公はこのように行動した、と、業績を書き連ねているだけなのです。
私は知りたかった。なぜ杉原千畝がビザを書く気になったのか、という一点を。
しかし、その答えはありません。
周囲をかわいそうなユダヤ人に囲まれて……というのであれば、そういうかわいそうなシチュエーションで「ない」局面は、あの時代、むしろ希有なわけです。
当時、何千人もの日本人が同じような状況に囲まれていたはずなのですから。
なぜユダヤ人を、なぜ救うために、なぜ禁令に背いて、なぜ杉原ただ一人だけがビザを書いたのか。
この映画。
杉原氏の業績を顕彰したいのであれば、その目的は達しています。
しかし杉原氏の心。なぜ止むに止まれずに行動したのかを知りたい人には、まったく不向きです。
ドラマとして成立していないのです。
残念だなあ。
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