ラブストーリーズ コナーの涙のレビュー・感想・評価
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ラブストーリーではないよ
このレビューを書く前に、本作と対になるエリナーの愛情の方も観た。これだけでも面白かったが二本が合わさって一本の作品になっていたら、もしかしたらなかなかの傑作だったかもしれないなと思ったけど、それだと本作のメインテーマである男女の想いの違いを表現できなかっただろうし、なんとももどかしいものだね。
両方を観終わって、コナーが悪い、エリナーが悪いと言い合えたのだから監督の意図通りだし、これはこれで良かったのだと思う。
なんとなく自分はコナーに肩入れしてしまうのもあって、ラブストーリーズなどというトンチンカンな邦題でもせめて副題がコナーの愛情、エリナーの涙だったらもう少ししっくりきたかもしれないなと思うけど、そんな事言ったら妻に「あ!?ふざけんなよ!」と返される気がする。多分そう。コナーの方が愛情深かったように思うんだけどねえ。
やっぱり監督の思惑通りの反応になっちゃうんだよな。男と女は考えてる事がちょっとズレてるんだ。面白いよね。
セリフが少なく、音楽もほとんど使われていないのですごく静か。物語も表面上はあまり変化しないので、人によってはとても退屈に感じるかもしれない。
そもそも、悪い邦題のせいで恋愛ものだと勘違いしてしまい、何だか面白くないと思っても仕方がないような気もする。
一応、恋愛的な要素が含まれていないこともないが、本当は幼い子どもを亡くした若い夫婦の、それぞれの受け止め方の違いの物語で、明らかにヒューマンドラマのカテゴリなのだ。
子どもが亡くなった事がわかるのが始まって少したったあとだし、その事をコナーもエリナーも終盤に一回話すだけで全く口にすることがないので、普通に気付かずに観終えてしまう可能性すらあると思うが、子どもを亡くした親の悲しみを理解できるならば、興味深く楽しめると思う。
ストーリーの面白かったポイントは、エリナーの愛情にも似たようなシーンがあったけれど、比喩的な息子の弔い場面のあとコナーの心境の変化があり事態が収束していくのがあるね。
父親との少ない会話の中で心の傷が修復していくのだけれど、直接的な描写はないし、その傷が本当に癒えることもない。それが唯一変化したなと思えるシーンで物語の転換点になった。
結局、癒えない傷にはどのように向き合うか、どのように付き合っていくかが大事なのだ。
それはエリナーに対する気持ちにも同じことがいえると思うが、こればっかりはエリナー側の気持ちの問題もあるからね。しかも答えはエリナーの愛情でって所が憎らしいよね。
もし、本作とエリナーの愛情の両方を観るつもりなら、こちらを先に観た方がいいと思う。物語のスタートがこちらにあるし、エンディングはエリナーの愛情の方にあるので。
だだ、エリナーの愛情の方が説明シーンが多く本当のストーリーを理解しやすいので、よくわかってから観たい人は逆がいいかもしれない。
場合によっては、同じ場面なのにコナーの涙とエリナーの愛情ではセリフが違ったので、それぞれ感情移入しやすいように作られている可能性が高いから、男性はエリナーから女性はコナーから観たら・・・って、結局どっちが先でもいいのか。
愛の彷徨
ある夫婦の別れから再生を、男女それぞれの視点から描いた大人のラブストーリー。
本作は、ジェームズ・マカヴォイ演じるコナーの物語。
何ともユニークな作り!
男と女。同じ人生を歩んでいながらも、見方・考え方・価値観は全く別。
もしこちらがこう思ってても、同じ時あちらは…。
知りたいような、知りたくないような…。
別れてもエリナーの事が忘れられないコナー。
空虚な日々。
そんなある日、エリナーと再会し…。
ジェームズ・マカヴォイが好演。
心の機微が繊細に描かれている。
…が、斬新なのはその男女別視点だけであって、一本の作品としては平凡。
切なくじわじわ、淡々と描かれているものの、どうしても展開にメリハリが無さ過ぎ。
エリナー編も見れば、伏線や巧みな構成が活きてくるのかもしれないが…。
二本合わせて一本の作品。
これ一本だけじやあ、未練タラタラの女々しい男の物語。
ぱっとしない
先に観た!
面白い試み。
ラストの小さな希望の可能性に、少しだけ救われる一本。
1つの男女関係の終了を男性女性それぞれの視点で描いた作品の、男性サイド。
何気ない社会の一幕の、良くある男女の悶着を、ジャッジすることなくあくまで淡々と描いたのと。
マカヴォイ氏の自然な演技で、より生々しかったのが良かった。
げに恐ろしきは「女」かな…涙
個人的な感想として。
「男は幼稚」と世間ではよく言われるが…
社会的に本当に幼稚なのは、女だよなぁ…
なんて改めて思い知ったり。
若干淡々とし過ぎて、あまりに自然で。
映画的には「ブルーバレンタイン」の方が評価に値するのだろうけど。
個人的にも胸に痛く、「あるある感」満載で卑近なこの作品も評価したい。(現時点ではエリナー編鑑賞前)
心に傷ある野郎どもと一緒に観たい作品。
小さな再生
男女それぞれの視点で1本づつという面白い試みの映画。
まだ男性側しか見ていませんが
これ一本でもちゃんと楽しめます。
最近ストーカーだのアル中だの変な役ばかりの
マカボイさんのラブストーリーということで
久々にカッコ良いマカボイさんが見れる!
とウキウキして観に行ったら開始約30分で
ストーカー化していて笑いました。
だいぶまっとうな役ではあるんだけれども。
描かれているのは、
あまりにも大きな喪失と
ほんの1%にも満たない小さな再生。
生きてりゃ辛いこともそりゃーたくさんありますし
どん底にいる時はもがいてるだけで
前進してるのか後退してるのか
ワケ解らん状態でたいへんしんどいワケですが
そのもがきが小さな再生へと繋がる過程が
ちゃんと描かれていて、
その視点の温かさにじーんと来ました。
説明的なセリフがほとんど無く
ポツポツと主人公たちの状況が解っていく映画の造りは
上品で優しいです。
特に不器用なお父さんとのやり取りが良かったです。
若い女性をとっかえひっかえしている男性に
初めて好感を持ちましたw
流れ星の話はいつか誰かが落ち込んでる時に
話せたら良いなあ。。。
いやでもちょっと難易度高いな。。。
話せたらカッコ良いけど
でもカッコ良いとか思ってる時点で
やっぱ私には無理だなw
邦題の「ラブストーリーズ」
だとどうしても男女のそれを連想しちゃいますが
男女の愛もあるけどどっちかというと
その延長の夫婦愛、
からの家族愛のお話。
映画的な造りにも感心できますし
地味だけど温かくて非常に良い映画でした。
いやあ、映画って本当にいいものですね。
新感覚
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