ヴィンセントが教えてくれたことのレビュー・感想・評価
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聖人かあ?
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貧乏でろくでもない暮らしをしてる爺さんがいた。
隣家に母子家庭が引っ越して来て、少年のシッターをすることになる。
爺さんは口が悪いし人嫌いで周囲から嫌われてた。
だがボケて自分を夫と認識できなくなった妻のことは愛してた。
で長年、施設にいる妻の衣類を洗濯し続けた。
やがて子供を競馬場やバーに連れてったのがバレ、シッターを首になる。
でも少年のは爺の良さをちゃんと見抜いてた。
保護者も参加して生徒が個々に発表する「聖人とは誰か?」のイベント。
少年はその場所でこの爺を聖人に選んだのだった。
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少年は母子家庭で、母は教育費のために仕事に追われて時間がない。
しかもあれこれ口うるさいから、少年が爺になつくのは分かる。
爺もろくでなしだが悪人ではないし、少年との交流は心温まるものがある。
でも、聖人じゃないわ。うん、どう考えても違うw
少年が何も分かってないだけにしか思えん。そこは同調できんかったわ。
せめて「大好きな人」ってことなら、スジは通るけど。
でも爺が不器用過ぎて、仲良しって感じでもなかったし、それも微妙か。
ヴィンセント・ザ・セイント
なんとなく展開が見えてたから、泣くわけないと思っていたのに、泣いてしまったじゃないか!
ヴィンセントの破天荒さ、ひどいものである。
自分ならとても預ける気にはなれない。近づけたくもない。
しかし!
緊急事態発生。仕方ない。鍵取られて家に入れないし。電話もかけられないんだから。
オリバーはひ弱だけど利発な子。
善も悪もわかっている。
ヴィンセントがいかにダメダメかも。
なんせ、やることなすことひでぇオヤジだから。
文句を言いながらも(金欲しさに)面倒を見て…って自分の都合で連れ回してる、とも言うが。(笑)
最初はあまりのひどさに口を開けて観ていた自分だったが、徐々にヴィンセントが好きになっていった。
不思議だ。
ベタベタした付き合いはせず、マンツーマン、対等に会話するところも良かった。
「みんなの中の聖人」のためにヴィンセントの生い立ちから調べて、聖人も同じ人間、と言い切るオリバーに拍手!である。
良いところ、悪いところ、ちゃんとわきまえている。
きれいごとにしていないところが良かった。
オリバー役のジェイデンは、最近観た「ジェイコブを守るために」でも光っていた。
ヴィンセントに伝えたいこと
お酒に煙草に競馬好き。
借金まみれの自宅で愛猫と一人暮らし。
嘘に罵り言葉で、周囲からの嫌われ者。
偏屈でひねくれ者の初老の男、ヴィンセント。
絶対にこんな人とご近所さんになりたくない!
…ところが、ご近所さんになってしまった引っ越してきた母子。マギーとオリヴァー。
早速揉め事が起きて、第一印象は最悪。
見るからにひ弱そうなオリヴァーくん。
案の定学校でいじめに遭い、定番の体操着帰宅。私物の中に携帯や財布などが入っており、母親に連絡する術が無い。
そこで、恐る恐るお隣さんに助け船。電話を貸して貰う。
ヴィンセントは電話を貸す。嫌々そうに。
マギーは病院で働くシングルマザー。今すぐ仕事から帰れない。そこで、お隣さんの家で預かって貰う事に。
ヴィンセントは預かる。嫌々そうに。
マギーが迎えに来て驚き! 面倒見料や飯を食わせたからその料金を支払わせられる。
ま、シッター料金と思えば…。
その日から、マギーの仕事が終わるまで、放課後のオリヴァーの面倒を見て貰う事になる。
“シッター料金”は貰うが…、ヴィンセントは嫌々そうに。
ヴィンセントの“シッター”はテキトー。
一応車で学校まで迎えに行き、宿題やらせ、飯を食べさせるが、後はシッターらしい事はしない。
が、ヴィンセント並みに気難しい愛猫がオリヴァーに懐き、それは彼も認める。
ヴィンセントの“シッター”は破天荒。
いじめられるオリヴァーに喧嘩の仕方を伝授する。
競馬場やバーに連れて行く。
ばったり出くわしたヴィンセントと親しい“夜の女”。ダカ。
これも社会勉強の一環…?
ある日ヴィンセントは、毎週欠かさず通っているある場所へオリヴァーを連れて行く。
偏屈者だと思っていたヴィンセントの意外な一面を知る。
皆が言うほど、悪い人じゃない。
学校で再びいじめに遭ったオリヴァー。が、ヴィンセントから伝授された喧嘩の仕方で、反撃!
それで相手を怪我させてしまう…。
元夫からオリヴァーの親権を巡って裁判を起こされるマギー。
学校での喧嘩や、競馬場、バー、“夜の女”…ヴィンセント絡みの事を徹底的に突つかれ、結果、共同親権に。
ヴィンセントへ怒り爆発のマギー。
ヴィンセントも嫌みで返す。
ヴィンセントの“シッター”はこれで終わり。
どうしてもお金が必要になったヴィンセント。オリヴァーの為に開いた口座から勝手に微々たるお金を引き出し、一発逆転の競馬!…が、結果は言うまでもない。
さらに、競馬の仲介高利貸しから脅迫催促。
そんな時、ヴィンセントは脳卒中で倒れてしまう…。
退院してきた彼を、悲劇が襲う…。
ユーモラスだけど、クセがあってひねくれ者。もうこの手の役はビル・マーレイの十八番。でも単にそれだけじゃなく、抜群の名演、味わい深さ。
そんなヴィンセントと度々対するマギー。演じるはメリッサ・マッカーシー。名コメディアンvs当代きってのコメディエンヌ!…と思いきや、メリッサは意外にも抑えた演技を見せる。
寧ろ、いいアクセントになっているのはナオミ・ワッツ。ヴィンセントが唯一心を開く妊娠中のロシア人ストリッパーの“夜の女”で、あっけらかんとした好演。
そして本作のもう一人の主人公、オリヴァー役のジャスティン・リーバハー。何と可愛らしい純粋でいい子! でもこの後、怖~い怖~い『IT/イット』の世界へ…。
ヴィンセントの愛猫も好演。
先に『ドリーム』を見たが、監督のセオドア・メルフィは本作でデビュー。ヒューマン・コメディやハートフル・ドラマの名手になりそう。作品は監督の家族や親族の実体験が基。笑えて、泣けて、しみじみ心に染み入るのはそれ故。
脳卒中で倒れたヴィンセントを見つけたのはオリヴァー。
危ない所で命は助かる。
マギーの働く病院に入院し、徐々に回復。つまり、いつものヴィンセントに。リハビリも。オリヴァーやダカもちょくちょく見舞いに。
晴れて退院。退院した彼を襲った悲劇とは…。
妻サンディの死。
ヴィンセントには妻が居たのだ。施設に入院している。
そして妻の存在が、ヴィンセントがお金にがめつい理由でもある…。
妻サンディは重度のアルツハイマー。もうヴィンセントの顔すら分からない。
それでもヴィンセントは8年間も毎週欠かさず通い続け、妻の衣類を洗濯していた。
以前オリヴァーが競馬場やバー以外で連れて行かれたある場所とは、ここ。
そこで知ったヴィンセントの意外な一面…いや、本当の素顔。愛妻家。
施設への支払いが滞納し、退去が命じられ、どうしてもお金が必要だったのだ。
そんな時…
ヴィンセントが脳卒中で倒れ入院している間、妻が…。
妻の遺品を棄てる。
もうシッターが無理なヴィンセントからオリヴァーに最後に一言。
「俺みたいにはなるな」
偏屈でひねくれ者で嫌われ者。さらに愛妻を亡くし、孤独に…。
このまま自ら命を…?
バカ言え! 彼はヴィンセント。
ダカと共に、新しい人生を歩み出そうとする。
オリヴァーのクラスで、課題。
“私の周りにいる聖人”
でもまず、聖人って…?
偉い人。
立派な人。
尊敬出来る人。
犠牲を厭わない。
クラスの皆は歴史上の偉人や両親を紹介する。
超意外な人選。オリヴァーが紹介した“聖人”とは…。
“聖人”の事を馴染みの人たちから話を聞く。
嫌われ者なんて言われてるけど、実は案外皆、彼の事が好き。とてもいい人、と言う人も。
若い頃はベトナム戦争へ。勲章を貰ったほどの英雄。
サンディと出会った。幸せな日々が続いたが、愛妻をアルツハイマーが襲い、もう覚えていなくても献身的に尽くした。死別するまで一途に愛した。
もう一つのトピックスは、一人の少年の面倒を見てくれた事。
色々教えてくれた。
喧嘩の仕方。聖人は闘っている。
競馬にバー、“夜の女”との付き合い方。これらはちゃんと二十歳になってから!
最初は嫌々だった。でも、
勇気、犠牲、慈悲、人間性こそ、聖人の証し。
今再び、多くの人に祝福されながら、愛されながら。
皆さん、ヴィンセント・マッケンナをご紹介します!
ヴィンセントが教えてくれたこと
ヴィンセント嫌な奴さが初めは際立ってはいるが、
オリバーと仲良くなるにつれて割と良い奴に見えてきた。
ウィンセント自体も初めから嫌な奴だった訳ではなく、色んな訳があったのが分かり、それを周りも何だかんだで温く見守ってたりして嬉しかった。
最後のオリバーのスピーチで一気に流れを持っていった感じがした。
ああいうおじいちゃんに周りに1人いたら楽しいだろなぁと少しだけ思った。
感動はあるのかわからない
この映画にはなんか特別な大きな感動とかはないかな。
ヴィンセントはただのダメなオヤジだし。
ただ、なんというか普通のオヤジの人生ってこんなもんなのかな?
劇的な物語や展開、大きな感動がなくても人はそうやって生きていくのだろう。
そんな話だって映画にしてもいいのかもしれない。
ただそこのはほんのちょっと、ときどき良いことしたり、悪いことしたり
なんだかんだとヴィンセントを気にかけずにはいられない人がいたってことは
それが普通の人なのかなと。
ヴィンセントが教えてくれたことという邦題はどうなのか?
St.vincentというのが元らしいが、ヴィンセントは聖人とは程遠い人間ではあるが
あえてヴィンセントみたいな人間でも人は自己犠牲にすることもある小さな聖人だと
いうのがテーマだと思うのでちょっと邦題はおかしいと思う。
邦題がおかしいと内容とタイトルがあってないじゃん!とか文句言いたくなっちゃうので
配給会社はもうちょっと考えて欲しいな。
原題は「聖ヴィンセント」
身近な聖人を探すこと。それが、学校の宿題。
聖人とは、他人に尽くし、徳を積んだ人のこと。
聖人は、別に奇跡を起こして、水の上を歩かなくてもいい。
あなたの身の回りにいる、聖人は誰か。
ある日、ヴィンセントが子守をする少年に、そういう宿題が出るのだが、それはあくまで、映画の背景に過ぎない。
ヴィンセントという老人のダメな生活が、映画の主軸。
確かにダメな生活なのだが、言葉の端々、病後や宿題のインタビューで明白になるように、
いつも常に、彼は、人に嫌われていない。
寒山拾得図のように、文殊菩薩や普賢菩薩が、小汚い格好をして、町の片隅で暮らしているという思想がある。
誠実に暮らしていれば、心が弱ってしまい、馬鹿なことをしてしまったり、虚勢を張っていても、
人が助けてくれて、人が愛してくれる。
そういう、フーテンの寅さんは推奨されないが存在は許される、くらいの社会の緊張度合が、きっと誰しもが生きられるセーフティネットのある社会。
渡る世間に鬼はない。
不合理な人生を、賛歌する映画。
見ている人は、いつも、ヴィンセントの善さを見ていたという後半も温かい。
富裕層じゃないアメリカの話を描くところも良かったと思う。
オリバーがかわいい。 昔は優秀で根はいい人だったとしても聖人とまで...
オリバーがかわいい。
昔は優秀で根はいい人だったとしても聖人とまで言えるかは疑問。
オリバーがそこまで慕う程の何かもう一押し説得力のあるエピソードが欲しかった。
終盤のプレゼンありきの薄い映画!!
終盤のプレゼンありきの映画で、途中があまりにも薄いと思います。やりたい事は分かりますが、子供が解説したようには感じませんでした。喧嘩、競馬、バー、売春婦のどれもが申し訳程度の描写で、特に破天荒な感じではなく、子供の生き方に影響が出る程度の刺激も感じませんでした。何か子供が勝手に、偏屈爺さんを良い方に捉えているだけに感じました。
ゲスの極みオヤジ
一言で言うと「働けよヴィンセント!」なのですが
そこはそれ。ビル・マーレイが演じると“そうゆう男だから仕方ない”と、こちら側が納得させられてしまうから凄い。
存在感ですかね。
タイトルからしてお察しの通り、不良オッサンといじめられっ子の交流物語ではありますが
子供はスマートで口が立つ。オッサンは後悔はするけど、改心はしない。
想像とはちょっと違う切り口で、甘さ控え目です(笑)
ラストの聖人の定義も良かったですし、エンドロールのマイペース感もたまらなく好き(^。^)
ジイさんと少年の友情
ベビーシッター代目当てに、
隣に越してきた少年オリバーの面倒をみることになった、ろくでもないジイさん、ヴィンセント。
酒に溺れ、喧嘩をふっかけ、本当にろくでもない。
でもなぜかウマが合うオリバーを競馬に連れて行って一発大当たりしたり、バーに連れて行って「自分で注文しろ!」と檄を飛ばしたり。
ヴィンセントなりに、いろいろ教える。
しかしやっぱりヴィンセントはろくでもなく、おまけについてないらしく、借金取りに殺されかけるわ、脳梗塞で倒れるわ、踏んだり蹴ったり。
そしてそのゴタゴタの間に、生きがいとも言える、最愛の妻を亡くしてしまう。
そんなヴィンセントの生き様をずっと見続けたオリバーは、彼こそが英雄だと、学校のスピーチコンテストで彼を讃える。
彼らは「友達」以上の深い絆で結ばれていた…というストーリー。
ヴィンセントのろくでもなし感、貰えるものは貰っとけ、悪いのは世間だ。
時間が経つにつれて、ただの横暴なジイさんに見えなくなってくる。
歳を重ねているぶん、たくさんあったんだなぁと。
隣にシングルマザーの親子が引っ越してくるだけで、こんなに人生が変わるだなんて、ヴィンセントも思ってなかっただろうに。
しっかり笑える、心温まる話でした。
ポルシェじゃなくBMW 。ラストシーンは泣けます!
冒頭のこのジョークって、
つまりポーチ(ベランダ)にペンキ塗ってくれ、て頼んだのに、ポルシェに聞き間違えられ、しかもBMに塗られてた、てアメリカンジョークなのかな?アメリカ人ならははは、なとこ?
まず色んな人種が出てくるなと感じました!
黒人白人アジア人。
音楽の使い方とかセリフのやりとりとかいかにもアメリカンな感じで、あーこの手の映画あるなて思ってたけど
クライマックスシーンはラストシーン!
いや、、オリバーいい子すぎ。さすがに実年齢は10歳で幼いけど、大どんでん返し。
アメリカの私立の小学校はやることもでかい。ホール使ってプロジェクター使って街の人呼んでの発表会!
彼はまぎれもなく聖人です。
って涙。
ベトナム戦争は架空の話じゃなく、本当の武勇伝。でもそこから、奥さんと出会ってからの人生も気になった、ろくな人生じゃないって連呼してたけど。
そこ加えてくれたら更に良かった。
結局「いい人」で片付けるのか?
この映画を見ながら、武田鉄矢氏のお母さん、武田イクさんのエピソードを思い出していた。
武田鉄矢氏曰く「うちの母ちゃんは、骨がきしむほど働いてた」という。貧しい生活を笑い飛ばしながら、たくましく生きた、昭和の母の姿がそこにはあった。「母に捧げるバラード」のモデルとなった、母イクさんには、講演会の依頼が次々と舞い込んだ。当初は著名な教育評論家の前座だった。しかし、その型破りな教育論は話題を呼び、あまりの人気ぶりに、後には評論家の方が前座を務めることになったそうだ。イクさんはいう。
「善悪はわからんとです。その時は悪い行いかもしれんけど、後で良いことになる時があるとですよ」
更には、我が家には教育方針がない、とまで言い切る。武田鉄矢氏の父親は相当な大酒飲みであったそうだ。酒が入ると、当然気が大きくなる。給料日ぐらいは「ええカッコ」もしてみたい。給料全部を友人たちに大盤振る舞いしてしまう。酔っ払って家に帰り着き、カラの給料袋を前に、イク母ちゃんは激怒する。武田家では激しい夫婦喧嘩が日常茶飯事であったという。そういう親の姿を、我が子たちに、ナマで晒して見せたイク母さん。
「親が間違った生き方をしてみせたら、子供はそれを見て、ああ、親の真似をしなければ良いんだとわかる。親が生きた教科書ですばい」
前置きが長くなったが、本作「ヴィンセントが教えてくれたこと」はまさに、不良親父のヴィンセント自身が生きた教科書そのものだ。
ある日、ヴィンセントの隣に母子家庭が引っ越してくる。子供は12歳の少年オリバーだ。この子は新たに地域の小学校に転入することになる。ちびっこで新入りの転校生オリバーは、格好のイジメ対象だ。だが、後にオリバーには心強いボディーガードが付くことになる。隣に住む独居老人ヴィンセントだ。
ヴィンセントは、酒と女とギャンブル漬けの毎日。ある日、銀行の窓口で宣言される。「残高はマイナスです」
口座を解約するにも、銀行に金を返さねばならない。隣に越してきたシングルマザーのマギーは病院の技師。毎日のように帰りは遅い。12歳のオリバーを一人にしてはおけない。
マギーの提案もあり、ヴィンセントはオリバーの世話を「ビジネス」として請け負うことになった。
まあ、そこは不良じじいである。いじめられっ子オリバーに、喧嘩の仕方を教えたり、競馬で大穴を当てたり、子供相手に世の中をたくましく生きる術を体で教え込んで行く、というのが本作の内容である。
予告編で見る限り、かなりぶっ飛んだオヤジの話かな、と思っていたら、これが想像以上にマイルドな仕上がり。正直、やや拍子抜けした。
ワルでダーティーといえば、ちょうど公開中の「テッド2」の方が「ワル度」や「ダーティさ」のアルコール度数は、はるかに高い。放送禁止用語や「F⚫CK」言葉も連発する。
さて、頑固じじいが、少年に世渡りのたくましさを教え込んで行く、というストーリーなら、格好の秀作がある。クリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」である。
本作は残念ながら「グラン・トリノ」の味わい深さには追いついていない。
本作において、拍子抜けするのは、ヴィンセントがワルぶるのには、原因があり、しかもそれが明快でありすぎる。根は善人なのだ、というところに落ち着いてしまうのである。
なぁ~んだ、人間って案外単純なのね、という「あっさり感」にがっかりしてしまうのである。
ヴィンセントがヴェトナム戦争に従軍したこと。認知症の奥さんを、できる限り良い施設に入れて、余生を送らせようとしたこと。
これらはラストシーン、オリバーの学校での学習発表会「僕の聖人」というテーマで披露される。
なんと、ヴィンセントは聖人に祭り上げられるのだ。
もちろんこの映画には、それゆえの爽やかさと、後味の良さがある。
ただ、僕の主観では、ヴィンセントという人物像は、まだまだ、さらなる深みや、人物の陰影を描き出せたのではないか?と思った。本作には人物像の謎がなさすぎるのである。
例えば、ジャン・レノ主演の「LEON」という格好の例がある。
いたいけな少女の願いを聞き入れた殺し屋レオン。
彼の人物像は謎だらけだ。彼がなぜ殺し屋になったのか、監督はあえて情報を観客に提示していない。そのためより謎が増している。冷酷で有能な殺し屋でありながら、毎日ミルクを二本買い求め、観葉植物をこよなく愛する、物静かな独り者。その人物像をジャン・レノという俳優は、多面体でできた鏡のように、様々な角度から人物を映し出して見せてくれる。
ビル・マーレイという、いろんな演技の「引き出し」を持った、キャリアのある俳優を使うのであれば、更なる人物像の深掘りをやっても良かったのでは……、と、ちょっと残念に思うのである。
狙い通りに…
そりゃ誰だって良いところゼロな訳ないだろってくらいのクソオヤジ。そのクソオヤジが持っている微かな良心が愛に溢れているっていうわかりやすい話。
絶賛するレベルじゃないけど、なかなかの良作。
って言いながら製作の意図通りキッチリ涙が出ましたけど何か?www
作品とは関係ないが劇場鑑賞時両サイドがスノッブで残念だった。
マーレーはいいね
変にウェットじゃないところが良かった。
ビル・マーレーは役を自分のものに出来る人だな。何というか、どんな役をやってもビル・マーレーしか出来ないって思わせる。
物語も妙な御都合主義なところがなくていい。奥さんが死んだり、共同親権を取られたり不幸な事ばかり。金持ちになるわけでも、マーレーが回心するわけでもないのに、生きる希望を持てるところがいいね。
ヴィンセントが教えてくれたこと
前半は、ぶっきらぼうで、一見優しさや気遣いには程遠い老人ヴィンセントだった。
しかし、後半から今に至っているまでの背景や、実は内に秘めた優しさを垣間見ることになる。
痴呆症で夫を認識できない最愛の妻のケアを8年間欠かさず続けていたり、面倒くさがっても娼婦やオリバーの世話は投げ出さずにきちんと取り組むところ等、人情味に溢れ出た部分に触れる。
人は、一概に外見や表面上の態度だけではその人を語ることはできない。
娼婦のナオミワッツだって、口は悪いけどヴィンセントの世話や看病等、後半は尽くしている。
愛を持って人に接するとそれはきちんと相手に伝わるものだというシンプルだけどとても大事なメッセージを感じることができた。
全体的に、本当に悪い人が一人もいなかったことが観ていてとても晴れやかな気持ちになる映画だった。
誰かに紹介したくなる作品。
オリバーが助けてくれたこと。
クソ親父というより飄々としたダメ親父が似合うB・マーレイ。
どこか掴みどころのない態度が絶妙でこれは昔から変わらない。
今作では彼の持ち味を生かしつつ、少年との心温まる?物語に
仕上げようとしているが…まぁそんな一筋縄で治めるもんか、
と云わんばかりに成長しない人間(悲しいヒト)を巧みに演じる。
観終えて誰もが思うことだけど、え?ヴィンセントってなにか
教えてくれたっけ?^^;なのである。オリバー少年が、もちろん
学内発表の中で彼の人となりがなぜ聖人に相応しいのかを説明
してはくれるけど…そう云われても大して変わってないしな^^;
おそらく少年の目から見て、本当に人間らしい人間なのである。
まるで世捨て人のような生き方をしていることに、中盤までは
観客も反感を覚えるが、それがどこからきている行動なのかを
知ると途端に切なくなってくる。いや、切なくなったといって
彼を好きになることはないが…ダメ親父の悲哀に通じるのだ。
寄りそう少年を撥ね退け、その母親に悪態をつき、どこまでも
嫌われる方向に走り出す親父を、なぜか知らないけど周囲は
放っておかない。ストリッパー兼家政婦のN・ワッツの怪演も
お見事で、妙にロシア人に為りきっているのがなぜか魅力的。
アチラで大人気のM・マッカーシーがお母さんなの?と思って
観ていたら、オリバーは実は養子だったということも分かる。
結局のところ離婚して引っ越して親権を守るためせっせと身を
粉にして働いている母親に、いじめられたぐらいで相談なんか
できない可哀想なオリバーなのだ。そこで親父の奥の手が炸裂。
ヒトから金銭を巻き上げてはギャンブルで一攫千金を狙う男で
あっても「決して他人からの頼みを断らないところが聖人だ」と
オリバーが言うように、妊婦のストリッパーも、面倒な子守も、
彼は投げ出していない。その人間らしい優しさに気付く少年の
心が実は親父を助けてくれていたんだよ、なんて思うのだった。
(いじめっ子を助けてやったオリバーは偉かった。本当いい子ね)
背負ってる
始まりはまるでコントのようなビンセントの日常から描かれ、それで充分に彼を知った気になるけれど、人ってそんなに簡単じゃないんだと痛感する。
彼が子守りをするオリバーの母・マギーが泣きながら自分の日々、夫、子供について語り、ヴィンセントを非難する場面もあるけれど、そうなのだ。と思う。皆、自分の傷や自分の重荷で精一杯なのだ、大切な物をどう守るかで精一杯。
原題から物語の行方は途中から充分に予測もつくし、見えるけれど涙が出るのは何故だろう・・・それは、やはりヴィンセントを演じるビル・マーレイの存在感だろうか。
スポンジのように全てを吸収する子供は怖い存在だれど、子供も子供でしっかり考えている、戦っている、そして、精一杯背負っている。
もっと笑いたかった
子供の語りと音楽が素晴らしいのでつい泣いてしまったのだけど、安い涙であった。ヴィンセントの軍歴の後の人生がどうだったのか気になった。子供がいい子すぎて、何も心配がいらない感じで、彼ならヴィンセントと触れ合っていなくても大丈夫だっただろう。ヴィンセントもそれほど聖人とも思えなかった。
もっと笑いたかった。メリッサ・マッカーシーの無駄遣いというか、ナオミ・ワッツと入れ替わっていた方がよかったのではないだろうか。
途中けっこう退屈した。
おじいちゃんが走っているのを見ると本気で心配になる。脳梗塞は軽かったのだろうか、そんなに麻痺が残っていないようであった。
子供とメリッサ・マッカーシーは本当に養子だったのだろうか、それとも方便でそういっただけだったのか、気になった。
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