「君がそこにいるはずなのに、いないなんて。」先生と迷い猫 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
君がそこにいるはずなのに、いないなんて。
そんな元校長先生の心の叫びが伝わってきて、胸がギュッと締め付けられました。
それぞれの名優の演技は見応えあります。さりげないのに、その人柄をぱっと表現する。
特に出色は、坂本すみ江さん。
あんな僅かな出番なのに、認知症の表情を的確に表現する。しかも、お元気な頃はどんなおばあちゃんだったかも想像出来てしまう。孫の「ばあちゃん、ご飯おいしいか?」の台詞、思い付きにぐっとくるのも、あのばあちゃんの表情あればこそ。
『アリスのままで』で、ムーアさんが評価されていたけど、(『アリスのままで』を観ていないから、比較は妥当ではないかもしれないけど)、日本にだってこんなに素晴らしい女優がいらっしゃるじゃないか、と思ってしまいました。
イッセー尾形氏の、大仰すぎる演技の中の繊細な表情も、じっくり堪能したくなります。
(この尾形氏の演技にふき出さずに、いつもの演技をする滝氏、嶋田氏、竹山氏、染谷氏達がすごい)
ラスト、小学生に手を振り払われた尾形氏の表情、妻と猫を思い出す元校長先生で締めて、余韻を残す。ここだけでもすごい映画を観た気分になります。
染谷君は、この映画の頃、立て続けに出演なさっていたけれどふり幅の広い役者さんですね。
他の方々はいつもの安定感。心地よく決めて下さる。
役者を観るだけでもいいかな。
ただ、物語としてはねぇ。途中で空中分解している感じ。途中までは良かったんだけどね。
「え?ここで終わるの?」
上記の尾形氏の演技は心に響き、余韻を残すのだけれど、気になる少年・少女の顛末とか、これからが今までのふりの回収の話になるのかなと、身を乗り出したところでいきなりエンドロール。
なんか放り出されたようで、もやもや感が…。
とはいえ、
嶋田さんが演じている工場の経営者の言葉には耳を傾けるべきではないかと思いました。
誤解があると困ります。だから、いくつか、弁解します。自然を管理して自然を取り戻そうとする行動に異論はありません。正直に申し上げて、水族館も動物園も自然の姿には叶いません。だから、僕は登山をやりますし、スキューバダイビングをします。でも、水族館、動物園、犬、猫は好きです。
しかし、
矛盾してますが、それら(犬、猫、水族館、動物園)が、人間の為(特に個人の為)だけにある事に疑問を持っています。そう、申し上げたかったのですが、誤解があったようで、申し訳ごいませんでした。ヘミングウェイの子猫の話は近親交配によるものと学術的に証明されているようです。そうなってしまった猫を哀れに思ってしまったもので。すみませんでした。
共感、コメントありがとうございます。旧国営放送で、ネコの番組見るのが好きでした。ガキの頃から猫は好きです。猫も拾って両親に飼わせた事もあります。まぁ、それくらい猫好きですが、ヘミングウェイの猫の話を聞いて、人間に飼われる猫の悲惨さを知り、猫で癒やされようとする人間の性に嫌気が指してしまいました。
この映画でも話されていますが、猫とは非常に行動範囲の狭い動物でして、ほって置くと近親での交配を始める動物てす。
ヘミングウェイの逸話とは、彼が亡くなった後に、キーウェストの自宅から六本指の子猫が見つかったと言う話です。小説家に責任はないですが、小説の内容とは打って変わって行動力の無い作家でしたので、猫もその犠牲になったと言う事です。
長くなりました。兎に角、そういった訳で、動物に癒やされたくば、動物園、水族館、そして何よりも自然と接触する様にしてます。
長くなりました。
申し訳ごいません。
今後とも、よろしくお願いします。辛口になってしまいますが、できるだけ、正直に話して行くつもりです。
ありがとうございました。